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ノーマライズ・アナライズ  作者: タケダ
13/42

『2』個のリュックサックだと、足りないだろう? If you are going on a trip, a suitcase is a good idea. (1)


「はあッ……はッ…………はっ……………」

 息の荒い状態で目を醒まして周囲を見渡す。知っている景色、天井。紛れもない徒然荘ニ○一号室…つまるところ自室に僕は布団の中で寝転がる形でそこに居た。


 どんな悪夢を見たのか、記憶は無いけれど、ひどく混乱しているし、気分も悪い。

 落ち着いて、周囲を見渡す…。

 これは現実で、夢ではない。


 そこで気づく、これまでとは異なる自室。

 美少女が居る。しかも何やらせっせこ料理をしているではないか…?


 さて、僕の最後の記憶は…。隕石を打ち砕いた絶空独尊と、ブッ飛ばされたセラフィム、泣いていたトラオア・フロイント・アミークス。


 これまでの流れを整理すると、大家に家賃を強奪され、先輩にお金を貸してもらう代わりに謎の連続不審死事件の捜査に協力する事になり。今度は道に寝転ぶ殺人天使と仲良くなって、そんな彼女が襲われていたから最強の天使と戦うことになった…。


 恐ろしく密度の濃い一日である。もう『普通』とかそういう領域の話ではない。

 あれから…何日経ったんだろう?


「ふんふん…ふふんふんふーん」

 鼻歌を歌いながら何やら調理をしている彼女…トラオア・フロイント・アミークスが、何故僕の部屋にいるのかは全く分からなかったけれど、それはそれでいい。


 美少女が、自室でご飯を作ってくれるなんて…!『普通』の男の『普通』の夢が叶ったようで得も言えぬ感情になったりしている。


「で…おかゆだから…パクチーと…コーヒーは捨てられないわね…」


 ?

 耳を疑った。おかゆと、パクチーと、コーヒー。すべての単語が絶対に因果関係を持つことがない、最悪の組み合わせである事を悟る。おかゆ…という事は、多分看病してくれている、そういう事なのかもしれないけれど、僕は今、この部屋を飛び出したいという思いでいっぱいだった。


「シメは…そうだなあ…冷蔵庫にあった豚汁とか…突っ込んどこうかな、わかんないし」

 わかんないなら余計なことするな!

 その料理は何か。僕を毒殺しようとしているのなら、化学兵器としてはまず間違いない威力なのだけれど、病人にその化学兵器を投与しようとしているのなら、オーバーキルとかいう次元ではないから、今すぐに調理を止めてほしい!頼む!


「風呂先に入ッたぞォ…ッてェ…なんだァ?てめェ…料理か?『雑魚天使』」


 風呂場からパンツ一丁で登場した半裸の…セラフィム⁈


 何故僕の部屋に居る?しかもちゃっかり風呂まで借りてる?


「そーだよ、セラフィム。私…結構料理イケるかもしれない」

 取り敢えず…ツッコミたい所は山ほどあるのだけれど、それをすべて呑み込んで、それだけは絶対にないと否定しておこう。絶対にない。絶対に。

「なんも分かっちゃいねえなァ…『味付け』ッてもんをよォ…そんなんじャあ、『ゲテモン』だァ」


 よく言った!セラフィム、流石は〈天使の九階級〉序列一位!そこだけは本当に感心しよう!


「いいかァ?おかゆッて奴はよォ…こうだ!」

 そう言って、セラフィムは冷蔵庫にあった板チョコを鍋にブチ込む。

「甘さ、辛さ、苦さ、その全てをコンプリィトしねェと、そいつァただの『ゲテモン』だ…これが、料理ッてェ奴さ」

「セラフィム…流石の序列一位…」


 駄目だった。実力はともかく、どうやら味覚は序列ビリらしい。なにがどうしてドヤ顔で『料理ッてェ奴さ』なんて言えるのか。『普通』の料理を作ってください!お願いします。


「でもね。元気が出るって聞いて、そこにあったスーパーマーケットからこんなのを買って来た」


 アミーさん、アミーさん、それ精力剤。頼むから止めて。止めて!


「おゥ、ドバーッといけェ!」


 ドバーッ。


 終わった。それはもう元気とか数段階飛ばして死んじゃう。


「それ…絶対僕に食わせないで…」

 と。僕は声を発すると、途端に二人はこちらを向いて。


「気が付いた⁈」

 とアミー。

「やッとかァ…遅ェんだよ、『ガキ』」

 とセラフィム。


「…何日寝てました?」

「一週間。ずっと意識が無かった…」

 一週間。僕はその言葉を聞いて絶望した。


 大学が始まっている。


 僕は『普通』を掲げて(たとえ状況がここまでの『異常』になろうとも)生きてきた。そんな僕が、講義を初日からサボって…しかも一週間が経過しているなんて。

 花の『普通』大学生活…。周囲から何と思われているやら。


 その時、玄関のドアの開く音がした。

「よっスー、元気してるかい?アミーちゃんに、セラフィムくん」

「世話なッてます…加藤さん」

「あ!加藤さん、西園寺洋介が起きたよ!たった今!」

「マジかあッ!」


 言って、寝床に一直線で走って来るのは。


「おい、洋介君、俺が分かるか?」


「わかりますよ…ユタカ先輩」


 件の先輩、加藤ユタカ。


「ビッグ・ニュース!おめでとう!落単確定!洋介君!」



「はあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ⁈」

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