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第07話_魔法が衰退した理由を教えてもらいました

魔法が衰退してしまった原因は大昔の魔法使いのせいだそうだ。


当時の世界ではその魔法使いが最強を語っていたそうだが、次第に増長し自身の持つ魔力と魔法で世界を牛耳ろうとしたらしい。

その考えに当時の魔法使いの多くが賛同し、魔法国家を設立して世界に服従を求めてきたそうだ。

もちろん他の国も黙ってやられるはずもなく連合を組んで反発し戦争が勃発。

最初は魔法国家が優勢であったが絶対数が少ない魔法使いの集団であるため徐々にその勢いは失われ、最後は連合が勝利を収めたそうだがそれでも受けた被害は甚大で魔法使いにより失われた人命は数知れず。

魔法国家に参加しなかった魔法使いもいたのだが周囲の人々により迫害までは行かないまでも冷遇を受け人里を離れて生活するようになっていったそうだ。

年月が経つにつれ悪いのは当時の魔法使いたちで今の魔法使いは悪くないという風潮が生まれたがそれでも新しく自分が魔法使いになろうとするものは少なく徐々に知識が失われ現在に至るらしい。

もちろん今でも魔法を継承する者はいるが数は少なく、その力も弱いものらしい。


「今この街にも1人だけ魔法使いの冒険者がいるのですが魔法でモンスターを倒すというよりは目眩まし的にしか使えていないそうです。

本人はもっと強力な魔法を使いたいそうですが何分失われた技術を1人で復活させるのは難しいようで」


ちなみに魔法がないのにファンタジーな世界観が保たれている要因は魔法の代わりに魔道具と呼ばれる擬似的に魔法のような効果を生み出す道具があるため現代日本のような機械類は発達しなかったためらしい。


シュウは憧れていた魔法剣士になることがとてつもなく困難で、魔法剣士になるために選んだ能力が微妙に使えないものになってしまったことを残念に思っている。

そして他の世界があまりに微妙すぎたリエルの管理世界のひとつにこのヒースがあることをほんの少しであるが納得し、完全にうまくいく話なんて無いんだなと考えるのであった。

過ぎたことを考えても仕方ないのでいま現状で出来る事をしようと気持ちを切り替える。


「これから剣士として頑張ります。どこか安く武器防具が手に入るお店はありませんか?」

「剣士ですね。わかりました。安いものであればギルドに中古品があるので差し上げますよ。品質は低いですけどね」


どうやら駆け出し冒険者のために中古の武器防具はある程度ストックされているようでシュウはそれらの中から比較的まともそうな剣と革鎧をもらうことに成功したのであった。

一緒にいつまでも制服ブレザーでいるのもアレなのでこちらの世界の一般的な服を何着か譲ってもらう。

脱いだ制服はこちらの世界だとかなり上等な部類に入るそうなので何かあった時のために大事にとっておくことにした。


せめてもの抵抗で職業は魔法剣士にしてもらった。

受付嬢には自分には高い魔力があるので後で少しでも魔法を覚えて牽制にでも使う、と説明してある。


こうしてシュウは魔法の衰退してしまったこの世界で使い所のない膨大な魔力を持った魔法剣士として冒険者登録出来たのであった。


◇◆◇


「おーい、シュウ君。待たせたかい?」

「いえ、それほどでもありませんよ。それよりもお金ありがとうございます。受付嬢さんから聞いたんですがあまり安くない金額だったそうで・・・」


達成報酬を受け取ってきたアラン達にまずはもらったお金のお礼を言う。


「気にしないでいいよ。将来有望な若者への投資ってやつさ」

「そうそう。聞いたぜ?お前の魔力の値結構高いんだってな?」


ゴルドがからかうような声で聞いてくる。


「ちょっとやめなよゴルド。いくら魔力の使いみちが無いからってそんな言い方は失礼でしょ。

それに他のステータスもアタシたちと同じくらいか上回ってるんだしさ」


魔力の使いみちが無いとハッキリ言われシュウは苦笑いしか出てこない。


「確かにそこは残念でしたが幸いにも他のステータスは低くなかったので頑張って依頼をこなしてお金は返しますね」

「気にしないでいいのに」


アランはそう言うが受けた恩はキチンと返すのが日本人のシュウの感覚である。

さすがに2,3月の某イベントのように3倍返しまではしようと思わないが。


◇◆◇


「ありがとうね。はいこれで依頼達成よ」

「どういたしまして。また何かあったらお願いしますね」

「あははは。長くこの街に住んでるがアンタみたいな礼儀正しい冒険者は珍しいね!」


その日、アランたちには冒険者登録祝いということで宴会を開いてもらい更には宿の料金も払ってもらった。

このままでは恩を返すどころか貰ってばかりなので翌日からギルドで依頼をこなすことに専念し始める。

依頼とはいってもいきなり町の外でモンスターと戦うようなことはしない。

Gランクの主な依頼は街の中での雑用だ。

草むしりを手伝って欲しい、ゴミ拾いを手伝って欲しい、大きな荷物の移動を手伝って欲しいといった本当に何でも屋のような依頼であった。


しかしシュウは嫌な顔をせず淡々と依頼をこなしてく。

ギリギリのその日暮らしではあるがアラン達にこれ以上世話にならないように生活出来ているのでまずは第一関門突破だ。

それに自分が何かするとお金の他にお礼も言ってもらえるのだ。

現代日本で生活していたシュウにとってはお金を貰った上にキチンとお礼を言ってもらえるというのは当たり前だが当たり前のことではなかったため結構新鮮さがあったのだ。

だからこそ丁寧に応対するしその結果良好な関係を築くというのは楽しいものだった。

Gランクの依頼はどちらかと言えば冒険者とは街の人々のために外で危険な魔物を倒したり資源を持ち帰る仕事なのでこれはそのことをより実感するための期間であると言えた。

なので依頼失敗することもなく順調に回数をこなすことができていた。

早くFランクに上がってより多くの報酬を貰い借金(アラン達はあげたつもり)を返済しなくては、と一日一日を過ごしてく。



数日後、Fランクに上がる条件のひとつであるGランク依頼達成10件目を無事達成あとはギルドに報告するだけとなった。


「よし、これで後は試験を受けて合格出来ればFランクになれるんだな」


ホクホク顔でギルドに向かう途中、今まで見たことのないような格好をした小柄な人物が目の前に立ちはだかってきた。


「ちょっと良いかしら?」

「えっと、どちら様でしょうか?」


その人物はどうやら女性で何やら自分のことを知っているらしい。

自分はその女性のことを知らないが、彼女がどのような存在であるかはあまり考えずとも理解することが出来た。

黒に近い色をしたローブにとんがり帽子、そして少し曲がりくねった杖。

間違いなく魔法使いの格好そのものであった。


「私はEランクのティアナ。あなたが噂の魔力Sの新米ね?」


どう考えても好意的とは思えないその物言いで若干の嫌な予感が拭い去れぬシュウであった。



説明回です。

これでタイトルは全て回収できました。

主人公がチート無双し始めるのはもう少し後です。

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