第14話「予期せぬ再会」
「うぅう……」
ハイネス導師が帰った後、上司にネタ探しを命じられた私は本部の廊下をシクシクと涙ながらに歩いていた。
とんでもないブラック部署に配属されてしまった。
上司であるサミュエル導師は「ボランティア部」とか「左遷島流し付録部署」なんて言ってたけど、これば絶対ゴシップ専門のパパラッチ部です。
「そもそも、部署のスローガンから可笑しいです……!」
普通は「毎日笑顔で」とか「人の役に立ちましょう」とか「日々鍛錬」とか、そんな平和なものが主流の筈なのになんで
第1条「情報は力です」
第2条「痛い腹は探る為にある」
第3条「情報元は生かさず殺さず。飴と鞭は使いよう」
なんて、物騒かつ人としてかなりヤバイ感じのものばかりなのだろうか。
一応「仕事の心得」なる小冊子を貰ったが、怖くてまだ開けてない。
見る勇気が持てません。
私は心穏やかでいたいのに。
重い足取りで宛もなく歩いていると、背後でルーちゃんが面白そうに声を上げた。
「てめえの上司、ロートレックだったか?あいつ、結構面白えな。見ろ、『計画は大胆に、行動はもっと大胆に』だとよ」
「そこ!嬉々として仕事の心得、音読しない!!」
いつの間に手にしたのか導師から貰った心得を音読し始めるルーちゃん。
最初は余り好意的じゃなかったのに、サミュエル導師のあの性格を知ってからはお気に召したのか、とても肯定的に彼の言動を評価している。
性格の良くない者同士、気があったとか?
「噛むぞ」
「!また人の心を!!」
「黙れ。このうっかり迂闊馬鹿小娘」
「誰がうっかり迂闊ーーきゃっ!?」
馬鹿小娘ですか。と反論しようとした矢先、誰かとぶつかった。
後ろを振り返って言い返していた為、前にいた人物に気付かなかっただ。
「阿呆」
「うるさいですーーあの、すみません。お怪我は……」
背後から貶してくるルーちゃんに一言言い返し、ぶつかった相手に謝罪しようとする。正面を見て相手の姿を目の当たりにした途端
「……あ!」
私は驚いて目を見開いた。
そこにいたのは、1人の少年だった。
さらさらとした淡い金色の髪。
湖底を思わせる様な深めの青い目。
抜ける様に白い肌。
背丈は同世代の少年たちよりもやや低めだが、その立ち居振る舞いにはどこか威厳の様なものがあり、彼が小柄だと直ぐに気付くのは難しい。
宗教画から抜け出た様な美少年ーーその顔に見覚えがあり、私は固まってしまった。
それはどうやら向こうも同じ様で、驚いた様にサファイアの瞳を見開いている。
彫像の様に私を見詰めたまま立ち止まる彼を見て、少年の隣にいた人物が声を掛ける。
「何だ、ネイト。知り合いか?」
少年の同僚か先輩か。少し年上らしい彼は興味深そうに私とネイトを交互に見遣る。
「ネイト……ああ、やっぱりネイトなんですね!お久しぶりです!」
私は笑顔で話し掛ける。
久しぶりに会ったから少し戸惑ったが、その顔と連れの魔術師の口から出たネイトと言う愛称に、聞き覚えがあったからだ。
ネイトは私の弟なんです。
本名はネイドルフ・アルシェン・ド・べネトロッサ。
一足先に正魔術師となった弟とは、ここ2年ほど顔を合わせていないばかりか、手紙のやりとりすらない。しかし、以前は兄弟の中で一番仲が良かった。
いつも私の後を着いて回っていた、小さく可愛いらしい私の弟。まあ、もう小さくはないけれど。
久々の再会に私は何を話そうかと心踊らせた。
従霊を召喚したこと。
正魔術師になったこと。
対外広報支援部の主任にーーいや、これは取り敢えず置いといて。
ああ、何から話せばいいのやら。
「あのね、ネイト。私ーー」
ちゃんと正魔術師になれましたよ。と言葉を紡ごうとした時だ。暫し私と見詰め合い沈黙していた彼が綺麗な細い眉を吊り上げた。
「誰だ、貴様は」
氷の様に冷え込んだ言葉が放たれる。
「……え?」
一瞬何を言われたか分からずに首を傾げる。
「あの、ネイト……ネイト、ですよね?私です。ソルシアナですーー」
貴方の姉の。と口を開きかけたのだが、それを制するかの如く突き刺さった視線に、私は言葉を飲み込んだ。
「気安く話し掛けるな」
それだけ言うとネイトはスタスタと廊下を歩いて行く。こちらを振り向きもせずに。
連れの魔術師は一旦気まずそうな顔をしたものの、元々行先が違ったのか廊下を歩いていく彼を追う事はせず、そそくさとどこかに姿を消してしまった。
後には呆然とする私と、事の成り行きを見守っていたルーちゃんだけが残される。
おかしい、です。
あれは確かにネイドルフのはず。
なのに何故、あの子は知らない振りをしたのか。
「あ、そうか……」
近くに知り合いがいたから、落ちこぼれの私と話すのが恥ずかしかったのかもしれない。
配慮が足りませんでした。
あ、でも今追い掛ければネイトは1人の筈だから、もしかしたら話してくれるかもしれない。
ネイトは優しい子だから。
脳裏に昔の、私を慕ってくれていてくれた頃の素直で可愛い笑顔が蘇った。両親に無視され、兄姉に見放されても弟のネイトだけは面と向かって私を否定したりはしなかった。
可愛くて優しい、私の弟。
どうしても話をしたかった。
一緒に儀式を受けた私が失敗した時、ネイトはとても申し訳なさそうに「ごめんなさい、姉さん」と泣きそうな顔で謝ってきた。
ネイトは何も悪くないのに。
私のせいで傷付けてしまった。
それは今でも私の心を占める後悔の一つだ。
けれど、漸く私も従霊を呼べた事だし、魔術師としての登録もされた。
だから今こそ、「あの時は傷付けてごめんなさい」と、どうしてもあの子に謝りたくて
「待って!待って下さいネイト!」
小走りで追い掛けると、少し先の中庭で追い付いた。
細い腕を捕まえると彼は足は止めたものの、勢い良く私の手を振り払う
「俺に触るな!」
「……!」
その拍子にふらりとするが、何とか持ち堪えた。
正面を見ると、どこか怒った様な苛烈な色を湛えたサファイアブルーの瞳と目が合った。
「何だ。何か用か」
刺し貫く様に強い眼差しだった。
言葉と同じく、それは私を拒絶している様に見える。
「あ、あの、ネイト……ごめんなさい。その、私ね、正魔術師に……」
やっとなれたんですよ。と告げようとするも、ネイトは酷く淡白な声で
「知ってる。やっとか。落ちこぼれめ」
「……!」
信じられない言葉に目を見開く。
まさか、ネイトも……?
いや、そんな筈ない。
私より先に塔の外交部へ所属が決まった時、ネイトは確かにこう言ったのだから。
『大丈夫だよ姉さん。僕はずっと姉さんの味方だから。父さんや兄さんたちが姉さんを見捨てても、僕だけは、ずっと姉さんの弟だから』
少しぎこちない笑みだったけど、確かにそう言ってくれた。
でも、それから程なくして疎遠になった。
外交部は他国や他派閥の魔術師との外交や、時には争いの仲裁や鎮圧なども行う難しい立ち位置の部署であり、その職務は多種多様、多忙を極める。だからネイトは忙しくて連絡を出来なくなっていただけーーそう、思っていたのに。
……違うの?
冷えたブルーの輝きを見ていると、目の前の人物があの穏やかで甘えん坊だった弟とはまるで別人の様に思えた。
「ネイ、ト……」
絞り出す声が急速に小さくなる。
私は胸の前で手を握り締めた。
希望を捨て切れずに名前を呼ぶ。すると、彼はハッと侮蔑の笑みを浮かべ
「相変わらず能天気だな。まだ姉気分か?」
「ネイト……」
「気安く呼ぶな。お前なんて、べネトロッサじゃない。この一族の面汚しめ」
「ネイト……!」
吐き捨てる様な声音に体が凍り付く。
やめてネイト
謝るから
ごめんなさいって、ちゃんと言うから
だからお願い
貴方だけは……!
哀願する様に見詰めると、彼は酷く鬱陶しそうに顔を顰め
「迷惑なんだよ。お前みたいなのが姉だと思われると。俺は今、外交部の執行課にいるんだ」
外交部執行課ーー対外的な問題を起こした魔術師を捕縛、鎮圧する実働部隊。戦闘に優れた魔術師のみで構成され、その実力は戦略部の戦闘部隊にも引けを取らない屈指のエリート集団だ。
だから、なの?
私が姉だと思われると迷惑ーーそう彼は言った。
確かにそうかもしれない。
エリートの身内が、よもや左遷部署の人間になっただなんて恥ずかしくて言えないだろう。でもそれなら、外では話かけない様にすればいいだけで……こんな風に面と向かって拒絶されるとは思わなかった。
握り締めた手が震える。
何か言おうと思うのに上手く言葉が紡げない。
カタカタと震えながらも、何とか言葉を探していると不意に不機嫌そうな声が響いた。
「おい小僧、それ位にしとけ」
「!」
振り返ると、そこには面倒臭そうに欠伸を噛み殺すルーちゃんがいた。
「ルー、ちゃん……」
今にも泣き出しそうな私を押し退ける様に背後に下がらせると、彼はネイトと向き合った。
「ふん、誰かと思えば、おいお前、こいつの従霊か?」
「あぁ、一応な。だったら何だ?」
嘲笑う様にネイトが口元を歪める。
「主がクズなら従霊もゴミだな。聞けば、まだ等級もないそうじゃないか。パワーはあるらしいが見た限り、波動も雑で微弱だし、頭も弱そうだ」
「何?」
「お似合いだよ、本当に。クズはクズ同士つるんでろよ。竜種だって申告されたらしいが、どうせ嘘なんだろ?」
ぴくり、とルーちゃんの眉が跳ねた。
「おい小僧。この馬鹿をどう罵ろうと、そりゃてめえの勝手だが……この俺に喧嘩売るってんなら、痛い目を見るぞ」
低く唸る。しかしネイトは気にするどころか益々煽る様に嘲笑した。
「お前みたいなゴミが、俺と喧嘩だと?馬鹿馬鹿しい!」
くだらないとばかりに、大仰に肩を竦める。
「お前、雑霊なんだってな。竜種なら会ったときに父が気付いただろう。が、そんな話は一切なかった。馬鹿な奴だ。竜種だなんて嘘が本気で通ると思ったか?」
「俺は竜だ。嘘は言わねえ」
「はん、誰が信じるか。ああそうだ。竜種は竜種でも翼竜種なんじゃないか?雑種なら、その品のなさも頷ける」
「おい……いい加減にしろよ、てめえ。俺をあんな劣等種共と一緒にすんな、不愉快だ」
「不愉快なのはこっちだ。雑種如きが……一丁前に口答えするな。従霊とは術者の道具。道具は道具らしく、大人しく“べネトロッサ”に頭を垂れろ」
「……ネイト……っ」
余りの言いように頭を殴られた様な衝撃が走る。と同時に酷く悲しくなった。
やめてネイト
ルーちゃんを悪く言わないで
確かに竜種らしいところなんて規格外のパワーと、最近頻繁に動く様になった尻尾くらいだけど、でもだからってそんな言い方はない。
プライドは高いけど、詰まらない虚栄心から嘘をつくような人じゃない。
最初は私も疑ったけど、今は彼が竜種だと、そう信じている。古竜というのは流石に……だけど、でも竜種なのは間違いない。
そう反論したいのに、私の口からは声が出ない。それを肯定ととったのか、ネイトが更に悪し様に言い放つ。
「竜種竜種、ウザいんだよ。それともそう言う妄想か?どうせろくな死に方しなかったんだろ。だから少しでも自分をお高く見せようとして、妙な事を口走ってるんだ。弱い雑霊に良くある事だな」
「おい……!」
「喧嘩したいなら、お望み通り買ってやろうか?まあ、どの道俺には指一本触れられないだろうがな」
くつくつと笑うネイト。
ルーちゃんの赤い瞳が不穏な色を浮かべる。
「いい度胸だ小僧。……遊んでやる」
「吠えてろ、雑霊。来るなら来いよ、こっちこそ、遊んでやるよ」
「……てめえ!」
ネイトの言葉に我慢の限界だったのか、ルーちゃんが拳を振りかぶった。
「駄目!!」
悲鳴を上げて止めようとするも、私の速度では間に合わない。
ルーちゃんの手は鉄でも捩じ切るし、牙に至っては鉄の3倍の強度を誇る魔道具ですら歯が立たない。そんな彼に殴られでもしたら、ネイトは確実に死んでしまうだろう。
待って!
やめてルーちゃん!!
心の中でそう叫ぶが、彼の拳は既に放たれており今にも弟の顔を捉えようとしていた。
あんなものが叩きつけられたら、首が弾け飛んでしまう。
凄惨な光景が脳裏を過ぎり目を閉じるーーと、ほぼ同時だった。
ガキィンッ
金属同士がぶつかる様な甲高い音がした。
怖々と目を開ける。するとルーちゃんとネイトの顔の間に細身の剣が割って入っていた。
「大丈夫ですか、ネイドルフ様」
静かな声が耳に届く。
その声に導かれるように視線を動かすと、いつの間に現れたのか、1人の騎士が立っていた。
白銀の髪に翡翠の目、そして目映い光を放つ銀の鎧に身を包んだ騎士は眉一つ動かさずにルーちゃんの拳を剣一本で止めていた。
「フィンドールか、思いの外遅かったな」
「申し訳ございません。が、一言。おいたが過ぎます、ネイドルフ様。私が出なければ貴方様のお顔に風穴が開く所でした」
忠実そうに、しかしどこか年下の弟を窘める様に冷静な声でフィンドールと呼ばれた青年騎士は溜息をついた。対してネイトは鼻で笑う。
「そうならない為にお前がいるんだろう」
「仰る通りです」
まるで主従の様なやり取りーーいや、主従なのだろう。それはフィンドールの纏う魔力が、ネイドルフの波長と完全に一致している事から分かった。
「従霊か」
拳を止められたルーちゃんが低く呟く。するとフィンドールと呼ばれた青年騎士の翡翠の瞳が私たちに向けられた。
「そちらの主への非礼は、我が主に代わりこのフィンドールがお詫び致しましょう。故に、ここは拳を引いては頂けないだろうか。竜の御仁」
ルーちゃんに対しても丁寧に語りかける。しかしその目は油断なくルーちゃんを睨んでいた。
「面白え、俺の拳を止めたか」
「これくらいは従霊ならば当然かと」
「言うじゃねえか」
さらりと告げたフィンドールに攻撃を完全に止められたルーちゃんが牙を剥く。
面白い、と口にしてはいるがその目は明らかに怒っていた。
「引いてくれ。姫君の目前で……従霊とはいえ血を見せるのは憚られる」
「これが姫って柄かよ」
「私の目には麗しき姫君に見受けられるが?」
「そりゃ大変だ。このうっかり馬鹿がそう見えるってんなら、今すぐ医者行った方がいいぞ」
「従霊に医者は必要ない」
事も無げに話してはいるが、ルーちゃんは先程から問答無用で拳をねじ込もうとしている。が、それがネイドルフやフィンドール自身に届く事はない。
このフィンドールという従霊、どうやら見た目に反してかなり力が強い様だ。
「フィンドール、遊ぶな。さっさと片付けろ。俺は仕事があるんだ」
2人のやり取りを見ていたネイトが不満そうに告げると青年騎士はやれやれといった感じで溜息をつき、私の方を見た。
「姫君、従霊を引いて下さい。貴女の為に拳をふるった彼の名誉の為に」
「私の為って……」
フィンドールに言われてルーちゃんを見たが、私からはその大きな背中しか見えない。
「姫君」
もう一度呼ばれる。
私は俯く。
フィンドールは恐らく名のある騎士だ。だからこそ従霊は全て自分の様に主を敬愛し、その名誉を守ろうとしている。と考えたのかもしれない。
だが私が思うに、ルーちゃんに至ってはそんな事は無いんじゃないかと思う。
多分ルーちゃんは純粋に、ネイトの言葉と態度が気に入らなかったから張り倒したいと思っただけでーそこに私への配慮が入り込む余地など微塵もない。
迷っていると痺れを切らしたかの様にネイトが口調をきつくした。
「フィンドール」
「……御意」
諦めた様に小さく肩を竦めると、騎士はルーちゃんに向き直り
「主の前で恥をかかせる事になるが、お許し願いたい」
「あ?」
ふざけんなよ、とでも言いたげに顔を顰めたルーちゃんだったが
「失礼」
「……なっ!!!?」
フィンドールの持つ剣が一瞬青白く輝いたかと思った次の瞬間、ルーちゃんの巨体が大きく弾き飛ばされた。
ドオォンッ
派手な音を立てて彼が中庭に建てられた彫像に向かって打ち付けられる。
「ルーちゃん!!!?」
驚いて駆け寄ると、衝突により粉々に砕けた彫像の瓦礫の中からルーちゃんが上体を起こした。
「……てめえ!」
どうやら怪我はない様だがホッとしたのも束の間ーー彼は怒りを通り越して殺意にも似た激しい敵意をフィンドールに向けて放った。対してフィンドールは涼しい顔のまま。
「引け、と忠告はした。挑んだのは貴殿だ」
事も無げに言うと彼は洗練された所作で剣を鞘にしまった。そして私へと向き直ると恭しく頭を下げ
「姫君、どうかお許しを」
「え……あ」
何と答えたものか瞬時には判断しかね戸惑う私を見て、フィンドールは僅かに笑みを見せたが
「ふん、口程にもない。行くぞ、時間を無駄にした」
「御意」
ネイドルフがそう言うと、何事もなかったかの様にすぐ様その後に続いた。
「あ……」
呼び止めようとしたが、ネイドルフはこちらを一度も顧みる事なく、そのまま姿を消してしまった。
後には立ち尽くす私と不機嫌なルーちゃんだけが残された。
暫く今起きた一連の出来事のショックで思考停止に陥っていたが、やがて中庭が騒がしくなり始めると考える力が戻って来る。
そうだ!
ルーちゃん!!
弾き飛ばされた衝撃で彫像は粉々。
ルーちゃんはまだその瓦礫の中にいる。
「ルーちゃん!ルーちゃん!!」
もしかして大怪我をしたかもしれない。そう思い叫ぶと
「うるせえ」
非常に、とても不愉快そうな声が響いた。
「あの野郎……っ」
プライドを酷く傷付けられたのか、瓦礫を真綿の様にポイポイと乱雑に払い除けながら忌々しげに唸る。
無事なのは良かったが、その目は激しい怒りに燃えており続く言葉を掛けるの憚られた。
とりあえず騒ぎが大きくなる前にと怒り心頭のルーちゃんを何とか宥めてその場を離れると、私はネタ探しも諦めて早々に帰宅したのだった。