久しぶりな、会社
『はあー。』
進藤はスーツを着る。一応会社の人事との面談なので、身なりを整えていく。
『なんで、療養中なのに会社に呼び出すかなあ。喫茶店とかがいいんだけども、、。』
会社の前に着いた。同僚や上司に会わないか、あたりをキョロキョロ見回す。人事部の部署は進藤がいた部署とフロアが違うので、会うことなく人事との面談にのぞむことができた。
『そういや、人事部の三木さんとは新卒採用いらいか。』
新卒の時に、リクルーターをしていた三木さんは同時入社4年目の若手女性社員だった。
『三木さんに憧れて、この会社に入ったんだっけ。』
三木さんは、痩せ型だが、出るところは出ていてかわいい感じの女性だ。髪はショートヘアで、目がぱっちりしている感じだ。
『進藤くん、久しぶりね!元気かしら?』
三木さんが入ってきた。
『お久しぶりです。ちょっとまだ本調子ではないですが、ちょっとずつですかね。今日はだいぶ緊張しながら来ました。』
『あら、そうなんだ。何?私と会うのそんなに緊張するの?』
『あ、いえ。なんというか同じ部署の人に会うのはちょっときつくて、、、。』
『そうよねえ。。まあ、今はしっかり休んでもらえればって感じかしら。前の部署に戻るのきついなら別部署での復帰も全然大丈夫よ。まあ、まだ考えなくてもいいわ。異世界はどうかしら?』
『はあ、ありがとうございます。異世界はいいですね。キレイな村で、毎日ゆっくり過ごしています。』
『それは良かった。あっちの村、結構かわいい子もいるから癒されるんじゃない?』
『なんか、古き良き外国の村って感じで。吟遊詩人とかいて、ちょっとなんか昔やったゲームの世界みたいです。』
『そう。良かったわ。』
少し寂しそうに見えたのは気のせいだろうか。
『まあ、ゆっくりしてちょうだいな。会社に戻りたくなったらメールでもちょうだい。あ、そう言えば、、、。』
小一時間ほど話をして、会社を去った。三木さんが何を考えているかはよくわからなかったが、
なんだか10年勤めた会社も少し離れると見えてくるものがあった。
♦︎
異世界に戻る。
酒場に着いた。
『進藤さん!お帰りなさい!何か飲みますか?』
リュウカに迎えられた。
いつまでもこんなほのぼのしていて良いのだろうか?
三木さんに言われたことを思い出した。
『異世界での復職支援サービスに模擬労働ってのがあるのよ。給金が出る仕事だけど、こっちの世界には換金できない紙幣が支給されるから、療養中のダブルワークにもならないから、リハビリがてらやってみてもいいのよ。酒場の金髪のウェイトレスの女の子がコーディネーターやってるから声かけてみて!』
進藤はリュウカに声をかける。
『リュウカ、模擬労働先、紹介してくれないか?』
少しずつ進藤は前に進もうとしていた。