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魔法の衰退した異世界で魔法剣士をやります  作者: サムガリン
第03章_やりたいことをします
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第08話_やってやります

シュウ達が海で遊んだ翌日、朝のミーティングである。

ちなみに昨日魔法を使って海で遊んだことは誰にも言っていない。

そんなことを言ってしまえば村長さんが再びフリーズしまうことが確実なので秘密にすることに決めていたのだ。

なので普通に海で散歩したりしていたことにしていた。


「さて、今日の予定だけど・・・どうしようか」

「そうですねぇ。目的だったラースも海で遊ぶのも昨日やりましたし・・・」

「それでは今日は漁の様子などご覧になりますかな?村の若い者が頑張っておりますので」


エルフの村で若いものと言われても恐らく100歳を上回るものがほとんどなのでどうにも違和感を感じてしまうが、異世界なのでその辺を気にしたら負けだろうと思い直す。


「それではお願いできますか?」

「ほっほっほ。それでは今日もニアに案内させましょう」

「お願いします。あ、ちなみにどんな漁の方法が・・・」


「モンスターが来たぞーーー!」


「え?」

「これはイカン」

「モンスターですか?」

「ええ。たまに来るんですよ。あ、でも数も少ないですしシュウ殿たちはゆっくりしていてください」

「いえ、手伝わせて頂くわけには行きませんか?」

「いや、しかし・・・」

「お世話になってる恩返しがしたいのですよ」

「・・・分かりました。お願いします」

「よし、皆行くよ!」

「「「「はい」」」」


思いがけず本日の予定が決定した。

村長の家を出て人が集まっている方へ向かう。

どうやら先程村長が言っていた若い者たちがそれぞれ武器を持って集まっていた。

武器と言っても漁で使用するであろう(もり)などがほとんどだった。


「おーい皆!シュウさんたちも加勢してくれるってさ!」


一緒に来ていたニアが集まったエルフたちに声をかける。


「おー、噂の冒険者さんたちかい?そりゃあ、ありがてぇ」

「そうだなぁ。こりゃいつもより早く片付けて漁に出れそうだなぁ」

「ん?ニア、いつもってどのくらい掛けて退治してるの?」

「いつもは大体半日以上かかるねぇ。だからその日は漁に出れなくて困るんだ」

「そうなんだ。じゃあ手早く済ませようか。皆さん!先陣は我々に任せてもらえませんか?」

「そりゃあ助かるが・・・そこそこの数がいるぞ?」

「大丈夫です。では出ます」

「お、おい、まだモンスターは海の先だ。おい!」


エルフの漁師が止めてくるがシュウは止まらない。

そのまま海へ一歩踏み出した。

さすがに船にも乗らず海へ出ようとするのは見過ごせず漁師が更に強い口調で止めてくる。

それでもシュウは止まらず海の中へ、いや海の上へと踏み出した。

足が海に浸かるのを想像していた漁師たちはいつまでも沈まないシュウの足を見て驚いている。


「皆、俺が可能な限り潰してくるから、撃ち漏らしがいたらよろしくね!」

「シュウも気をつけて」


ティアナたちに見送られシュウは一気に加速した。

海の上を地上と変わらない早さで走りだしたシュウを見て漁師たちは唖然としている。

ちなみに空を飛ばず海の上を走っている理由は覚えたての魔法を使いたかったから、という子供じみたものだ。

そのまま数百メートルも岸から離れると海の中を進んでくる何かが見えた。

異形ではあるが魚介類の特徴を持つそれらはまっすぐ村の方へと向かっているためこれが目標のモンスターなのだろうと当たりをつけ、シュウは攻撃手法を考える。


「雷系は・・・駄目だろうな。被害が大きくなりすぎる。となるとやっぱり水系か」


シュウは刀を抜き、切っ先を海水につける。

ちなみにシュウの刀は元は鉄だが魔鋼となった今は海水につけた程度で錆びるようなことはない。

そのまま魔力を流しつつ、モンスターに向かって振り上げる。

すると海中に何かが生まれ真っ直ぐとモンスターに向かって進んでいく。

その何かがモンスターの先頭に接触、したと思ったら何の抵抗もなくすり抜けていく。

何も起こらないかと思われたが、結果は既に出ている。

抵抗なくすり抜けたと思われたモンスターが真っ二つになる。

そして海中を進むそれは次々とモンスターをすり抜け、真っ二つにしながら群れを通り抜けた。


「おお、ぶっつけでも上手くいくもんだな。よぉし、どんどん行くぞぉ」


シュウは次々と刀を振り上げモンスターを切り裂いていく。

この魔法の正体だが、いつもは空中を進む風刃を海中に創りだしたのだ。

しかし空気のない海中では風刃を構成するものがないため代わりに海水で代用している。

そのため効果範囲は海中のみだが、今回の相手は全て海の中にいるため問題ない。

そして仲間が次々やられていくのでモンスターたちも慌て始め、水面がバシャバシャと波打っている様子が岸の方からも見える。


「おい、ありゃあ何をしてるんだ?」

「あれですか?・・・詳しくは分かりませんがシュウが魔法を連発しているんでしょう」

「魔法ってアレが?・・・いやぁ噂じゃあ魔獣の群れを殲滅したって話だが・・・あながち嘘じゃ無さそうだなぁ」

「まあ、あの時よりは大分地味っすけどね」

「恐らく魔獣の時の魔法を使えばこの辺一帯が漁場として致命的なダメージを受けるからだろうな」

「この辺一帯って・・・。そんなにデカイのか?」

「そうですねぇ。焼き魚がいっぱい出来そうですぅ」

「・・・そんな威力なのかい」

「まぁ、その辺は影響ない範囲で抑えているようですし大丈夫でしょう」


漁師たちが乾いた笑いを浮かべていシュウの方を見ている。

その目線の先ではシュウが一見すると刀を振り回しているだけに見えて着実に海中のモンスターたちを片付けて行くのであった。


◇◆◇


「いやぁ、終わった終わった」

「お疲れ様です。どの位いましたか?」

「んー、大体20匹くらいかなぁ。でも強さは大したことなかったよ」

「そりゃあ、いつもアタイたちだけで片付けられてるからね。まぁまさか1時間かからず終わるとは思わなかったけど」

「あははは。それよりも今日は漁に出れますか?」

「これだけ手っ取り早く終わらせてくれたんだ。今日はいっぱい取ってあんたらに恩返ししないとね。なぁ、皆!」

「「「おう!」」」


漁師たちが一斉に返事をして自分の船へと向かっていく。

そしてそれぞれの漁場へ向かい出航していくのだった。

それを見たシュウたちはというと。


「あ、漁の見学・・・」

「・・・また今度にしましょう」


漁師たちが一斉に出て行ってしまったということはシュウ達が見学のため乗せてもらう船も出てしまった、ということなので見学の予定はまた今度ということになったのだ。


◇◆◇


「また魔法を使ったですと!?何故ワシがいない時に限って・・・」

「まぁ、機会があればまた、ということで」

「次にモンスターが来た時はワシも戦いますぞ!」

「村長、無理はしないでね」

「何を言うかニア!ワシだってまだまだ現役だ!」


村長にモンスター撃退の報告をした所、村長がヒートアップしている。

ちなみに村長はエルフとしては確かにまだ若い部類なのに今回の戦いに出てこなかったのは別に村長としての権限を利用して出るのを面倒くさがったわけではない。

どうやら過去の襲来時にモンスター相手に頑張りすぎた結果、後に残る怪我を負ってしまったらしい。

日常生活では全く問題ないのだが、戦闘となると不安が出るとのことだ。

なので毎回待機しているらしいのだが、今回はシュウが魔法を使った上に、魔法に興味がありすぎる村長なので悔しかったようである。


「簡単なのでよければ後でお見せしますよ?」

「本当ですか!?いやぁ、催促したようで申し訳ないですな。それでは早速行きましょうか」

「え!?今からですか?」

「善は急げと言うではないですか。ささ、行きましょう」

「あー、村長こうなったら止まらないんだよね。ごめんよ」

「シュウ、諦めて行くしかないようですね」

「ティアナぁ・・・」

「あ、ティアナ殿も是非お願いしたいのですが」

「・・・」

「よし、ティアナ。行こうか」

「どうして私が巻き込まれることになった途端元気なったのか後でゆっくりお話させていただく必要があるようですね」

「・・・。さ、村長さん行きましょう」

「あ、ちょと、シュウ!」


シュウが村長を引っ張るように出て行った後をティアナが追いかけていく。

その様子を残った3人は自分が巻き込まれないで良かった、と思いながら見送るのであった。


殲滅戦ですがあまり苦戦はしなかったですね。

ちなみにやって来たのは全てドロップアイテムのないモンスターなので収穫としては経験値くらいです。

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