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おかしな人里(穢)

【道中】


 透香たちは人里が見える位置までやってきた。

 その入り口にて、魔理沙の言う通り、一本の長い木に1人の男が縛られて、何かをされていた。


 透香は嫌な予感が当たったことに悲観する。

 透香の体が震え、足が止まりそうになる。


「お、やってるな」


 しかし、魔理沙の何でもないような軽い調子の声に、透香の体から力が抜けた。


「やってるって、なにを?」


「ん?ああ、透香は知らなかったか。

 何でも人里に詐欺師…人を騙しまわってるやつがいたらしい」


 人里は狭い。悪いことをする奴がいれば、一瞬で噂が広まり、犯人が捕まるほどである。


「詐欺師…?なにをやっていたのよそいつ」


「それはわからん。それを詳らかにするためのあれらしいぜ」


 魔理沙は木に縛られる男を指さす。

 距離があるため、何をしているか詳しくわからないが、透香はあまり良くないことをしているような予感がしていた。


「なんか、嫌な予感が・・・」


「ま、見てみるのが早いってもんだ。行ってみようぜ」


「あ、待ってよ」


 箒で先に飛んでいく魔理沙を追うように、透香は走っていく。


【人里入り口】


 そこには普通は考えられないような状況があった。

 吊るされた褌一丁の男とその男の胸に突っ張りをする力士風の男。


「やめなされ、ああ、やめなされ」


 力士風の男は吊るされた男の両胸を交互にリズムよく、的確に、力強く突っ張る。

 何度も繰り返された突っ張りで吊るされた男の両胸は真っ赤になっていた。


「え、あ、あう///」

「おー、景気よくやってんな〜」


 突然の男の裸に恥ずかしがる透香と全然気にしないで軽口を叩く魔理沙。経験の差か。


「こ、こんな往来で、な、なにやっているの…?」


 顔を赤くしながら透香が問う。

 それに答えるのは近くにいた女性。


「それは私が答えましょう」


「お前は、阿未」


 女性の名は稗田阿未。成人しており、人里のまとめ役としての役目も担っていた。


「この男が各所で怪しい品を売っていたので、なぜ売っているのか訊いていたのです。

 しかし、やたらと多弁で、はぐらかそうとしてきたので困っておりました。

 そこにリキシを名乗るあの方がやってきて、こちらに提案してきたのです。

 百聞は一見に如かず。体に訊いた方が早いですよ。私にいい方法があります。

 と言ってきたので、おまかせしたら、こうなりました」


「どうしてそうなった…」


 言わば尋問ということなのだろうが、この状況になった意味がわからなかった。


「ああ、拙僧の胸を叩いても何も出てきませんぞ。

 それよりも巫女様のお目を汚さぬよう、一旦休憩して我が体を隠してはいかがかと」


「どすこい。これはRIKISIの正当な手順に則るHARITE尋問です。戒めども恥じる必要はまったくございません」


 力士風の男が言うリキシは発音がちょっと違うな、と関係ないことを思う透香であった。


「やめなされ、ああ、やめなされ…」


 非常に目が穢れる光景である。


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