十二話
そして意外な事に、球技大会の話はまだ続く。
見事にドッジボールに負けた俺たちではあるが、とあるクラスが総合優勝を争っていた。
それは、紅皐月率いる、二年三組。
もう片方は、巫心率いる、一年二組。
この二組が種目バレーでしのぎを削っていた。
てか長谷川さんって一年だったのか。
「おらぁあああ!」
巫がすごい勢いでスパイクをする。
しかしそれに負けじと紅がブロックし、ボールが一年の方に向かった。
それを長谷川さんが普通に反応して拾い、トスをしてまた巫のスパイクが決まる。
かなり白熱した試合になっていて、全校生徒が大いに盛り上がっていた。
「すっげーな」
「うん、紅さんかっこいいや」
ちくりと痛む胸、何故だろう。
葵が紅のことを口に出すと決まって胸が痛む。
俺はこの感情を知らない。
葵の横顔を見る、すると胸が締め付けられそうになる。
なんだーーーこれは。
「貴明くん?」
「あっ、いやなんでもない」
「?、勝ったよ紅さん」
「え?」
どうやらいつのまにか、試合が終了していたようだ。
結果は僅差で紅チームの勝ち。
紅はみんなで喜んでいた。
…あいつぼっちじゃなかったんだな。
「じゃあ葵帰るか」
「うん」
「あの!」
後ろから声が聞こえた。
それは俺の知らない人だ、葵も首を傾げている。
なんの用だろう。
「鳳凰さん!ちょっと来ていただけませんか!」
ああ、これは…
球技大会後、熱にやられて告白するやつか。
「う、うん」
葵はなんのことやらさっぱりわからないようで普通について行く。
その後ろ姿を見て俺は何を思ったのか、葵の手首を掴んでしまった。
「…」
「…あ」
パッとすぐに放す。
どう言葉にしたら良いのだろうか、頭がパンクしそうだ。
「…すぐ帰るよ!」
葵はニンマリと笑った後、女の子を追いかけて行った。
…何故俺は手首を掴んでしまったんだ。
掴んだ手のひらを見る。
俺は何を思った。
何を感じた。
いかないで欲しい。
…葵に彼女なんか作って欲しくない。
そう思った…。
なんなんだこれ…
誰か、教えてくれよ、この感情。
書き溜めてはいない、すぐに書いただけである。
誤字、脱字があったら感想の方に教えてくれたら幸いです。