第06話_冒険者登録をします
「さて、シュウさん。説明は以上となりますが何か質問はありますか?」
「いえ特には」
「わかりました。登録はどうしますか?」
「問題ありません。お願いします」
「わかりました。それではこちらの紙に可能な範囲で記入をお願いします」
紙とペンを渡された瞬間、会話や文字の認識は出来る事をリエルに確認したが書けるかどうかは聞いていないことを思い出す。
少し迷うがなんとなく書けそうな気がして書き始めてみるとスラスラと書けるようだ。
記入は可能な範囲でということだったので名前と年齢を記入する。
他の項目は出身や得意な武器などがあったがそこは未記入だ。
「これで良いですか?」
「お名前がシュウさん、年齢は17歳ですね。記憶喪失ということでしたが年齢や文字は覚えているようで安心しました」
「文字を覚えていないとどうなるんですか?」
「その場合私が代筆することになります。ですがあまりやりたくないんですよね。私あまり字がうまくないんで」
可愛らしく苦笑しながらも無事に書類は受領されるようだ。
一緒に登録料として銅貨5枚を渡しておく。
「確かにいただきました。それではカード登録にあたりシュウさんのステータスを計測させていただきます。
あちらの部屋にどうぞ」
案内された部屋にはいるとあまり広くない部屋の真ん中に直径1m近い水晶のような球体があった。
「こちらはステータス計測器ですね。
ステータスはギルドランクと同じでG~Sに分けられます。
だたしこちらは-や+が付き、より詳細に判定されます。
カード発行後もこちらの機器でステータスを測定し更新していくことになります。
ステータス情報は冒険者の皆さんにとって命綱にもなりますのでこのような個室で計測しております。
それでは計測するので水晶に手を当ててください。」
(さあ、これで俺がどれだけチートをもらえたのか分かるぞ)
受付の女性がおそらく新規カードを思われるおそらく木製のカードを水晶下の差し込み口に入れたのを確認した後、シュウはワクワクしつつも水晶に手をかざす。
水晶が輝き出すが特に自分の体に変化はない。
そうして5秒もすると光も収まりカードが出てくる。
受付の女性がカードを取り出し何やら確認しているようだが、徐々にその表情が驚いたものに変化していく。
それもそうだろう。
自分は女神からチートな能力を授かっており、特に魔力については魔法を使いたいが上に特に念入りにお願いしたのだ。
つまり自分は将来有望な若手魔法使いとして周囲から見られるのではないか、そしてその期待通りに成長出来るのではないか、と。
ちなみにだが、シュウは純粋な大火力砲台専門の魔法使いを目指しているのではなく前衛に出る、どちらかと言えば魔法剣士に憧れている。
魔力をまといつつも敵を殲滅、止めに強力な魔法を用いたような戦いを望んでいるのだ。
そのため魔力、身体能力、回復力を貰える能力として選んでいた。
そんなシュウは多大なリアクションを期待しつつも受付の女性に話しかける。
「俺のステータスがどうかしましたか?」
「え、いや、あの・・・まずはご自分で確認してください」
そう言ってカードを渡してくる。
そこに記載されていたのは、
名前 :シュウ
年齢 :17
種族 :人族
職業 :--
ランク:G
Lv :1
体力 :B- (体力総量)
魔力 :S+ (魔力総量)
力 :C+ (身体的な強さ)
魔攻 :A+ (魔法の強さ)
防御 :D (防御力)
となっていた。
力と防御が少し低いのが気になるがそれでもこの世界の冒険者とくらべても弱い方では無いだろう。
そしてなんといっても魔力:S+である。
最初からカンストしているこの項目は望み通りのものである。
もしこの値が低ければと不安になりつつあったが、これなら望み通りのスタイルでイケそうだと安心していた。
「ご覧のとおりですが、シュウさんの能力は一般の方と比べて、いえ普通の冒険者の方々と比べても高い方になっています。
・・・これでレベル1とは今までどのような生活をしていたのか気になるところではありますがシュウさんは記憶喪失でしたね。
取り敢えずギルドとしては強い方に冒険者になっていただけるのは助かるのでこれからよろしくお願いしますね」
「はい、よろしくお願いします」
シュウ、内心ドヤ顔である。
あとは心苦しいがアランたちに安い武器防具を手に入れるためのお金を借りてすぐにでも借金返済に勤しむつもりだ。
しかしそんなシュウの計算は次の受付嬢の言葉で破綻することになるのである。
「この数値なら即戦力の剣士になれますね!」
「・・・はい?」
「あ、戦士のほうが良かったですか?」
「いえ、そうではなくて・・・」
なぜ魔力や魔攻と比べて低い力や防御が必要そうな剣士や戦士を勧めるのだろうか?と不思議に思っているとすぐにその答えは判明することになった。
「実際役に立たない魔力や魔攻よりも力とかがS+なら良かったんですけどね」
ヤクニタタナイ?何を言っているのか分からないが、いや分かりたくないが一応聞いてみる。
「魔力や魔攻って役に立たないんですか?」
「何を言っているんですか?
あぁ、そうか。忘れてしまっているようなので教えておきますね。
昔は魔力や魔攻を用いた魔法も強力な武器として成立していましたが、昔の大魔法使いのせいで魔法がが衰退してしまって魔法使いはもうほとんど存在しませんよ?
僅かにいらっしゃる方もせいぜい暖かい風を出すことがせいぜいで冬場とかの暖房には羨ましいですけどね」
にこやかに教えてくれる受付嬢には申し訳ないがシュウはすでに何も聞こえていなかった。
シュウの夢見た異世界生活はどうやらここで終了してしまうようだ。
異世界転生定番のチート能力披露&ギルド登録です。
あと、小説タイトルを一部回収しました。