華麗な少女は、不老不死 【中編】
ズザァァァァン!!!
そんな音が森にこだました。鳥達がいっせいに飛ぶ。男は、驚きのあまり目を見開く。男の視界に入ったのは、白と鮮やかな赤。その数秒後、鬼とおもしき物体は、呻き声を上げその地に倒れた。見ると、その物体からは鮮やかな赤色の血が流れており、刃物で斬られた跡があった。先程見た赤は、斬られた事により飛んだ血だと男は結論づけ、今度はその物体から、先程、男の視界に入った白い物体の方へと見た。
そこには、この世の者にしては、異様な程白くひとつに結っていても地面につくほどの長い髪。目を引く紫と赤の綺麗なオッドアイ。そして、白の髪と対照的な黒い着物。だが、着物にしては裾が短く、膝上ぐらいまでの丈しかない。さらに下にはタイツを履いており、靴はショートブーツを履いている。まるで、現代と昔の服をごちゃまぜにした様な装いだった。黒い着物には所々、白いデザインが施しており、いまは先程の物体の血なのか、着物のいたるところに鮮やかな赤い血が散らばっている。そして、極め付けはとても整っている顔。一見、少女の様なあどけなさがある横顔だが、儚さと大人の色気が滲み出ていた。しかし、その手には刀が持たれている。彼女があの化け物を倒したのだろうと結論づけ、そのちぐはぐな姿に、男は釘付けになる。
「…大丈夫か?」
男が釘付けになっていると、美しい少女の様な見目の子が、男に声をかけた。その声もまた、とても透き通っており、いま目の前で化け物を倒したとは到底思えなかった。
男が言葉を失っているとーーーー
「主さま!」
突如、女の声が聞こえた。男が振り返るとそこには、これまた綺麗な女性が少女の元へと走ってくる。さらにその女性の後ろから、男性が2人と小学生くらいの少女が2人、走り寄ってきた。先程の美少女の元へ、それぞれがくると、皆、少女の心配をし出した。
「主、大丈夫ですか?」
まず、声をかけたのは優しい面持ちをした、先程の男性2人のうちの青年だった。見た目は17、8歳といったところか。
「主人、怪我はないのか?」
すると、今度は無表情の少女が声をかけた。こちらは、7、8歳といったところか。
「あるじさま、だいじょーぶかー?」
その次に、舌ったらずに話す少女が声をかけた。こちらの見た目は6、7歳といったところか。
「主さま!何故ひとりで行かれたのですか!あれ程ひとりで行動するなと申しあげましたのに!」
今度は、最初に少女へと声をかけ、一番に駆けつけた女性。こちらは、どうやら説教の様なものをしている。見た目は、24、5歳だろうか。
「まぁまぁ、雲伊、落ち着けって。主も一般人がいたから駆けつけたんだろうがよ。そんな責めるなって。」
今度は、説教をし出した、雲伊と言われた女性をなだめている、男性が声をあげた。見た目は35、6歳だろうか。皆、十人十色の声をあげていると、少女が溜め息をついた。そして、
「皆は、我の事より先にこの男の無事を確かめんといけんのに…はぁ。そち、大丈夫かぇ?すまんのぅ、怖かったじゃろうに。」
少女が男に対して、言葉を、発した。その口調は、普通の少女にしては珍しい口調で男は驚愕したが、ハッとして返事をした。
「は、はい。なんとか大丈夫です。す、すみません、助けていただいて。」
「なに、気にすらでない。怪我は…あぁ、擦り傷程度で済んだか。なら良い…そういえばそち、見ない顔よのぅ。もしかして、旅人かぇ?」
「は、はい。昨日から旅行でこちらに来てまして。俺、方向音痴で気づいたら森の中に入ってて、出ようと思って歩いていたら、あの化け物に追いかけられて…あの本当に助けていただいてありがとうございます!」
「なるほど。どうりで見ない顔だと思うたわ。辻褄があったわい。この街のもんは、ここには一切入らんからな。」
と少女は言った。すると突然、
「主さま!私のお話を聞いて下さい!私は、あなたの為を思って言ってるんですよ!大体あなたは…」
「うるさいのぅ、まったく…すまんの、そち。どれ、立てるかぇ?」
そう言うと、少女は男に手を差し出した。男は、その手を取り、そしてーーーーーー
大変お待たせしてすみません!
本当は、前編と後編で分けたかったんですけど、分けられなかったので、中編追加しました!
前回の投稿が、もう一ヶ月経ってたのに、とても驚きました(笑)
次回の後編は、なるべく早く投稿します(>人<;)