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第04話_大会用の武器を作ります

「らっしゃい!」

「あの、すいません。壊れた武器とかくず鉄とかありませんか?」

「あぁ?あるにはあるが一体何に使うんだ?」


シュウは1人でガルムの武器屋に来ており、ラグスでも同じようなやり取りをしたなぁ、と思い出しながら簡単に事情を説明した。

ガルムの武器屋の店主はドワーフではなく熊の獣人であった。

獣人というのは人族に動物の特徴を付け加えたような見た目をしている。

例えば仲間のフィアは狐の獣人であり、人族と同じ顔立ちだが金髪から狐の耳と腰からは尻尾が生えている。

その代わり人族の耳がある位置にはなにもないのでその部分を見ると違和感を覚えたが最初だけであった。

ガルムは獣人が興した国であり、ハイエルとは種族の比率が異なり人族より獣人が多い。

しかし獣人とは総称でありその実は様々な見た目の人々がいた。

その中で目の前の店主は見た目が熊である。

指先などは人族と同じように5本に分かれているしシュウの知る熊よりも骨格が人間に近い気がする。

まあ『草原の狼』のゴルドも顔はまるきり狼なので忌諱感などは全く感じないが。

さて、話の続きだがシュウは何とか肝心な部分をはぐらかしながらくず鉄などをもらうことに成功した。

まさか魔力を通して砂状にしてから新しい武器を精製します、とは言えない。

ラグスの経験から、言ってしまえば確実に今日一日は拘束される。

明日から大会というこの状況でそれだけは勘弁してほしいため必死に誤魔化したのだ。

さすがに柄の部分はなんでも良いとはいかないのでそれなりのものを売ってもらった。

本当に何をするつもりなのか想像すら出来ていない店主は不思議そうな顔をしながら鉄と柄を用意してくれた。

樽1つ分の鉄と貰ったので足早に武器屋を後にした。


◇◆◇


「さて、武器を作ろう」

「うちはやっぱりいつも通りでお願いするっす!」

「了解。それじゃあ俺のもいつも通りでいいかな」


とりあえず武器を作るためもらってきた鉄を半分に分ける。

今までの経験から1つの容器に入った魔鋼の砂は半分だけ使用しようとしても全て使われてしまうようだ。

なので普通の鉄の状態のうちに分けておいたほうがいいのである。


「そういえばある程度の量を使えば武器はできるし、それ以上の量を使っても完成した武器の重さは同じなんだよなぁ」

「どうしたんですか、突然」

「例えばさ、俺の刀とティアナの杖って大きさがぜんぜん違うじゃん?」

「そうですね。私の武器の方が大きいですね」

「でも使った鉄の量からいえば俺の刀の方が使った鉄の量多いでしょ?」

「そう言われるとそうですね」


シュウの刀は今持ってきた樽と同じ大きさの樽一杯の折れた剣などを使用したもので、ティアナの杖は鉄塊1つから作られたものである。

しかし完成品の重さであればティアナの杖のほうがやや重いのだ。

魔鋼の特性か見た目よりは軽いのでティアナでも軽々と扱える程度なのだが。


「そういえばラグスの武器屋の店主さんが調べてくれる、って言ってたけど・・・」

「この大会が終わったらラグスに帰るのも良いかもしれませんね」

「そうだね。よし、今は目の前の大会に集中しよう。まずはフィアの武器からね」

「よろしくお願いするっす!!」


まずはいつも通り樽の中の鉄に触れながら魔力を流す。

ある一定の量を流したところで中の鉄は一気に砂状になる。

そこでフィア用の柄を手に取り、そのまま砂に突っ込む。

再び魔力を流しつつフィアの剣と同じ形をイメージする。勿論刃は潰しているイメージだ。

魔力を流しているとあるところで一気に形が形成される。


「ほい、完成。振ってみて」

「ありがとうございます!では早速・・・そりゃ!うりゃ!!」


フィアが剣を受け取ると少し離れた場所に移動し素振りを始めた。

ちなみに場所は人があまり来ないような空き地である。

やることがやることなので宿の中では出来ないしまだこの辺の地理に詳しくないのでガルムの外に出て行くのも憚られる。

なので空き地でこっそりと行っているのだ。

と、素振りを終えたフィアが戻ってきた。


「いい感じっすね。これで刃がついてたらいつもの武器と同じっす」

「上手く出来てよかった。じゃあ次は俺の分、と」


樽から出していた分の鉄を戻し、再び同じ工程を繰り返す。

違うのは出来上がる形状だ。

真っ黒な刀身で刃の付いていない刀、つまり模造刀のような状態である。


「よし、完成っと。じゃあちょっと素振りを・・・」


素振りした感じもいつもの武器と同じで調度良かった。

出来栄えに満足しているとティアナが近寄ってきた。


「満足のいく出来でしたか?」

「うん、これで大会もバッチリさ!」

「良かったですね。・・・で、1つ聞いていいですか?」

「何?」

「・・・鞘の分の鉄がないようですがどうするつもりですか?」

「・・・あ」


こういうところはラグスの街から全く成長していないシュウであった。


◇◆◇


日が明けて翌日、つまり武術大会予選当日である。

今日は朝から組み合わせ発表があるため全ての参加予定者が闘技場に詰めかけていた。

相変わらずシュウの知らないことだがこの日も『竜殺し』を見るため参加者以外にも観戦者が今か今かと発表を待っている。

だがこれもまた当たり前のことなのだが集まった観戦者は『竜殺し』がシュウだということを知らず、また発表は受付時に受け取った参加証に書かれた番号ごとにされるためどれがお目当ての選手なのか知るすべが無いのだ。

しかしそんなことは関係ないとばかりに集まった面々は発表の時を待っていた。

少しして担当者が大きな紙を持ってやってきた。

全員から見えるように合計4枚の紙が張り出され、それぞれA~Dまでのグループに番号が振り分けられていた。

並び順を見ると受付順ではなく完全なランダムのようだ。

1つのブロックごとに20個ほどの番号が書かれており、ブロックごとにバトルロワイヤルが行われ、勝ち残った各ブロック4人ずつが本戦へと進めるらしい。

そして今日は予選のうち前半戦、つまりA、Bブロックの予選が行われ残りは明日となるらしい。

問題は自分たちがどのブロックに振り分けられているか、ということだ。

仲間の中で参加するフィア、そして『草原の狼』のアラン、ゴルドは自分の番号を探している。

ここで同じブロックになれれば予選の間だけは明らかな共闘は出来なくても「お互いに攻撃はしない」とでも約束しておけば多少は戦いが楽になる。

そのため重要な振り分けだが残念ながら誰も同じ組にはなれなかった。

Aブロックにはアラン、Bブロックにはフィア、Cブロックにゴルド、そしてDブロックにシュウといった具合に綺麗に分かれてしまったのだ。


「あー、こればかりは仕方ないかな」

「そうっすね。皆が本戦に行けるように応援するっす!」

「フィアさんの場合はまず自分の戦いに集中したほうがいいのでは?」

「ハッ!そうっすね。まずはうちが勝ち進むっす!!」

「皆さんがんばってくださいねぇ」

「フィアよ。無様な戦いなどしたら厳しく特訓をしてやろう」

「うっ・・・。カエデちゃん、ちょっとは手加減して欲しいっす・・・。っていうかシュウさんには何もないんすか!?」

「だってシュウが予選で負けるとは思えませんし」

「そうですねぇ。むしろやり過ぎないか、の心配があるくらいですしぃ」

「主殿。手加減はせんとイカンぞ?」

「皆、俺を何だと思っているの・・・」

「「「「シュウ(さん)ですが?」」」」

「・・・人の名前を何かみたいに言わないで」


応援されているのか何なのか分からない言葉を受けてシュウは若干落ち込んだ様子を見せる。

しかしそれがただのポーズであることはシュウ及び仲間たちの様子を見れば分かる。

これがシュウたちなりの激励なのである。

それを見ていた『草原の狼』の面々が緊張しつつもそのやり取りを見ていた。

彼らからすれば初参加なのにここまで堂々としているシュウ達を羨ましく思いつつもどうしてそこまでリラックスしていられるのか不思議なのだ。

いつもは豪快なゴルドでさえやや緊張気味なのだ。

酒の席で大見得を切ったのが原因とはいえ自分の能力を試したい気持ちはあったのでこの武術大会は渡りに船だったのだがやはり緊張するものはする。

そんな彼に気づかないままシュウたちは早速行われる本日の試合に思考を移したのであった。


使用される武器は基本的に刃が付いていないだけで普段と同じものを使用します。

鞘ですが同じ形の武器なのでいつもの武器を収納袋にしまい、その鞘を使っています。

大会中には活かす予定のない設定なので本文中では説明を省きました。

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