九話
「すいません!」
廊下を俺が歩いていると、どこかで見た女子に呼び止められた。
確かこの子は、ももこさんと言ったか。
俺はトイレにいく途中だったので葵は居なかった。
「ちょっとお話ししたいことが!」
大きな胸を揺らし、近づいてくる。
「あーすまない」
俺は指をとある所に指し、今からトイレをするから待てと言う意思表示をする。
するとももこさんは「す、すいません…………」
と顔を赤らめ道を譲ってくれた。
ーー
「どうしたんだ」
俺は場所を中庭に移す。
もうそろそろ授業だから手短にお願いしたいところではある。
「あの私、長谷川桃子と言います」
「長谷川?小松菜の?」
真っ先に小松菜が出てきてしまった。
仕方がない、自分の贔屓にしている農家の名字が出てきたのだから。
「は、はい、なぜそれを………」
ビンゴだ。
まさかこんな近くにあの神々しい野菜を作る神がいたとは思わなかった。
思わず俺は長谷川さんの手を取る。
「ありがとう、長谷川さんのお陰で毎日生きている」
「え、ええ?」
「貴方達の作る小松菜は最高だ、神だ」
長谷川さんはオタオタし始める。
「そ、そんなことを言われたの初めてです………」
ふと俺は我に返った。
「あ、すまん」
「い、いえ…」
「所で話を戻すが」
「は、はい!それなんですけ」
彼女が言い終わる時にタイミング悪く予鈴のチャイムが鳴った。
「…………話は昼休み開けとくから聞くよ」
「はい…」
トボトボと教室に向かう彼女を見送り、俺も自分の教室に戻った。
ーーーーーー
昼休み、取り敢えず中庭に来てみた。
屋上は彼女が入れるかどうか分からないからだ。
そして中庭のベンチに腰をかけて座っている彼女がいた。
…ん?
もう一人いるな。
「ももこ、あんたはそのままでいいの」
「で、でも…」
「あーもう…」
二人でどうやら話しているみたいだ。
…………この話の途中で俺が入ってもいいのだろうか。
ああ、これなら葵と一緒にいれば良かった。
待て、なんでそこで葵なんだ…
「あ!あのえっと…」
そんな思考をする前に長谷川さんに俺は話しかけられる。
「佐藤貴明だ」
「あ、はい佐藤さ…」
「ちょっと!あんたね!うちのももこに手出したのは!」
「うお」
長谷川さんの隣にいた女子が俺のネクタイを引っ張る。
そしてすごい剣幕で怒鳴ってきた。
なんだなんだなんだ?
なぜ俺は見るからに不良っぽい女子に絡まれてるんだ!?
容姿は金髪に、ブレザーの制服は大胆に改造しており、胸元は開けている。
そしてメイクが濃い。
(ギャルだーーー)
俺はネクタイを引っ張る彼女の手を払いのける。
そして一定の距離を保った。
「なんだいきなり」
「テメェがうちのももこに手ぇ出しただろうが!」
「すまない、長谷川さんと会うのは今日が初めてなんだ!なぜそこまで話が飛躍している!」
「ひ、ひやく?なんだよ!訳の分かんねぇこと言ってんじゃねーぞ!」
だめだ、日本語が通じない。
もしかして俺とんでもない地雷を踏み抜いたか!?
「やめてー!」
長谷川さんがギャルに抱きつく。
「ちょ」
「佐藤さんは私の相談に乗ってくれる人なの!話したでしょ!」
「い、いやでも」
「こころちゃん!メッ!」
長谷川さんがそう言うとこころと呼ばれたギャルは頭に雷が落ちたみたいにショックを受け、子犬みたいにシュンと頭を下げベンチに座ってしまった。
ーーー少し気の毒だな。
最近好きな小説を書いてた人が投稿をあまりしなくなってショックを受けていますへんなひとです。
ももこさんとそのお友達が登場です。