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ノーマライズ・アナライズ  作者: タケダ
33/42

『4』体の骸。 A man who wants to die is like a man who is already dead. (4)

 人外一名の力を借りて、僕らはようやくアリエルの下へたどり着いた。

「アリエルさんっ!」

「や、やっときたか!このボケナス共!」

 二日間、常に死の危機を繰り返していた彼女のテンションはバグっていた。

「いい?結界を解除しようとしていた『四大天使』は今は居ないわ。けど、この結界が破られるのも時間の問題。それまでに『詠唱』を終わらせないと、大変なことになる」

 アミーは、その状況を冷静に遂行しようとしている。


「わかった。それに…」


「そろそろ来るよね…『神』が」


 そう。全ての元凶たる『神』が、僕らをみすみす逃すとは、考えにくい。

 ありえない。全てのリスクを打ち砕かんとしていた『神』が、ここで危険因子を叩かないハズが無い。


「僕は…何をすればいい?」

「決まってるじゃない、トラオア・フロイント・アミークスを守って。それだけよ」

 僕らをめがけてやってくる『天使』達は皆、命を狙ってやってくる。

 外の彼らが守ってくれるとは言えど、それだけを信頼するワケにもいかない。


「じゃあ、行くよ…みんな」

 アミーは胸の前に十字を切りながら、言った。


「礼拝…そして混沌と生じた歪み…歪故に論ずるは愛、あるいは情動。もたらさる物として、その変革を…示せ、我等に…」

「はいはい、そこまでそこまで。ゴメンね?突然割って入ってサ」


 突如として、その男は。

 僕らの結界に『侵入』した。


「誰だっ!」

「怒らない、怒らない。そもそもの話をしようか?下級の天使共がここに入れないのは当然さ。天使が編み出した術式に阻害される天使…ウン、実にキチンとした効力を持っているねェ」


 僕はその男に、ただシンプルな『恐怖』を抱いた。

 人間の姿をしている。無地の白いティーシャツ、よれたジーパン。

 どこにでもいる、青年に見えたが。

 本能が言う。


 人間ではない。


「で、術式を天使に与えたのは誰だい?」

 また強い光が、僕らに射した。

「僕だ。ハハっ、面白いよね?我が子が親に歯向かうなんてさ…笑えるよ…」

 まさか、コイツが。


「来たか、『神』っ!」


「これはこれは。『西園寺洋介』君だね。いやあ、非常に面白い。面白いねえ」

 こちらを常に、にやにやと。


 嗤いながら、眺める男。


「面白いのは『祝福』だけじゃないみたいだ…ふふ…君の『過去』も、そうだねぇ?」


「…!ダメだよっ!西園寺洋介!」


 その静止は、僕には届かなかった。


「…………………………」

 黙って僕は、男に歩みを進める。


「ダメだよっ!」

 アミーは僕に飛びついて、僕の手を強く引いた。


「…人の過去を『面白い』なんて、言わないでください」

 思いとどまる。今ここで、僕の『暴力』が炸裂するのは『普通』じゃない。


「ははは…そういうところ『人間』だね」


「本当の君は」


「『人間』なんかじゃ、無いのにね?」


「…?どういう…西園寺洋介⁈」


 僕は走り出して、他の何も視界に入らないほど。

 強い拳を、男にぶつけた。

 強く、怒りが。

 僕を動かしてしまった。


「痛い、痛いねぇ」

 めりこんだ拳を払いのけ、笑いながら男は言う。


「暴力なんて、『普通』じゃないだろう?人間」

 そういって、男の体はだんだんと透明に、消えていく。


「直ぐに来るよ。君達にとっての『悪夢』と共に、ね…」

 ただ『挑発』を成して、消えた。


「…ごめん、アミー。僕は…止まれなかった」


「ねぇ、西園寺洋介」


「あなたは決して、一人じゃないから」

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