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豪快な吟遊詩人

異世界に来て、2日目。太陽の光とスズメの鳴き声で目が覚める。

『んー。スマホのアラームに起こされない生活とか久々だな。』

ベッドから出る。時間を見ると10時。

『みんな、今頃働いているんだよなあ。なんか罪悪感。』

グー。腹が鳴る。

『何か食べよう。』

廊下にでる。さすがにこの時間で昨日のようなことはあるまい。階段の方に向かう。

ドアが開く。リュウカだった。

タンクトップで、片方は着崩れており、脇のあたりまではだけている。下は下着だ。

目のやり場に困る。

『あはは、まただね。進藤さん。なんか2日連続だと、なんだかね。進藤さん的にはラッキースケベかな!』

ぐっと、親指を突き立てる。

『.....下でなんか食べてくる。』

『あ、まだ開店してないから。ちゃっとまってて。私が作るから一緒に食べようよ。』

『あ、うん、わかった。とりあえず下に降りておく。』

進藤は階段を降りていった。


廊下でリュウカは立ち尽くしていた。

『もうちょっと、慌ててくれると嬉しいんだけどねえ。もしかして、進藤さんってこういうの慣れてるの!?ラブコメ主人公的な感じで生きてきたのかしら!』

頬に両手をあてて、微笑みながら、リュウカは体をくねくねさせていた。



♦︎

一階。

『そういや、マスターにご挨拶まだだったな。』

奥からひげつらのスキンヘッドのガタイのいいおっちゃんが出てきた。

『よお、あんたが、異世界から来た療養者かい?俺はここのマスターだ。』

『あ、はい。しばらくお世話になります。』

『今、リュウカが降りてきて飯作るからまってろよ。』

リュウカが降りてきた。

『マスター!おはようございます!』

『おお、リュウカ!今日も元気だな!』


リュウカはキッチンに入っていく。

『リュウカはなあ、ここの看板娘なんよ。リュウカのおかげでだいぶうちの酒場も潤ったぜ。』

『ご飯できたよー!今日は、さんま定食ね!』


4人分出てきた。

『リュウカ、1つ多いんじゃ?』

『そんなことないよー!もう1人下宿人がおるのよお!』

下宿人らしき女性が降りてきた。

髪は茶色で、肩のあたりまでの長さでカチューシャをしている。タンクトップにGパンという感じで、目のやり場にちょっと困るかんじのスタイルだ。

『うー、飲みすぎたわあ。あ、リュウカ、しじみ汁ある?あれ、2日酔いに効くのよね。』

どっこいしょと言いながら座る。


『ああ、アンタが新たな療養者ね。私はハイネ。アンタと同じ下宿人。よろしくねえ。』

ハイネは自己紹介を終えると、ガツガツご飯を食べ始めた。

『リュウカ、おかわり!』

『ハイネの食べっぷりは作りがいがあるよー!』

進藤はあっけにとられながらもリュウカの作った朝ごはんを食べ始めた。

『こっちでさんまとご飯と味噌汁食えるとは驚いたなあ。』

ご飯がすすむ。

リュウカは少し視線を下に向けた後、

『ハイネは今日はどうするのー!?』と尋ねる。

『今日は夜仕事だから、昼間は飲むかなあ!』

と返事する。


『進藤も今日は飲んだら?どうせ暇なんだしさ!』

進藤は少し罪悪感を感じながらも、

『まあ、じゃあ飲むかなあ。』と答えた。

『オッケー!じゃあ異世界の飲み方を教えてあげるよ!』とハイネは返した。


♦︎

『うー、ハイネもう飲めないー。』

進藤は潰れていた。

『おいおい兄ちゃんハイネさんの酒がもう飲めないのかい?』

『男ならガンガン飲めよお。』

ハイネと2人でゆるく飲めると思いきや、ハイネの知り合いの常連が20人近く集まり、大宴会となった。

『リュウカ、み、水をー。』

『ハイ、お水。』

ゴクゴクと飲む。

『う!これ、日本酒じゃねえか!このお!』

『ハイネの奢りだから大丈夫だよー!』

リュウカは右手をピースサインにし、90度に傾け目のあたりでポーズを決めている。

『あー!もう一杯!ヤケだ!』

一同はおーっと歓声をあげる。

『いいねえ!いい飲みっぷりだ。』ハイネもケタケタ笑いながら飲む様子を見ている。

『ハイネさんの飲みっぷりもいいねえ!』

ハイネは酒樽を一気に飲み干した。

『はあ、さすがに飲んだな。この後の仕事に差し障るし後、1樽くらいにしとくかあ。』

ハイネはガハガハ笑う。

『そういやよお、ハイネお前の仕事ってなんだ?』


『まだ言ってなかったっけ。』


ハイネは立ち上がり腕を組み、胸を張って答える。


『吟遊詩人よ!』

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