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魔法の衰退した異世界で魔法剣士をやります  作者: サムガリン
第03章_やりたいことをします
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第11話_たまには特訓します

「美味ひいでふぅ」

「リエルさん、飲み込んでから喋ってください」


お昼に用意した焼きおにぎり(味噌味)を食べながら喋り出したリエルにティアナが注意する。

しかしそれで止まるリエルではない。


「だってぇ、美味しいんですものぉ」

「美味しいのは分かりましたからゆっくり食べてください。喉に詰まらせてもしりませんよ?」

「大丈夫です・・・ぐっ」

「ほら見てください。はぁ、水をどうぞ」

「ゴクゴク・・・はぁ、助かりましたぁ。ありがとうございますぅ」

「お礼はいいですからゆっくり食べてくださいね?」

「はぁい」


案の定リエルが喉に焼きおにぎりを詰まらせるがティアナが水を差し出し事なきを得る。

見た目的にはリエルのほうが年上に見えるのにこの光景には納得出来るものがある。

まぁ、シュウたち一行で最年長が見た目少女なカエデなので年齢のことを言うのは今更感があるのだが。

ちなみにティアナはシュウ以外で唯一リエルの正体を知っており、最初こそ礼儀正しく接していたのだが、割とすぐに固く接していてもしょうがないと気づいたので今に至る。


「でもホントに美味しいっすね」

「うむ、主殿は料理もできる素晴らしいお方なのじゃ」


カエデが褒めてくれるがシュウにしてみれば単純で簡単なものなので気恥ずかしさが勝る。

しかし褒められて嬉しくないはずもなくシュウも笑顔である。


「皆、ありがとうね。さ、ゆっくり休んだら訓練再開だよ」

「「「「はーい」」」」


こうして全員で昼食を楽しみ、英気を養う一行であった。


◇◆◇


すっかりピクニック気分であるが本日の予定は砂浜での特訓である。

午前中は全員で砂浜を走り、足腰を鍛えた。

午後からは各々にあった訓練を行う。

例えばフィア、カエデは完全な前衛なので2人で模擬戦を行い、いつもと違う環境での足運びを意識した戦闘法を確立させたい。

ティアナは大量の水、そして砂があるためそれらを魔法で操る訓練だ。

そしてシュウとリエルであるが2人が別メニューなのは別に戦い方が特殊だからではない。

理由は単純でこの2人の身体能力がチートで他のメンバーだと満足に模擬戦が行えないのだ。

そのため2人はお互いに模擬戦を行ったり、他のメンバーのサポートを行う予定である。


「さ、カエデちゃん、特訓するっすよ」

「分かったのじゃ」


早速フィアとカエデが始めるようだ。

本来の実力を発揮しきればフィアではカエデに勝つことは出来ないだろうが、人の姿となったカエデはその能力を完全に発揮出来はしないので模擬戦であれば丁度いいのである。


「じゃあ行くっすよぉぉお!?」

「どこを狙っておるのじゃ?遊んでいるのならこちらか行くぞっお!?」


2人とも狙った場所に攻撃できず苦戦している。

原因は攻撃しようと踏ん張っても砂に足が取られバランスが取れなくなるためだ。

毎回戦闘中に万全の状態であるとは限らないため、こういう足場での訓練はとても重要なのである。

ちなみに使っている武器はいつも戦闘で使っているものと同じであるが鞘に入れたまま使っているため万が一の怪我もないだろう。

模擬戦用の武器を購入することを考えたこともあるのだがいつも使っている武器が魔鋼製なので使い勝手が違いすぎるのでいまいち訓練にならないのだ。


「ほら、2人とも。いつもと足場が違うんだからそこを意識して戦うように」

「わかってるんすけど、難しいっすねぇ」

「力を込めると足が埋まるのじゃ・・・」


中々前途多難である。

さて、一方のティアナを見ると、こちらはこちらで苦戦していた。


「・・・」

「ティアナ、どうだい?」

「難しいですね。元からあるものを操るとなると、いつもと勝手が違います」


ティアナはいつも自分の魔力で出現させた炎を操って攻撃を行っている。

それを元からあるものを操れるようになれば消費する魔力も少なく済むため技術を習得しておいて損ということはない。

ちなみにそのことに気づいたのはラースの収穫時に海水を操った時である。

もしや、と思ったのでその後の水遊びで再度確認したら間違い無さそうだったのでティアナにも習得を勧めてみたのだ。

その時の会話であるが、このようになっている。


「元からあるものを操れば消費魔力が少なくなるからティアナもやってみて」

「普通はそんなすぐに出来ませんよ?まぁ、シュウだからしょうがないですけど」


チクリと刺された気がしたが気にしないことにした。

気にしたらちょっと凹みそう、ということでは断じてない。

このままではちょっと時間がかかりそうなのでアドバイスをしてみる。


「まずは自分の魔力だけを海水なら海水に、砂なら砂に溶かし込んで見るイメージをするんだ」

「魔力を、ですか?」

「そう、いつも魔力を杖に通して増幅させてるでしょ?その延長で海水や砂に流してみるんだ」

「いつもの延長ですか。分かりました。やってみます」


ティアナは頷いてから杖の先を海につける。

そのまま魔力を流すと海水に僅かだが変化が見られた。


「なるほど、これなら上手く出来そうですね」

「じゃ、その調子で頑張ってね」

「はい!」


成功の兆しが見えたティアナにはそのまま頑張ってもらうことにしてシュウは自分の特訓を行うべくリエルのもとに向かうことにした。


◇◆◇


「スー、スー・・・」

「・・・」


仲間の様子を見た後、リエルのところに行くと、そのリエルが見事に爆睡していた。

日差しがきつくない木陰で気持ちよさそうにしている。

シュウは無言で近づくとリエルの両頬に手を当て・・・そして引っ張った。


「ッ!?痛い!痛いですぅ」

「これから訓練するって言ったのにどうして寝てるのかなぁ?」

「ご、ごめんなしゃい~。お腹がいっぱいついついスヤスヤとぉ」


わりと力技でリエルを起こした。

リエルの扱いが雑になっている気がするが、どうにもこの女神様は最初にあった時から敬う気がしなかったので今更だが。


「むう、女の子の顔にぃ。酷いですぅ」

「はいはい。じゃあ訓練を開始するよ」

「はーい。それで私達は何をするんですかぁ?」

「俺たちは魔力を使った戦闘術の訓練だね。海に向ければ広くて障害物もないし丁度いい」

「分かりましたぁ」


シュウたちの訓練内容は単純で武器に魔力を纏わせそれを振るうことで威力を増幅させる動作の繰り返しである。

王都で魔獣の群れを相手にした時に魔法以外で離れたところからの攻撃手段があれば、と思っていた。

普通の冒険者であれば弓を使っての攻撃をするのだろうが、シュウたちにはアーチャーがいない。

今から覚えたり新たな仲間を迎えるとなるとまた面倒事が起きそうだ。

なので今ある手段を応用して攻撃手法を増やそうとしているのである。


「さて、基本的なやり方はリエルが前やった『魔拳』みたいに魔力を使って身体強化、そして魔力とともに衝撃を前に飛ばすんだ」

「難しそうですねぇ」

「そうでもないんじゃない?例えばリエルの武器はその戦斧でしょ?魔力を刃先に集中させて思いっきり地面に叩きつけるんだ。後はそのまま魔力を直線的に放出するかイメージをしてみなよ」

「直線に放出、ですかぁ・・・」


そう言ってリエルは武器を大上段に構える。

集中してから思い切り地面を叩きつけた。


ドォン


すると爆発音と共に砂が巻き上がる。

あまりの音に模擬戦をしていたフィアとカエデ、魔法の訓練をしていたティアナが駆け寄ってきた。


「な、なんすか、今の音は!?」

「主殿よ、今度は一体何をしたのじゃ?」

「何で俺って決めつけてるんだよ・・・」


自分のせいだと仲間に決めつけられシュウは久々に傷つく。


「で、あなた達は何をしていたのですか?」

「魔力を纏わせた武器で遠距離攻撃が出来ないかと思ってね。で、リエルにやってもらったんだけど・・・」


そのリエルであるが自分で仕出かしたことであるが思ったより威力が出たため驚いて気絶していた。


「あー、リエル大丈夫?」

「・・・完全に気絶してますね。それにしてもこのクレーターは・・・」


リエルが戦斧を振り下ろしたであろうその場所であるが、全く衝撃波が飛んだ形跡はないのだが、半径2メートルほどのクレーターが出来ていた。

恐らく直線的に魔力を飛ばすつもりがその場で爆発させてしまったのだろう。

その衝撃の強さに自分も驚いて気絶してしまうのは情けないが。


「魔獣の時から思ってたけどリエルってもの凄いパワーあるよね」

「ですね。・・・これは負けていられません」


ティアナの言葉にフィアとカエデも頷きそれぞれの特訓に戻っていく。

それを見送りながらリエルに目をやる。

最後こそ締まらなかったがその威力は申し分なかった。

これは自分も負けてられない、と思いシュウは刀を抜き海の方へ向かい上段に構えた。


「すぅー・・・はぁー・・・。・・・はぁ!!」


気合と共に刀を振り下ろす。

やっていることはリエルと同じ。

しかし結果は大きく異なる。


ズドドドドド・・・


轟音とともに砂が裂け、海を割っていく。

どこまでそれが続いたのか分からないが少なくとも見える範囲内で止まってはいないようだ。

それを見たシュウだが。


「・・・ダメだな。威力はあるけど溜めが長い。もっと早く出せるようにならないと・・・」


これでダメならばこの世界の冒険者達が揃って自信を無くしそうだがシュウとしては納得できる結果でないことは確かなのだ。

ちなみにこの結果は離れたところで訓練していたティアナたちにも見えたのだが、今度は誰も近寄って来なかった。

恐らくまたか、と呆れられているのだろう。

しかし敢えてそのことには気づかないふりをする。

気づいてしまえばまたショックを受けるというわけではない。そういうわけではないのだ。

そのまま続けて込める魔力、振りの強さを変えながら一番バランスのいいところを見つける。

回数を重ねる(たび)に海を衝撃波が通り抜けていく。

海に人がいると問題があるのだが、人影の見えない所を選んで行っていたので問題はないだろう。

・・・あくまで人影が見えない範囲だったのだが。


◇◆◇


「ん?なんだ?」


何度目になるか分からないが、衝撃波を海に向かって撃ちだすと沖の方の様子が変わったことに気づいた。

どうやら波が起きているようだ。

海なのだから多少の波は常にあるのだがそれをは違う動きをしだしたのだ。


「・・・何か嫌な予感がする。おーい皆ー。集合ー!」


シュウが号令を掛けると全員集まってきた。


「どうしたのですか?」

「いや、沖のほうの様子がおかしいんだ。何かあれば困るから集まってもらった」

「んー、確かに変な波が起きてるっすね」

「ふむ、一度引き上げるか?そういえばリエルはどうなのじゃ?」

「気がついたっぽいけどそのまま寝てる」


全員がリエルの方を見る。

先程までと違い明らかに穏やかな眠りに付いていた。

シュウは既に気づいていたのだが、起こすよりも自分の特訓がいいところだったので放っておいたのだ。

しかし今の状況では寝かせておくわけにもいかず、ティアナが代表して起こしている。

そしてシュウは沖のほうを警戒している。

徐々にだが波が大きくなっているようだ。


「・・・何か近づいてきてる?」


シュウの呟きがキッカケになったのか波が目に見えて大きくなってきた。

さすがに仲間たちも警戒を露わにしている。


「んむぅ、ご飯ですかぁ・・・」


起き抜けのリエル以外だが。


「ッ!皆、気をつけろ!!」


そしてその『何か』の影がハッキリ見えるようになったところでシュウが声を上げる。


「な、なんすかこれ!?」

「でかいのう」


その巨大な『何か』がついに海面に姿を表した。

それは巨大な体と複数の足を持ち、ニアの持っていた漁船程度なら軽く沈められそうな風貌をしていた。


「・・・タコ?」


シュウがその姿を見た感想を言う。

その姿は日本で言うところのタコに似た姿であるが大きさが段違いだ。

それは所謂クラーケンというモンスターであった。



たまには真面目に特訓したりもしています。

そしてボスっぽいのが登場しました。

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