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No.2 ともだち。

「やっほ。サボりだよ。」

その子を見つめながらそう言った。

「そっか~、うなと一緒だね!」

にへ、と笑う彼女の名前は御門雨那、ぼくの同級生で地雷系のメイクが特徴の女の子。

そんな彼女もぼくと同類。

「結來ちゃん、歴史わかるの~?」

私のとなりに腰を下ろして話を始める雨那にめんどくさいな、と思いながら返答しないともっとめんどくさいことになることを知っているぼくは仕方なく雨那の質問に返答する。

「わかるよ。雨那はわからないの?」

興味本意でそう聞いてみると「ん~?」と笑顔で私を見つめてきた。

「わかんないよ~!」

となぜか自慢げにいってくるので一瞬頭を抱えそうになった。

彼女は他の人と違って掴めない性格をしているから扱いが面倒くさい。彼女のことが嫌いな訳ではないが苦手だ。同族嫌悪ってやつかな、

なんて色々なことを考えていると少し遠くから雨那の声がした。

「結來ちゃん!なにか飲む〜?」

どうやら喉が渇いたようで自販機の前に立っていた。私な分も買ってくれるのか、と少し驚きながらいちごミルクを頼んだ。

二人分の飲み物を買うと再び私の隣に座る雨那。

はい!と笑顔でいちごミルクを手渡してくれた。

どうやら彼女はサイダーを買ったようでペットボトルの中でぱちぱちと弾ける炭酸を空に掲げ見つめていた。雨那は昔からこういう癖がある。

雨那にとって不思議なもの。それを何分でも何時間でも見続ける。

静かに不思議そうにものを見る雨那を見ているとなんだか可愛くて。雨那は苦手だけどやっぱ好きだなぁ、なんて思いながらも雨那に「炭酸抜けるよ」っていって自分もいちごミルクを飲む。

「結來ちゃんってそれ好きだよね〜」

と雨那はいちごミルクを指刺す。

「まぁね〜、美味しいし」

なんて若干テキトーに答えると意外にも興味が無いのか「ふーん」とだけ言って終わらせた。

そこから彼女がいなくなることはなく五限目の終わりを告げるチャイムが鳴る。

そんな事を気にせず動かないでいると彼女はスっと立ち上がった。

「飽きたから帰るね〜!じゃね!」

と元気よく手を振って屋上を出た。

やはり彼女は掴めないな、なんて思いながらスマホを手に取りSNSを開く。今日も今日とて荒れてるFF達。

「あ、フォロワー減ってるし…、」

なんて独り言は風の音と共に消えた。

私のアカウントは所謂「裏アカ」というもので本音も嘘も入り交じった濁った界隈で生きている。

FF達はみんな病んでるしTLに流れてくる呟きもパパ活女子の悩みとか家出少女の病みツイ、地雷男子の愚痴ばかり。なんとなーくTLを流し見する。みんな今日もどす黒く病みながら生きてる。ぼくもその中の一人。

《さっきまたあの子に会った。相手するのすごいめんど》

無心でスマホのキーボードをフリックして入力する文字。なんとなくこれ以上書く気にもなれなくて入力した文字を消す。

「………」

優柔不断でいつも曖昧。昔よく言われていた言葉。

今となっては気にしちゃいないが昔はとても気にしていたなぁ、なんて思いながらまたスマホに指を滑らせる。

"つぶやく"のボタンを押して画面を閉じた。

裏アカなんてみんな基本こんな感じ。愚痴とか色々濁った感情を吐いて貯める場所。FFなんてあってないようなもので承認欲求を満たすための数字を互いに補ってるだけ。相手の事なんてそんな知らない。

つぶやきに反応するのなんてごく一部。本当に稀にリプが来るくらい。

それでもスマホの画面を気にしてしまうのは承認欲求が肥大化しすぎてもう誰にも埋められない何かがあるからだろう。

そんな自分に嫌気がさしてスマホから目を離して空を見る。それで初めて気づいた。雨が降りそうだ。

黒い雲がもう空の半分を暗くしていた。

室内に戻ろうかと考えたがそれもなんだかめんどくさくなってきてしまい諦めてここに居座ることにした。

「はぁ……、」

ため息を着くと同時にスマホが振動し通知音がなる。

画面を見ると息を飲んだ。

「返信……、?」先程呟いた投稿に返信が来ていた。

《好きにも嫌いにも慣れない子がいる。》

《それ俺もある〜!謎だよなぁ》

文の書き方から好印象が伺えるこの人の名前を見る。

「スノウ…」

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