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魔法の衰退した異世界で魔法剣士をやります  作者: サムガリン
第03章_やりたいことをします
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第02話_いろいろ見つけました

「おぉ、これは・・・」

「お目当ての物が見つかりましたか?」

「いや、でもこれはこれで使いみちがあるんだ」

「・・・ジャグモですか」

「ティアナ、知ってるの?」

「えぇ、この大陸の北の方で栽培される食べ物ですね。ただ、毒があるらしいのでこの辺りで食べる人はあまりいないかと・・・」

「なんだと?おい、嬢ちゃん、こいつはなぁ・・・」

「芽とか皮の緑色の部分を食べなければ大丈夫だよ」

「・・・兄ちゃん、こいつのこと知ってるのかい?」

「ええ。というか結構好きなんですよね、これ」


シュウの食欲に従って市場(物を売りたい人が場所代を払って出店している)に来た一行だが、シュウの見つけたものについてティアナが知識を披露した所、それを売っていた店主から怒鳴られそうな所でシュウが止めた。

ジャグモ、日本で言うところのジャガイモだ。

日本にいた頃ほとんど料理しなかったとはいえ、ジャガイモの毒性については小学校あたりで習った記憶があるので知っていた。

自分の売り物を好きだと言ってくれたシュウに対して店主は顔を綻ばせている。


「そうかい。この辺りじゃあ毒があるなんてデマが広がってるせいで全く売れないんだが、兄ちゃんみたいに好きになってくれる人もいるんだなぁ」

「いやぁ、故郷だと加工品が色々と売られていたもんで」

「加工品?あぁ、茹でたやつに乗っけるもんかい?色々とあるが俺ぁやっぱりシンプルに塩が一番だと思ってんだ」

「確かにシンプルなのが一番ですよね。揚げたやつにも塩が合いますし」

「揚げる?揚げるってなんだい?」

「あー、揚げるってのは・・・多めの油を熱してその中に食材を入れるんですよ。

物によっては合わないものがあるんですが、このジャガイ、いやジャグモですか。

こいつは揚げても美味いんです」

「たっぷりの油ねぇ。そんなのにこの塊を入れたらベタベタになりそうだなぁ」

「そのまま入れるんじゃないんですよ。薄くスライスするか、細めの棒状に切って入れるんです。なるたけ高温で短時間で上げることでベタつきも抑えられる・・・はずです」


無論ポテトチップスやフライドポテトのことである。

しかし詳しい作り方など知らないためその辺はだいぶアバウトだが。

今まで知らなかった調理法を教わり、店主は近いうちにやってみる、と言っていた。

ちなみにこの世界は油の値段はそこまで高くない。

高くはないのだが無駄に使うこともしないため、揚げる、という調理法は今まで存在しなかったようだ。


(揚げるって文化がないのか。ならフライドチキンとかやってみても面白そうだな。・・・作り方よく知らんけど)


シュウはとりあえず後で油に適当に切った(のようなコッコ)の肉を適当に切って小麦粉をまぶして投入してみることにした。

その結果は下味も何も付けずいきなり上げられた肉が日本で食べた物の味に遠く及ばないことで何が原因か悩むことになるのだが、これはまた後の話である。

とりあえず今は白米を探すのだ。


「っていうかよく考えれば小麦粉はあるんだよなぁ」

「小麦粉?あぁ、パンの材料にするあれですね。シュウの探しているのはあれなのですか?」

「いや、形は似てなくもないけど別物だね」


米と小麦は収穫前の形こそ似ているが性質は全く違う、と聞いたことがある。

正直小麦を炊けば米っぽくなるのでは?と思わなくもないが失敗が目に見えているためやめておいた。

ジャグモを売っていた店主からせっかく見つけたのだから、とジャグモをある程度購入しておいた。

収納袋があるためあって困ることはないだろう。

シュウは自身の欲するものを探して再び市場を歩き出した。

ところでティアナ以外のメンバーだが、食材を見ているのに飽きたのか早々に屋台街の方へ移動している。

これはあくまで自分のワガママなのでそれを咎めるつもりは一切なかった。

というかティアナにも屋台の方に行ってもいいよ?と言ってみたのだが。


「いえ、シュウと居たほうが面白そうですし。それにそろそろ私も料理下手の称号を返上したいので」


とのことだ。

料理下手の称号を返上するためかティアナは先ほどの店主とシュウの会話の内容をメモしている。

恐らく後でジャグモを揚げてみるつもりだろう。

・・・念のため火事にならないよう見張るか、とシュウは決めている。


◇◆◇


その後も食材を見ていくが白米らしきものは発見できずにいた。

見ているとニンジンのような『キャロン』や、キャベツのような『コル』、トマトのような『メット』といった見たことのあるような野菜は多数発見できた。

また、全く見たことのない、というかほんとうに食べれるのかも分からない極彩色の果実なども売られていたため、しばらくぶりに異世界であることを実感させられた。

知っている野菜についてはいくつか購入し、だが目当てのものが見つからないのでシュウは徐々に落胆の色が隠せなくなってきた。


「シュウ、あの・・・。あまり気を落とさないでくださいね」

「ありがとうティアナ。でもやっぱり白米は厳しいかぁ・・・」


ティアナに励まされるが落ち込むものはしょうがない。

市場を隅々まで見てみたが終ぞ売っているものは見かけられなかった。

今日売っていなかっただけなのか、やはりこの世界に存在しないのか。

現在の季節が太陽が照りつける真夏なので日本では秋にとれる米がないのも冷蔵手段等が乏しそうなこの世界ではしょうがないかもしれない。

だが、確か冬あたりが旬のニンジンも売っていたのであるいは、と思っていたのだ。

そんな期待が打ち砕かれシュウは肩を落としている。

目に見えて落ち込んでしまったシュウをティアナは何とか励まそうとするが何と声をかければいいのかすら分からない。

困っていると市場の隅、というか人目につきづらい場所にまだ店が出ているのを発見した。


「シュウ、まだあそこにお店が残っていますよ」

「え?あ、本当だ。・・・最後の望みをかけて行ってみるか」


本当に僅かな希望を掛けてシュウは歩き出す。

それに追従するようにティアナも動き出した。

2人がその最後の店の前に来ると後ろを向いて商品の整理をしていた店主らしき人物が振り向いた。


「お、いらっしゃい。こんな隅っこの店にようこそ」

「・・・えっと」


シュウは口ごもるが、別に皮肉っぽいことを言われたからではない。

その人物の容姿に驚いていたのだ。

今までの店主はそれなりの年、つまりおじさん、おばさんと言っていい年齢の人物が仕切っており、若いといえばその息子、娘と思われる子供が手伝っていた程度だ。

それがこの店はシュウより少し上くらいの、恐らく女性が取り仕切っている。

恐らく、とつけたのはその人物のある一部がフラットだったため、髪型や声の高さで判断したせいだが別に若い女性が店を出していたとしても驚く要素はない。

シュウが驚いたのはその顔の側面についた物、耳が通常より縦に長い、そして尖っているためだ。

シュウが呆気にとられているとその人物が笑いながら話を続けた。


「お、お客さん。エルフは初めてかい?」

「あ、やっぱりエルフなんですね」

「あぁ、そうさ。アタイはエルフさね」


エルフ、と言われてとりあえずその耳やフルフラットな一部分、そして中性的な顔立ちについては自分の知っているエルフそのものだ、と思う。

だが、ある一点がどうしてもエルフの特徴と一致しないのだ。

そのため本当にエルフなのか質問を繰り返しても返ってくる答えが一緒だったため、そういうものか、と納得しておく。


「さて、お客さん。一体何をお求めで?」

「えっと、なんていえばいいかな。俺の故郷で食べられていたものがこっちで手に入らないかなぁ、といろんな店を巡ってたんだ」

「お客さんの故郷の?だとすればうちにはないかなぁ。うちにはこの辺じゃ珍しいけどアタイらのところくらいでしか食べられないようなものしか売ってないんだよねぇ」

「お姉さんのところでしか?それを王都で売っているんですか?」

「そうさ。何とかうちの村の名産品に出来ないか、と思ってね。だけど珍しすぎて誰も買っちゃあくれないんだよね」


たはは、と苦笑しながらエルフのお姉さんは残念そうな顔をしていた。


「ちなみにどんなものがあるんですか?」

「お、見ていってくれるかい?ありがたいねぇ。そうさねぇ、こいつが・・・」


シュウが聞くと喜々として商品の説明をしてくれた。

その説明を聞きながらシュウはなんとも言えない違和感を感じていたが顔には出さない。

違和感の正体は明らかで、エルフが売っているには少々おかしい物しか売られていなかったためだ。

このラインナップではシュウの求めるものもありそうにないな、と思ってはいるが、それでも最後まで説明を聞いていると。


「最後にこれが・・・美味しいと思うんだけど誰にも受け入れられないんだよねぇ・・・」

「その袋ですか?」

「あぁ、こいつはアタイの好物なんだけど調理が面倒で村の連中もなかなか食べないんだよ」


最後の大トリに持ってくるあたり、余程好きなのだろう。

だが、同時に不人気でもあるためその意味もあったかもしれない。

お姉さんが手提げ袋くらいの大きさの袋の口を開けてシュウにその中身を見せてくれた。


「は!?」

「あー、やっぱりそういう反応しちゃう?そうだよねぇ。こいつは・・・」

「お姉さん!これはどこで手に入るんですか!?名前は!?」

「お、おお?どうしたんだい?こいつはさっきも言った通りうちの村で採れるラースって食いもんさ」

「ラースですか!これを売っていただくことは出来ますか!?」

「売り物だからもちろんいいけど・・・、アンタこれを知っているのかい?」

「これって適量の水で炊くとふっくらとしてモチモチした食感になるやつですよね」

「知ってるのかい。もしかしてこれが故郷の?」

「そうです!俺の追い求めていたものです」

「はぁ、うちの村以外でも食べるような所があったんだねぇ」


シュウが大興奮してエルフのお姉さんに詰め寄っている物、何を隠そうこの市場に来た目的でもある米であった。

まさかこの店のラインナップで売っているとは思わなかったが、期待していなかった分シュウのテンションの上がり方がハンパではない。

しかし、どうして売っているのか気にならないでもないため聞いてみることにした。


「どうしてこの店で売っているって、そりゃあ他の売り物と同じ場所で取れるからに決まってるじゃないか」

「え?だってこの店で売ってるのって・・・魚介類(・・・)ですよね?」

「あぁ、そうさ。だから漁師(・・)のアタイが同じ海で取れるこのラースを売ってるのさ」


そう、シュウが先程から感じていた違和感。それは深い森の奥でひっそりと暮らす色白なエルフというイメージだったのに、目の前のお姉さんは明らかに日焼けをしており、森の恵みではなく海の恵みを売っていることだった。

そしてシュウの追い求めていた米がまさか海産物だとは考えもしなかったので多少呆けるのも無理もないのであった。



固有名詞を付けるのは大の苦手なのでその辺は大目に見ていただけると幸いです。

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