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第09話_皆で勝ち残りました

いつも読んでいただいてありがとうございます。

少しずつですが感想もいただけるようになってきました。

その感想に関してなのですが、最初から個別への返信はしないことにしています。

ですが全てに目を通し、指摘事項については可能な限り反映させていこうと思っておりますのでよろしくお願いします。

また、前章の魔族についてですが、彼らはこの物語の重要な要素(となる予定)なのであのような引きになっています。

今後どのように物語に関わってくるのか見守っていただけますと幸いです。

「それじゃあ全員で勝ち残れたことを祝して・・・乾杯ッ」

「「「「かんぱーい」」」」


アランの音頭で全員が手にしたコップを打ち鳴らした。

今は予選を無事に勝ち抜いた祝宴をシュウ達とアラン達のパーティが共同で開いている。

先輩冒険者でありシュウの恩人でもあるパーティリーダーのアランがこの場で乾杯の音頭をとっているのはある意味正しいのだが、アラン本人としてはやや苦笑しながら引き受けている。

いくら先輩冒険者とはいえランクは既に同列、純粋な戦闘力でいえばシュウは既にアランの何歩先もいっている。

そんなシュウの差し置いて代表での乾杯を行うというのは何か違う気がしているためである。

だがそんなことを気にしている者はアランの他にはこの場におらず、2つのパーティ合同の祝賀会が開始された。


「それにしてもゴルド、アンタ面白いくらい緊張してたね」

「うるせぇ!勝ったんだからいいだろうが!」

「イリーネ。あまり言ったらダメだよ。ゴルドが大事なところで緊張するのはいつものことじゃないか」

「ったく。お前もアランを見習って人の気持ちってものをだな・・・ってアラン?最後馬鹿にしなかったか?」

「あははは」

「てめぇ!本戦で当たっても手加減しねぇからな」

「逆に村にいた頃の僕とは違うってとこを見せてあげるよ」

「上等だこらぁ」


始まってそうそうアランたちの言い争いが始まってしまった。

しかし険悪な雰囲気になるどころか全員楽しそうである。

この程度のやり取りはラグスにいた頃からよくあったのでシュウたちも慣れたものである。


「アランさんたちは楽しそうだね」

「そうっすねぇ」

「まぁ特にゴルドさんは緊張で疲れているでしょうし今日くらいは羽目をはずしてもいいでしょう」

「それにしても大会は2人とも目立っていたのう」

「え?フィアはともかく俺はそうでもなかったでしょ?」

「・・・あれで目立ってないと言うのは無理があると思いますぅ」

「だってフィアみたいに派手な動きはしなかったよ?なるべく地味に倒そうとしたわけだし」

「確かに動きこそ最小限だったがやってることがやってることだからのう。主殿、我が言うのもアレだが普通は刃を潰した剣で相手の剣をへし折るなんて芸当中々出来るものではないぞ?」

「そうっすよ。それも相手が攻撃してきたのに合わせての芸当っすからね。攻撃するとへし折られ攻撃しなくてもへし折られるなんて悪夢以外のなんでもないっすよ」

「最後に戦ってた人みたいに頑丈さを求めたような武器でない限りはまともに相手を出来ないでしょうね」

「・・・派手な動きをしないで、なおかつ決着がはっきりと分かる方法ってことであの方法を選んだんだけどなぁ。まさかあの人数が戦ってる中で注目されるとは・・・」


日本時代では勿論日常に戦いが組み込まれたような生活をしてはおらず、この世界に来てから数ヶ月程度の時間しか経っていないため、戦闘に関する知識では齟齬が発生してしまっている。

もらったチートが強力だったため、危ない場面でも何とか乗り切ってここまでこれたのだが、普段からシュウが何気なく思いついたことをティアナ達が注意していないとチート全開でやりだすためティアナたちの苦労が無くなる日が来るのか謎である。

つまりシュウが目立たないように気をつけているはずの行動を周囲から見ると非常識の塊だったりするのである。


「うーん、目立たないって難しいなぁ」

「・・・ある程度は諦めたほうがいいと思いますね。収納袋みたいにちょっと気をつけるだけでいいものとは違ってシュウの存在そのものをとなると・・・難易度が跳ね上がりますね」

「・・・そんなに?」

「そんなに、です」


バッサリと切り捨てられたので救いを求め他の仲間へと視線を向ける。

そしていつも通りスッと視線を外された。

今回シュウと同様に目立っているフィアにだけはこちら側になって欲しいためより強い視線を向ける。

少しすると、さすがに根負けしたのかフィアがシュウの方を見てくれた。


「そんな顔されても困るっすよ・・・」

「今回ばかりはフィアも同じ場所で目立ってたし・・・」

「うーん。シュウさんのとは全く質が違う気がするんすけど・・・」

「主殿よ。フィアは年齢や性別のことを踏まえた目立ち方だったと思うのじゃ」


カエデの言うとおりフィアが目立ったのは参加者全体で見ても珍しい女性であり、そして冒険者ランク的にも年齢的にも若輩のフィアがあれほどの動きをしたので注目を浴びていたのだ。


「それじゃあ俺は?」

「・・・聞いても凹まないかの?」

「・・・聞こう」

「はっきり言って人間の出来る動きではなかったの。気づいたら相手の剣が折れているし、それをやるにしても何の気負いすらない様子で行い、最後の相手に関しては動きがブレたと思ったら相手が既に戦えるような状態ではなかったじゃろ?」


シュウの最後の相手とは虎の獣人、鉄棍を武器として使用してきたカイのことである。

確かに最後の一撃を辛うじて防御に成功した彼であるが、シュウの攻撃を防ぐためにまともに受けてしまい、その力と速度によって増加された刀の質量により武器を持つ手が痺れてしまっていた。

そのためカイから攻撃を行うこともシュウの攻撃をあれ以上防ぐことも難しかっただろう。

完全に試合終了のタイミングに救われていたのだ。

ちなみにそのカイであるが決して弱くはない。

というか本来であればかなりの実力者なのである。

シュウがアレなのである。カエデも気を使ってはっきり言わないがアレなのである。

カエデが気をつかってくれてはいるがシュウも馬鹿ではないのでなんとなく察してはいる。

察しているが確定的に言われてしまえば凹んでしまうため精神衛生上の理由でこれ以上の追求はやめておく。


「まぁそれはもういいとして、本戦って明後日からなんだよね?」

「そう言ってたっすね。明日は休養日らしいっす」

「うーん、明日は何しようかなぁ」

「普通なら予選の疲れを癒やすのでしょうが、シュウの場合は必要無さそうですね」

「身体能力については色々貰ったからね」


チラリとそのチートをくれた女神様を見る。

シュウ達が話している間にもテーブルの上の料理を次々と忙しく口に運ぶのに忙しそうであり、とても(ダメな意味で)人間臭いこの女性が女神様という事実は覆らずスッと目をそらす。

そんなシュウを大量の料理を頬張りながら不思議そうに見返すリエル。

普通であれば2人が何を考えているのかわからないだろうが、それなりの付き合いがあり、二人の正体を知っている仲間たちはなんとなく察してしまっている。

当の本人であるリエルだけが分かっていないのでなんとも言えない空気が漂っているのだが。

とそれぞれのパーティに分かれて会話をしていたが本来は2つのパーティでそれぞれ出場、予選突破した事を祝うものである。

なのでこのままでは目的が達成されないためアラン達がこちらの会話に混ざってきた。


「それにしてもやっぱりシュウくんは強いねぇ」

「そうだねぇ。正直アタシらじゃ勝てるイメージすら沸かなかったよ」

「そうですか?」

「お前、アレだけのことやっておいてしらばっくれるんじゃねぇ!」


ゴルドは緊張から解き放たれた反動か酒の回りが早かったようで既に出来上がっていた。

シュウの肩に腕を回し、理想的な絡み酒の体勢である。

やんわりと押し返しながら一応の反論をしてみる。


「アレでも俺的には大分抑えてたんですけどね」

「・・・アレで抑えてたんだ」

「俺、あれを自分にやられたら全く勝てる気がしねぇんだけど・・・」

「大丈夫。僕もさ」


出場組であるアランとゴルドが少々落ち込んでしまった。

フィアにはまだ余裕があったので大丈夫だが、この2人はかなりギリギリだったのだ。

それを手加減した状態であの強さだった、と言われてしまえば落ち込むなという方が無理だろう。

そしてその反応を見たシュウも、ややいたたまれなくなっている。

これなら最初からある程度本気を出したほうが良かったのか?とも思ったが、それは他の出場者から確実に悲鳴が上がること間違いなしなので何とも難しいところである。

この後どうやって強くなったのか、という話へシフトしたのだがこれまた非常識な特訓法だったのでアラン達がすぐに真似することも出来ず、というかどうやって実践するのかすら想像できないため再び場の空気が死んだりしたのだがまぁ気にしたら負けだろう、と思うシュウであった。

このように本戦へ進んだ選手たちが祝勝会として、予選敗退した選手たちがやけ酒をしており、明日は大会も休みという状況も手伝ってかなり遅くまで街の明かりが消えることが無かったのである。


ということで祝勝会の一部を書いてみました。

正直どのくらいまでシュウの強さを上げるか試行錯誤している状況なので会話内容など後で変えるかもしれません。

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