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二人の誓い、出発。【前編】

ーーーー翌日。

とある森の奥にある屋敷から、歌声が聞こえてくる。その歌声は、とても透き通っており、いつまでも聞いていたい歌声だった。


「…主さま、お取り込み中失礼します。」


突如、その歌声が途切れ、かわりに昨日の"雲伊"と呼ばれた女性が、先程の歌声の方へ声をかける。声をかけた先にいたのはーーーーーー


昨日、自分を殺そうとした男を返り討ちにし、その男の息を途絶えさせた少女の様な見目をした彼女ーーーー葉月は、雲伊の方へ振り返る。先程のいつまでも聞いていたい歌声を放っていたのは、葉月だった。


「何の用じゃ、我はいま、良い気分じゃったのに…」


葉月は少々、頬を膨らませてそう言った。すると、雲伊は跪き、


「…申し訳ありません。昨日のあの男の処理の完了と正体が分かりました。」


そう言うと、葉月の目がすぅと細められる。


「…ほぅ、何か分かったのかえ?」


「はい。こちらの資料をお持ちしました。」


葉月の前にそっと、束になった紙を渡す。葉月はそれを受け取ると、資料をパラパラと見る。その目は鋭い。


「……成る程。そう言う事か。」


「…はい。やはり先日の、依頼主が言う通り、あの男は黒でした。」


「…それで?」


葉月が促すが、雲伊は、少し間をあけてから口を開く。


「……あの男は然程、こちらの情報を知り得ていなかったようです。ですが、男の後ろでは、裏で糸を引いている者がいまして……」


「……あやつか?」


重い沈黙の後ーー


「………はい。」


雲伊が肯定すると、先程よりも周りの温度が低くなる。


「……そうか。」


そう言うと、雲伊に背中を向け、歩きだす。


「…主さま?」


「準備をしろ。」


「どちらに?」


「永久荘へ行くぞ。」


葉月がそう言うと、雲伊が小さな声で"御意"と言うと、葉月と反対の方向へ歩いて行った。すると、


「…ついに行くのか?あそこへ。」


突然現れた零と呼ばれていた青年が、雲伊と入れ違うように、葉月の後ろに立っていた。だが、葉月は驚かない。まるで、そこに居る事が分かっていたように。そして、零の問いに答える。


「…あぁ。やはり、あやつが関わっているのならば、あの時あやつを取り逃した我の責任だ。それに…あの日の事に決着をつけ、零と我のこの"呪い"を解くチャンスかもしれない。」


葉月は、決意した目で零の方へ向く。その目を見た零は、途端に泣きそうな顔をした。


「俺は…お前に無理をしてほしくない。」


そう小さな声で零は呟いたがーーー


「お前をひとりにする事など、俺が許さないし、それに…あの人が許さない。だから、俺も行く。お前と一緒なら、何処へだって、地獄だって行ってやる。」


そう言うと、零は葉月の手を握った。零の手はとても温かい。


「…ふっ、やはり、葉月の手は冷たいな。」


そう言うと、2人の顔に笑顔が戻る。その手は、とてもかたく繋がれている。そしてーー



皆さん、どうも、九十九雪です。


二話目に突入しました。今回は、前編と後編で分けさせていただきます。前編の方が長くなりました笑



これからも、読んでいただけたらな、と思います。

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