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屋上での出来事。

リプをくれたのは『スノウ』という人だった。

裏アカにリプをくれること自体珍しいのに言葉遣いがいやに陽キャっぽくて裏アカなんてやらなそうな感じ。相手をするのもめんどくさいので"いいね"を押して再びスマホの画面を閉じようとするとピコン、という音と同時に画面の上にメッセージが表示される。

表示されてる名前は

「……、お母さん、」

内容は家に男を連れてくるから帰ってこないで欲しいこと、夕飯は外で済ましてきて欲しいこと、22時まで外にいることなどが書かれていたが後半は読む気も失せてなんとなくしか内容が入ってこなかった。

後ろにある柵を背もたれにしてスマホを無心でポチポチといじる。

なんとなく裏アカに『屋上で天然のシャワー浴びるわ』なんてつぶやいてみる。

それと同時にまたお母さんからメッセージが来る。

見る気も失せてスマホを閉じてポッケにしまう。

なんとなくなにもする気になれなくてぼーっと雨が降りそうな空を見上げていると気づいた時には六限目の終わりを告げるチャイムが鳴っていた。

ポツポツと雨が降り始めており自分も濡れているのかなとか洗濯面倒だなとか思いながらなんとなく自分の腕を触ってみると雨で濡れているはずの服が濡れていないことに気づいた。詳しく言うと湿ってはいるもののガッツリ濡れた、という感じがないのだ。

変だな、と思いながら周りを見渡すと隣で自分に傘を差している人物に目が留まった。

不思議に思い見つめていると相手がこちらに振り向き目ががあった。

不思議に思い観察する。やけに長い足、黄土色のカーディガン、目にギリギリかかるくらいの前髪とやや明るめの髪色。髪から覗く耳にはいくつかピアスをつけていた。そして切れ長でありながらぱっちりとした目、人を寄せ付けるような瞳。

どこかでみたことあるような....

じっと見つめているとこちらの視線に気づいたのか相手と目があった。

特にかける言葉も見つからずそのまま見つめあっていると相手の方が気まずさを感じたのか傘の持ち手を押し付けてきた。

あまりに急な行動だったので勢いで受け取ってしまい呆然としていると相手が立ち上がった。

「...雪城。」

何の事かと思い相手を見上げるとこちらを見ずに「俺の名前。」と付け足し屋上から去ってしまった。

突然の出来事に再び呆然としていたが雨足が強まっていくのが音で分かり自分も早くここから去ろうと立ち上がると手元の傘を見て「あ...」と声が漏れる。

傘、返すのめんどくさいな。などと思いながら自分も屋上を後にする。

屋上には雨がコンクリートの上を跳ねる音だけが残った。

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