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ノーマライズ・アナライズ  作者: タケダ
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『4』体の骸。 A man who wants to die is like a man who is already dead. (11)

 突然、僕は真っ白な空間へ。

 足を踏み入れた。

 そこには、海岸線も、標準時も、何もかもが存在しない。

 ただ、目の前には『神』だけが。


 存在している。


「はい。よくできましたっ!」

「…これは…?」


「『滅亡』したのさ。すべての生命は、君と、僕を残して。全て『絶滅』した」


 理解ができない。


「…は?」


「君の『祝福』。発動条件は自分にとって『普通』でないものを『普通』にする封印だ。強いんだよ。僕が成り代わった『神』が、鼬の最後っ屁とでも言える、そんな代物を君に与えたんだよ。でもね、その力が『神』たる僕の、偉大なる力によって増幅される事で、自分の『普通』を押し付ける事ができるのさ」

「君の中の『普通』が『普通』で無くなった時。その力は、意味を持たない」

「君と言う主観で始まるのだから、そりゃあそうさ。さっき君、思っちゃったんだろ?」


「トラオア・フロイント・アミークスの居ない世界など、『普通』ではない。そんな世界『普通』に滅んでしまえばいい」

「その『祝福』は見事に起動しました!トラオア・フロイント・アミークスの居ない『普通』じゃない世界が!見事『普通』に滅んだんです!」


「君のおかげで、この『地球』はまっさらになった。ありがとう…感謝するよぉ…これからは『新人類』が、この台地で暮らすことになる…!」


「う…ぁあ…」

 僕は。


 声にならない、声を出して。


「…」


 ただ、黙った。


「君の過去。トラオア・フロイント・アミークスには最期まで黙っていたみたいだけど…僕には否応なく伝わったよ。おもしろいじゃないか」


「〈計画された天才〉。人造人間だなんてね?」


 こいつには、全てがわかるのか。


「当ったり前でしょ?『神』だぜ、こちとら」


「国家施設で…細胞からコントロールされて育ち、その脳細胞の進化さえ、全てがコンピュータによって制御され、生まれてきた…。機械でこそないが『疑似生命』だよ、君は」


「………そうですよ…、僕は…人間まがいの『異常』な生命だ」


「『普通』なんて程遠い…」


「もっと、もっと記憶が読めるぞ…。この世界には、僕と君二人だけだ…君の記憶が、更に伝わる…ふふふふふふ…何々…母親と施設からの脱出を図った君は、その『異常』な知能の全てを使って……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………?」


「全ての職員を、惨殺した?」


 ならもう、隠したって無駄だ。

 反芻される、断末魔。


『君は異常だ!だから彼女の痛みもわからない!痛みが分からなければ、彼女の悲しみも届かない!冷徹だ!冷徹だし冷酷だ!どうしてそんなことが言えたんだい?君が〈計画された天才〉だから!人じゃないんだよ。人の心を知らないんだよ。知りすぎているが故の無知なんだよ。だから君はもう、人間に近づくな!少なくとも!普通を知るまでは、君は何者にも近づいてはならない!』


『あんたなんか嫌い!大嫌い!』

『気持ちが悪い!気分が悪い!醜悪そのものだ!お前は』

『頼むから、生きることを拒否してくれ!!肯定しないでくれっ!!!!』

『存在を認知するだけで…俺はお前に不快感を覚える!』


『不和だ!君はこの世界から生み出された歪みそのものだ…!歪だからこそ不和をもたらせる!』


 僕は、誰かを守る為なら。

 『普通』を目指す為なら。

 誰だって、殺せる。


「はは……あはは…狂ってる、狂ってるねぇ!西園寺洋介!君ってヤツは、最ッ高に狂ってんだ!」


「…そうだね。狂ってる。だから僕は、今ここで、全てが滅んだ虚無の世界が訪れたところで、何も感じない。得た平穏だって、直ぐに誰かに壊されるんだ。図書室で起きた事件だって、仕組まれた殺し合いだった。職員の報復だったんだ。だから僕は、もう『普通』になるって決めたのに」

「『神』を相手に、闘うなんて」


 だから、僕が語る事は…。

 全てが『普通』じゃなかったり。


 それでも。


 それでも。


「許せない事は、あるんです」


 近づく。


 近づく。


 近づく。


 何もない世界で。

 神は一体、誰から祈りを受けるのか?

 答えは、誰からも受けない。


「祈りの力で活躍する『神々』の皆様は、祈る『人類』が居なくなった時、どこから力を得てるんですか?」


 つまり。

 今の神は『無力』だ。


「いいですか」

「他人の不幸を『実験』として」

「嘲笑えるような『ゴミクズ』が」


「…!しまった!」

 身構えようとする、神。


「『神』を騙っているなんて」

「そんなの」

「全く」

「『普通』じゃないッっっ!」


 食らわす、全力の拳は、強く『神』にめり込んだ。


「うっッあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


「ぐ…ゥ………………ッお……………………おおおおおおおおお!」


 そして。

 僕の『祝福』は『発動』する。

 手繰り寄せ、一本の『線』を持ってくる。


「『神』によって、増幅された、僕の『祝福』は…『神』すら『普通』にしてしまう…『神』なる概念を…」


「完全に、『破壊』する…!」


 『神』が異常なのだとしたら。

 『神』なんて存在、壊してしまえ!


「や、やめろ!例え一時的だろうが、『神』が一時でも存在しない時間ができれば『天界』…それだけじゃない、『人外の世界』、すべての世界の統率がとれず、崩壊が始まるぞ!わかってるのか!」


「…じゃあ、良いこと考えました」


「神様じゃない、たった一人の」


「『普通』の『大悪魔』、サタンが」

「世界の全てを作り変え、統率する」


「こうしてしまえば、世界はきっと平穏です」


「…イカれてるよ、お前。ぶっ壊れてる」


「そりゃどうも。最高の誉め言葉です。けれど、僕は最後まで『普通』でしたよ」


「『普通』の悪魔に成ったんです」


 そうして、僕は『普通』を手繰って。

 神なる存在を、破壊した。

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