アルバイター!コトネさん。
『進藤くーん、今日さ村のレストランに行かない?』
村のレストラン、なんだか妖精とかが接客してくれそうなメルヘンな響き。
『よし、行こう!ランチがいいな!』
『わかったー!おめかししなきゃね!』
ランチまで進藤は暇だった。
『少し散歩でも行こうかな。』
村を見て回る。のどかな村だ。田畑を耕し、牛や豚などの家畜を育て、自然の恵を受けてお金をいただく。こういうところでのんびり仕事をするのもいいかもしれない。
『ふあー。ん?』
羊がたくさんいる柵がある。1匹だけ、群れから逃げていった。
『こら、お待ちくださいまし。』
黒髪の美少女、ナイスバディの、、、
『ってあれ?コトネさん、、、?』
コトネであった。メイド服で羊を追いかけている。羊は歯茎を剥き出しにし、風を切るように走っている。一方コトネは背筋が伸びて、腕をよきなふりながら、さながら陸上選手である。
『あ、羊が捕まった。』
羊は押し倒され、ブルブル震えている。
コトネは羊追いの杖を振り上げ、今にも羊を殺さんとする表情だ。
『さらば、羊よ。暁に死す。』
暁には程遠いが、進藤はそう呟かずにはいられなかった。
『コトネさん、やりすぎですぞ。』
羊のオーナーらしき男性に、コトネは小突かれた。
『いてっ。』
頭を抑え涙目になるコトネ。
『コトネさんって天然なのかなあ。』
進藤は散歩を再開することにした。
♦︎
『リュウカに何かプレゼントしたら喜ぶかなあ。』
進藤は村の露店を見て回る。
『このアクセサリー、似合うかもなあ。この花のブローチもいいかもなあ。よし、ブローチにしよう!すみませーん!』
『はい、お客様。いらっしゃいませ。』
『ん?』
見たことなある、黒髪でナイス、、、コトネだった。さっさまで羊を追っていたはずなのだが、、
『お、お客様そちらのブローチをお求めでしょうか。でしたらこちらも併せてお買い上げいただくお客様が多いですよ。』
コトネが差し出したのは、ドクロの指輪だった。
『花とドクロ、、、。俺は葬式に行くわけじゃないんだけど、、、、。』
進藤は気まずそうに追加購入を断った。
『そうですか、そしたらこちらはいかがでしょうか。』
薔薇のブレスレットである。悪くはないが、ちょっと一気に2つはなんか重たい感じだ。
『追加購入は大丈夫。それより包装して欲しいかな。』
『ほ、ほうそーですね!わかりやした!』
突然コトネの声がうわずる。
昨日見事な対応をしてくれたメイドとは思えないほど、仕事が雑だ。
コトネはメガホンを出す。
『あー、あー。本日!進藤さんが誰かにプレゼントするっぽくて、お花のブローチをお買い求めになりました!!』
村全体に聞こえるくらいの大声で叫んだ。
村民はニヤニヤしている。
『進藤さんもスミに置けないわねえ。』
『おー誰にプレゼントするんだ?この色男ー。』
『何してんだ、このメイドは、、、。放送じゃなくて、包装!プレゼント用で用意してくれってことだよ!』
アクセサリー店の店長が来て、コトネを小突いた。
『お前さん、クビだ!!』
コトネはアクセサリー店をクビになった。