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第05話_予選初日です

【さぁ、皆様お待たせいたしました。今年もこの時期がやってまいりました!!】


わああぁぁぁぁぁ!


闘技場の中に入ると何らかの魔道具で拡大された声が響いていた。

この世界にもシュウの知るマイクとスピーカーのような物があるらしい。

その声に煽られ観客から歓声から上がる。

一体どれほどの人が集まっているのか分からないが歓声の大きさから推測するとかなりの人数が集まっているらしい。

毎年多くの人が観戦に訪れる武術大会だが例年であれば予選でこれほど集まることはない。

これも『竜殺し』効果なのだがシュウは未だ気づいていない。


【さて、ご存じの方も多いと思いますがルールの説明をします。この大会は己の技と力を示す場です。武器は各々得意なものを使用して構いませんが弓矢のような飛び道具の使用は禁止されています。ですが自分の武器を投げ飛ばすのは構いません。まぁその後どうやって戦うのか分かりませんがね】


司会者の言葉で会場に笑いが起きる。

この司会者も慣れたもののようで実に堂々と喋っている。


【この大会で負けとなるのは気絶などで試合続行不能となった場合、中央の舞台から落ちた場合、審判が負けを判定した場合となります。そして多少の怪我を負わせることはお互い了承されていますが、致命の攻撃を故意に行った場合は失格となります。また明らかに卑劣(ひれつ)な攻撃をした場合、ルール違反とはなりませんがこの国で今後蔑まれるのは覚悟してくださいね】


ルールは単純明快のようだ。


【今日、そして明日の2日間で予選を行いそこで勝ち進んだ計16名が本戦に進みます。その本戦を勝ち進み見事優勝した選手には賞金が支払われます。ですがそれ以上に優勝者には最高の栄誉が与えられるのです!さぁ、最強の称号を手にするのは誰になるのか。予選を開始します!!】


わああああぁぁぁぁ!!


司会者がルール説明を終え大会が開始された。


◇◆◇


「まずはアランさんの試合ですね」

「そうねえ。うちのリーダー何だから無様な戦いだけはしないでほしいわ」


本日試合のないシュウとゴルド、そして参加しないメンバーは揃って観客席にいた。

フィアはこの後試合のため控室で待機しているし、アランは今まさに闘技場中央の舞台の上に立っていた。

直径20メートルほどの円形舞台の上に20人の選手が立っていた。

その半数ほどが獣人であり、残りは人族やドワーフのような亜人族である。

さすがに大会のお膝元だけあって獣人の参加者が多いが、それ以外の面々も中々に風格のある者が多い。

そんな中でアランは緊張しているのが観客席からも分かった。

なにせラグスの街ではそれなりの強さを持っていたのだが冒険者ランクはD。

街から外に出れば自分より強い者が多くいるランクなのだ。

そんな自分が観衆に見つめられる舞台上にいる。そう考えるだけでアランは体が固くなっていしまっているのだ。


「あー、やっぱり緊張しちまってるよ。あんなんで大丈夫かねぇ」

「大丈夫じゃないですか?試合が始まればアランさんも調子を取り戻しますよ」

「・・・っていうかアンタは随分余裕だね」

「だって俺今日は試合ありませんし」

「同じく試合のないゴルドが今から緊張してるってのにかい?」

「それは初参加なんだからしょうが無いのでは?」

「それはアンタも同じ・・・って今更言ってもしょうが無いか。フィアちゃんも緊張してないようだったしね。まったくアンタらの心臓には毛でも生えているのかねぇ」


シュウがあまりにいつも通りの態度でいるためイリーネが色々と言ってくるがシュウはどこ吹く風だ。

ドラゴンのカエデとの戦いに始まり色々な経験をしてきたので死なないように配慮されている大会で今更緊張するはずもないのである。

そうこうしているうちに司会者が再び喋り始めた。


【舞台上の準備もできたようなので予選Aブロックを開始します。選手の皆さんよろしいですか?・・・それでは試合開始!】


司会の言葉に合わせて一気に舞台上が動き出す。

それに合わせて観客のテンションも上がっていく。

舞台上でまず目を引いたのは巨大なハンマーを振り回す牛の獣人である。

早くも数人を場外にはじき出しながら舞台上を縦横無尽に駆けている。

飛び道具が禁止されているこの大会のルールだと剣など本来の機能である刃を潰されたものより、ハンマーのような打撃武器の方が本来の役割を発揮できるため、重戦車のようなあの突撃を止めるのは容易ではないようだ。

正面から受けようとすればその質量に押され横から攻めようとすれば振り回されるハンマーの餌食になる。

舞台上の選手たちに出来ることは進行方向からいち早く飛び退き被害を受けないようにすることであった。

と、そこで牛の獣人が次の目標にしたのがアランであった。

実はアランは試合開始から一歩も動いていない。

それを見た牛の獣人は彼が緊張から足がすくみ動けないものだと判断し、次の目標に選んだのだ。

一気にアランに肉薄しハンマーを振り上げた。

そのまま場外に弾き飛ばすべく一気に振り下ろした。

なすすべなく予選敗退かと思われた瞬間アランが動きを見せた。

剣先を上げハンマーの一撃を防ごうとしたのだ。


「あ!あんなので防げるわけが・・・」

「いえ、あれは・・・」


さすがにあれでは防げないと思ったイリーネが声を荒げるがシュウは冷静に次の動きを予測していた。

そしてそのシュウの予測通りの展開となった。

最初からまともに受けるつもりが無かったのか剣とハンマーがぶつかった瞬間、アランは剣を傾けハンマーの一撃を自分の脇へとそらす。

予想していた手応えのなかった獣人は前のめりにバランスを崩し、すかさずアランが獣人の腕を掴んで自分の後ろへと流した。

実はアランは緊張で動けなかったのではなく自分の得意な後の先の戦いをするため敢えて舞台際で攻撃を待っていたのだ。

そんな罠があるとは知らず攻撃を仕掛けた獣人は攻撃を流されそのまま体勢を崩された結果踏みとどまれず舞台の外へと落ちていったのだ。

そのままアランは攻撃されれば相手を場外へと誘いそのまま残り人数が4人になるまで持ちこたえたのであった。


◇◆◇


「ふぅ、何とか勝ったか」

「そういえばアランさんの戦いって初めて見ましたね」

「ん?そうだったかい?まぁうちのリーダーの戦いはそんなに派手じゃないから見ていてもつまらないだろう?」

「いえ。あれは相当の実力がないと出来ないことじゃないですか。勉強になります」

「はあ、そんなことを言う奴は初めてだね。アランに言ったら喜ぶかねぇ?」

「ん、ああ・・・」

「ダメだこりゃ」


イリーネに突然話を振られたゴルドは上の空で空返事をした。

それを受けたイリーネは肩を竦めてしまった。


「ゴルドさん大丈夫ですか」

「ああ・・・」


思わずシュウも声をかけるがやはり返事に力がない。

これで明日の出番が大丈夫なのか心配である。


【さて、Aブロックの4人が決定しました!皆様盛大な拍手を!!】


わあああああぁぁぁぁぁ!


【この後休憩を挟んでBブロックの試合を行います。昼食などは闘技場の売店などをご利用ください】


何気に司会が宣伝を挟んできたが売店を利用することに否はないので普通に昼食を買いに出掛けた。

全員で行くこともないので代表でシュウとティアナの2人が全員分を買いに行くことになった。

売っていたのはサンドイッチのような軽食だったがここでしっかり食べる必要もないので1人1個を買うことにした。


「あれ、そういえばフィアって何か食べるものあるのかな?」

「そういえば控室で待機するように言われていましたね。さすがに何か振る舞われているのでは?」

「明日は俺が同じようになるだろうし後でフィアに聞かないとね。最悪何か弁当みたいなものを持って行かないと」


フィアのことは心配だが朝ごはんをしっかり食べていたので大丈夫だろうと考える。

そもそもフィアが本気を出さなくても予選くらいであれば余裕で突破できそうである。

なのでそこまで深刻には考えないで済むのだ。

まぁ後で美味しいものでも買ってあげよう、という話になったのだが。

ちなみに後で聞いた話、控室でもシュウ達が買ったものと同じ軽食が提供され振る舞われたそうである。

戦いの前に食べるかどうかは選手の判断に委ねられるのだが、フィアは何の遠慮もなくモリモリと食べていたらしい。


大会が始まりました。

今回はアランの戦いのみで終わってしまいましたが、アランの戦闘スタイルを紹介できたので満足です。

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