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茜とユメ〜告白1〜

翌日、杉山は学校に着いて、レモンティーを飲んでいた。いつもはミルクティーを飲んでいるのだが、この日は売り切れていた。たまにはレモンティーもいいかと、購買で買ってきたのだった。なんとなく携帯を触っていると、加藤と石橋に声をかけられた。

「なぁ、杉山。聞いてくれよ。こいつさ、幸村を好きになったとか言ってんだぜ。」加藤が、石橋と杉山を交互に見ながら言った。

「え!?」おもわず、杉山は大きな声を出してしまった。

「ちょっ!ちょっと!」慌てて石橋が杉山の口をふさごうとした。それを杉山は上手くかわし、姿勢を前のめりに変えて、レモンティーを少し飲んだ。

「本気で言ってるの?」眉間に少し皺を寄せて杉山は石橋を見て言った。

「・・・おぅ。・・・一目惚れしちゃったんだよ。」小さな声で石橋は言った。

「俺は、無理だって言ってるんだぜ?絶対モテモテだって。誰が見ても可愛いだろ。」加藤は杉山の机に両肘をついてしゃがんで言った。それにつられて、石橋も加藤の横で似たポーズをとった。

「カッコいい男でなきゃ、つりあわねぇって。万が一付き合えたとしても、みんなに笑われるだけだぜ?」加藤は続けてビシビシ言う。

「なぁ、杉山はどう思う?」石橋は加藤を無視して言った。

「え?うーん。幸村さんが、どんな人がタイプかわからないから、なんとも言えないけど。」頭の後ろに手を組んで杉山は答えた。

「そもそもさ、どうして俺にこういう話をするの?」杉山は続けた。

「俺達と仲のいいやつで、彼女がいるのは杉山だけだからな。やっぱり、女心みたいなやつを1番理解してるだろうだからさ。」加藤が言う。

「はは。そんな単純じゃないだろ。女心って言っても1人1人心は違うんだから。茜の事なら少しはわかるけど、幸村さんの事は俺にはわからないよ。」

杉山が言い終わると同時にチャイムが鳴り、2人は自分の席へと戻って行った。

今は茜が彼女の杉山はユメと昔仲が良かったなんて話をしてしまえば、噂や誤解を招いてしまうと思い、誰にも言わない事にした。


休憩時間になり、杉山が伸びをしていると、加藤と石橋がやってきた。

「どうすればいいんだろう?」石橋は小さく呟くように言った。

その言葉を聞きながら杉山はチラッとユメの方を見た。相変わらず数名の男女に囲まれていた。明らかに話しかけられる雰囲気では無かった。その時ふと、茜が頭に浮かんだ。

杉山と茜はそんなに多く喋るような感じでは無かった。2人とも、仲がいい友達がいたので、用事が無い限りは喋る事は少なかった。家に帰ればメールのやりとりもあったが、メールを打つのが面倒な杉山は返信がかなり遅く、回数は少なかった。だから、放課後に一緒に帰る時が1番親密になる時だった。学校では携帯を使う事は少なかった。

「うじうじ悩むくらいなら告白すればいいんじゃね?」加藤が言った。

「え?振られたらショックだよ俺!」あたふたという言葉がピッタリな動きをして石橋が言う。

「お前、遠くから見てるだけで幸せなんて言うなよ?」石橋の慌てぶりをみて笑いながら加藤が言う。

「そうは言わないけど、まだまだ同じクラスでこれからも過ごすんだから、気まずくなるじゃん。」

「お前、フられる事前提で言うんじゃねぇよ。男見せろよ!」右手をグッと握って加藤が言う。

「加藤が、無理だって言ってたんだろ?無茶苦茶言うなよな。ひと事だと思って・・・。」俯きながら目を閉じて力なく石橋が言った。

「なぁ。杉山はどう思う?」ハッと気づいたように石橋が言った。

「どうって言われてもなぁ・・・。うーん。告白・・・したほうがいいんじゃない?」全く石橋の方を見ずに言った。杉山にはこう言うしか思いつかなかった。

「だろ?やっぱりな。恋愛先生の杉山が言ってるんだから告白しろよ。」加藤は石橋を告白側へ流そうと必死だった。

「ちょっと、考えさせて。」そう言って石橋は席に戻って行った。それから2時間休憩時間があっても石橋は席を立たなかった。3限が終わった時に杉山の所へ石橋が来た。それを見て慌てて加藤もやってきた。

「悩んだんだけど、俺、告白する!2人が言うんだからするよ!」迷いを断ち切った目で強く言った。少し杉山は戸惑った表情になったが、表面的には応援しているフリをした。茜がいるのに、杉山は複雑な心境だった。ユメに告白は断って欲しいと思ってしまっていた。説明の出来ない感情が杉山の心にあった。

放課後になって、石橋は帰り際に、加藤と杉山を呼び、明日の放課後に告白すると言った。

「しっかり言う事を考えて来るよ!じゃ!」窮屈な笑顔を2人に見せ、石橋は帰って行った。

「たぶん無理だろうな。」石橋の出て行った出入り口を見ながら加藤は言った。杉山は何も言わずに机に座り足をブラブラさせていた。

「あ。」そういって杉山は加藤を残し、テニスコートへ向かった。教室にはもうユメは居なくなっていた。

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