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第12話_組み合わせ発表です

「よし、今日からの本戦頑張るぞ」

「シュウさんはそのままでも余裕で勝ち進めると思うっす。うちは・・・せめて特訓を受けずに済ませれるように無様な試合だけはしないようにしないと・・」


食べ歩きから一晩明け、本戦開始日の朝である。

朝食の席でシュウは気合十分、フィアはやや緊張が見られる。

そのフィアの緊張も前日シュウとカエデによりプレッシャーを掛けられた結果であるためフィアの落ち度ではない。

勿論シュウも何の考えもなしに言ったわけではないのでどちらが悪いとは言えないのだが。

さて、そんなフィア以上に緊張している者もいる。

予選でもガチガチに緊張していたゴルドである。

この国に来てから彼がかなりの上がり症であることが判明した。

ラグスにいた頃は豪快な兄貴分、という印象が強かったので意外である。

ただし、予選の動きを見ると一度始まってしまえば自然と体が動き出すようなのでそこまで心配はいらない、と思いたい。

恐らく彼自身も酒の席で武術大会優勝など大きなことを言わなければよかった、と内心後悔していそうなのでシュウたちは暖かく見守ることしか出来ないのだ。

今は少しでも食べておかないと試合中に力が出ない、ということで彼のパーティメンバーのイリーネに半分無理矢理朝食を口に押し込まれている。

同じく参加者でゴルドのパーティリーダーであるアランだが、彼は自分で落ち着いて食事が出来ていた。

ゴルドほど緊張するのは珍しく、アランやフィア程度の緊張感を持つのが普通である。

だが、シュウほどリラックスしている方が更に珍しいのだ。

不参加組とシュウだけはいつも通りの空気をまといつつ朝食の時間は過ぎていったのである。


◇◆◇


朝食後、闘技場に揃って出向くと出場者は舞台に上がるように指示を受けた。

そのため出場組と観戦組に分かれた。

観戦組はそのまま観客席に向かう。

今日の予定としては最初に本戦の組み合わせ発表が行われ、そのまま試合開始という流れになるらしい。

組み合わせは完全なランダムで予選の結果などは考慮されないらしい。

そのため本選に残った選手の殆どは今まさに神に祈っている最中なのだ。主に「シュウやフィアと早い段階で当たりませんように」と。

トーナメントなのでいずれは当たることになるのだが、勝利する度に賞金が上がるのだ。

負けるにしてもなるべく勝ち進んでから負けたいのである。

本来この大会に出場するレベルの選手達だと強い相手に当たるからといってこのように弱気になることはない。

完全にシュウの規格外さが招いた結果である。

そんなこととは露知らず、シュウは純粋に組み合わせ発表を楽しみにしていた。


「さて、俺の相手は誰になるかなぁ」

「・・・僕はなるべくシュウくんとは戦いたくないなぁ」

「俺も」

「うちも同じっす」

「えー、ひどくない?」

「シュウくん、君はそろそろ自分が人間離れしていると、いや非常識な存在だと自覚したほうがいいね」

「アランさん。さすがの俺でも傷つくことはあるんですが・・・」

「あぁ、ごめ、いや謝るとダメなのかな」

「そうだぜアラン。ここで謝るとまた別な被害者が生まれる」

「そうっすよ。アランさんは正しいことを言ってるっす」

「・・・」


シュウは少々凹んでしまったが周囲にいる他の選手達もほぼ全て同じことを考えているとは気付かなかったのが幸いであろう。

ちなみに「ほぼ」というは例外もいるためだ。


「おう、シュウ。本戦じゃあ負けねぇぞ?」

「カイか。俺だって負けないさ」

「シュウさん、そちらの方は・・・」

「ほら、予選で最後に俺と戦ってた相手さ」

「あぁ、あなたが」

「ん?そっちは誰だ?」

「俺のパーティーメンバーでフィアっていうんだ」

「思い出した。予選初日に大暴れしてた奴か」

「大暴れって・・・。うちはシュウさんほど非常識なことはしてないはずっす」

「フィア、それはホントに酷いんじゃない?」

「確かにこいつに比べたらアンタはまともだったな」

「・・・」


カイにまで言われてしまい、いよいよシュウの味方がいなくなる。

試合に対しては何の気合もないのだがこの状況はさすがに堪えるものがある。

とそこでようやく担当者が組み合わせの書かれた紙をもってやって来た。

そしてそれが出場者に見えるように貼りだされる。

その段になって祈っていた出場者が顔を上げ始める。

シュウもフィアとカイの視線から逃れるように組み合わせ表の方へ顔を向けたのであった。

端から順に見ていき自分の名前を探す。


「あ、あったっす」

「フィアは一番最初の試合だね」


シュウの見始めた左端、その最初にフィアの名前があった。


「うー、最初の試合っすか。緊張するっすね」

「フィアなら大丈夫だよ」

「頑張るっす・・・。ところでシュウさんの名前は・・・」

「んーと・・・あ、あったあった」


順番に見ていて一番最後、つまりトーナメント表の右端に自分の名前を確認した。

フィアは左端、シュウは右端なので2人が戦うためには決勝に行かなければならない。


「・・・何か作為的なものを感じる」

「気のせいじゃないっすか?」


実はこのシュウの発言、的を得ていた。

運営側の担当者がフィアとシュウの試合を見た結果、この2人が早々に当たるようなことになってはその後の試合が確実に盛り上がりにかけたものとなってしまう。

大会の盛り上がり的にもその後戦わなければならない選手のためにもこの2人は最後まで戦わないように、つまり決勝にならないと当たらないように最初から配置してしまったのである。

そんな意図を知る由もないシュウは多少訝しみながらも納得することにした。

別に組み合わせがどうなろうともシュウにとってはやることが変わらないため関係ないのだ。

しかしそうならない者たちもいる。


「「「「「「・・・」」」」」」

「「「「「「ッシ!」」」」」」


シュウたち以外には2通りの反応が見て取れた。

後者は少なくても何度か戦ったあとでシュウやフィアと戦うことになった者。

前者は所詮、もしくは2回目で戦うことになる位置に配置された者である。

その中にも例外はおり、順調に勝ち進めば準決勝でフィアに当たる位置に配置されたカイである。

彼は出来れば全力で戦える早い段階でシュウと当たりたかったのだ。

それがどう足掻いても決勝まで行かないと当たらないとなれば悔しさが出るのも当たり前である。


「くそっ。シュウと戦うには決勝まで行かないとダメかよ」

「そうだね。でもその前にフィアと戦うことになるよ?」

「お前以外に負けてたまるか!」

「一応言っておくけど、フィアが相手にするときは俺も全力を出すつもりなんだ」

「なん、だと・・・。つまりあいつはお前くらいの強さがあるってことか・・・。こりゃあやっぱり負けられないぜ!!」

「あ、ちょ、待つっす!」


カイが意気込んでそのまま舞台から去ってしまった。

それを静止しようとしたフィアの右手が虚しく宙を彷徨っている。


「シュウさん!?何であんなこと言ったんすか!?アレじゃあうちの強さが誤解されるじゃないっすか!!」

「俺は全力を出すつもり、って言っただけだよ。別に嘘は言ってないじゃん」

「・・・悪意を感じるっす」

「それに実際フィアを相手にする時は全力じゃないとさすがにヤバイし」

「うぅ・・・」


シュウとしては思ったことを嘘偽りなく言っているつもりなのだがフィアはそうは受け取らなかったらしい。

涙こそ出ていないが泣きたそうな表情を浮かべている。

シュウに当たる前に負ければカエデの特訓、勝ち進めば本気のシュウとの戦闘、更には勝ち進む前に気合の入りまくったカイを下さなければならないのだ。

いっその事本気で泣いてやろうか、と思うフィアなのであった。


トーナメント表が発表されました。

大きく分けて左側にフィア、ゴルド、カイが、右側にシュウとアランの名前があります。

その他の選手の名前は・・・決めてません。

人物の名前を考えるのがめちゃくちゃ苦手なのです・・・

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