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魔法の衰退した異世界で魔法剣士をやります  作者: サムガリン
第03章_やりたいことをします
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第01話_食は大事です

今回から新章です。

よろしくお願いします。

人族が多く暮らす国、ハイエル。

そして国名と同じ名を関する王都ハイエル。

多くの人が暮らし、日々を過ごしている都市であるが毎日何事もなく生活出来ているわけではない。

最近の出来事でいえば、王都にある冒険者ギルドのギルドマスターが別の街にいた冒険者を呼び出し無理矢理模擬戦を申し込んだり、とある悪徳貴族が私腹を肥やす為に孤児院の運営資金を着服したり、更には中々発生しないはずの魔獣が群れをなして王都を襲撃にやって来たりしていた。

そしてこの全てに関わったものがいる。

もちろんシュウだ。

彼は元々この世界の住人ではなく日本から女神の手違いにより転生させられてこの世界にやって来ており、現在の冒険者ランクがDと駆け出しを卒業し、一人前と言っていいランクに達したばかりの冒険者であるが、ギルマスとの模擬戦に勝利し、魔獣の群れをほぼ1人で殲滅するという快挙を成し遂げている。

それだけの活躍を見せたシュウであるが、彼は今どうしているかというと・・・。


「あー・・・・」


王都に来た頃から使っている宿屋のベッドで物凄くダレていた。

彼がこの世界にやって来たのはこちらの世界では春先のことだ。

そして最初に訪れた街やこの王都でトラブルに巻き込まれながらも、そのほぼ全てを力技で解決したりしているうちに季節は夏真っ盛りとなっていた。

だが別に暑さでダレているわけではない。

というか彼はこの世界で衰退してしまった魔法を次々と使い、更には使用法や有用性などを実際に見せて証明している。

そんな彼が暑さに対して何もしないわけがなく、既に空間冷却(個人用)で周囲の温度を適温に保っている。

仮に火口などに言ったとしても直接溶岩に触れないかぎり暑さでやられることはないだろう。

ちなみに使う魔法を変更すれば溶岩に触れようと平気なのだが

ではそんな彼が何故ダレているかというと。


「ご飯が食べたいぃ」


ご飯が理由である。

食料的な意味ではなく、白米的な意味だ。

そもそも彼はこの世界にやって来る前は極普通に日本で高校生をやっており、白米よりもジャンクフード的なモノのほうが好みだった。

なのでこの世界に降り立ってから食したものは彼の好みにマッチするものが多く、日本にいた頃に見ていた異世界転生物の物語にありがちな日本食が食べたくて苦しむ、というのは自分には関係のない話だと思っていた。

しかし現実はこれだ。


「白米とか食べなくても平気だと思ってたんだけどなぁ・・・。

一度思い出すと無性に食べたくなる。ぐぬぬ・・・」


ベッドの上で無駄にゴロゴロ動き回りながら自分にしか分からない悩みで悶えている。

やっぱり日本食が食べたくなるのは日本人の性であろう。

それに、だ。

彼が今までこの世界で食べてきたものがどういうものかというと。


・パン(ただし日本のものよりかなり硬い。スープに浸して食べると美味しい)

・スープ(野菜が沢山煮こまれており塩で鯵が整えられている)

・焼き鶏(串に刺したものではなく形そのまま焼いて塩や稀に香草で風味づけされている)

・焼肉串(主に屋台で購入。何らかの獣を切り分け塩や香草で味付けしたもの)

・焼き菓子(砂糖など一切不使用。素材の味で勝負)


とシンプルなものが多い。

それでも最初の頃は素朴ながら素材の味が充分に活かされ、特に肉類は肉汁が溢れ出てきてとてもジューシーな仕上がりのそれらを楽しみながら食べていた。

しかしそれが数ヶ月続くと飽きてくる。

たまに使用される素材や香草などが変わっており味が全く同一ということはないのだが、基本的に塩がメインの味付けのため飽きるな、という方が無理だろう。

どれだけ胃袋が若くても日本人として生きてきた習慣でたまには白米や味噌汁、焼き魚などいかにもなものが食べたい時があるのだ。

日本にいた頃は材料が簡単に手に入るので食べたい時に食べることが出来たのでそこまで実感はなかった。


しかし、この世界では全く状況が違う。

魚は海や川で手に入るだろうが生きたまま輸送など出来ないため、手に入るとしても塩を大量に刷り込まれ保存を第一にされ本来の味が消えてしまった干し魚になるだろう。

更に白米や味噌などこの世界にあるかすら分からない。

味噌などでいえば物語の定番としては先にこの世界に転生してきた者や、主人公が日本時代に培った知識により完全にとはいかないのだが再現されたものが出てくる。

しかし残念ながらシュウはごく一般的な男子高校生であり、味噌の作り方など『すごく手間と時間がかかる』程度しか知らなかったのだ。

それに先にこの世界にやって来た人物、というのも可能性はない。

この世界を管理している(らしい)リエルに聞いた所、リエル自身が送り込んだのはシュウただ1人だけであり、他の神が別の神の管理する世界に干渉することは基本できないそうだ。


ついでに聞いた所によると、シュウをこの世界に送り込んだ直接の原因は暇すぎて別の世界である日本を見ていた時(干渉は出来ないが見ることは普通にできる)その時見ていた人物が車に轢かれて死んでしまいそうだったらしく、突然のことで思わず力を使ってしまったらしい。

しかしこの『思わず』が厄介で、普通は干渉できないはずの世界に無理矢理干渉しようとしたものだから狙い通りの人物を連れてくることが出来ず、代わりにシュウが連れてこられた。

そのとき残っていた理性が変に作用し、日本におけるシュウの交友関係などを全て『無かった』ことにして干渉時に発生した矛盾を取り除こうとしたらしい。

結果、助けようと思った人物を助けることが出来ず、代わりにシュウが巻き込まれたということらしい。

それがバレた結果リエルは罰としてこの世界に落とされることになったのだが、本人は今が楽しいので気にしない、とあっけらかんとしたものだった。

長々と綴ってはみたが、要するに現状シュウの欲するものは手に入らない、もしくは手に入れるのが難しいのだ。

つまり、今できることはひたすらに湧き上がってくる欲望を抑えこむことしかない。


◇◆◇


「食べたいものがある」


毎朝恒例のミーティングにて、シュウの我慢できなかった結果がぶちまけられた。

どれだけ忘れようとしても一度考えてしまったことはなかなか消し去ることが出来ず、最後には夢にまで出てきたのだ。

さすがに参ったシュウは手に入れることは出来なくても、何らかの行動を起こした結果であれば諦めもつくだろう、と仲間を巻き込んでしまうことに申し訳無さを感じつつ話を切り出した。


「藪から棒になんですか?」

「シュウさんの食べたいものですかぁ?私も食べてみたいですねぇ」

「いや、主殿は何が食べたいかまだ言っておらんじゃろう?」

「リエルさんは食事のことになると真っ直ぐっすねぇ」

「それで、何が食べたいんですか?」

「ご飯だ」

「はい?」

「だから、ご飯。白米。ライス」


シュウの言っていることがいまいち理解できずティアナたちは困惑している。

ご飯であれば毎食欠かさず食べている。

だが、どうやらシュウの言う『ご飯』は違うらしい、とそこまでは分かった。

しかし、そうなると何が食べたいというのだろう。

恐らくその後に続いた『白米』や『ライス』というもののことらしいがどうにも想像がつかない。

シュウに詳しく聞いてみると、それがどのような食べ物なのか説明されたが全く理解できなかった。


「白い粒でそのままでは食べれないが水を使ってふっくら炊きあげる、ですか」

「そう。俺の故郷じゃよく食べられていたんだけど、しばらく食べてなかったから我慢できなくなってきた」

「我慢できないって・・・危ない薬とかじゃないっすよね?」

「決してそんなものじゃない。でも時々無性に食べたくなることがあるんだ」

「そのようなもの聞いたこともないのう」


ティアナ、フィア、カエデは分からなそうに首を傾げている。

この3人はこの世界の出身のため日本で食べられる食材など知らなくて当然だろう。

シュウもそれは分かっていた。

だが、この場には自分以外にこの世界の出身ではない者がいる。リエルだ。

彼女には自分より以前に日本人を送り込んだしていないか?とは聞いたが直接食べたいものに付いて聞いてはいなかった。

完全にライトオタクとしての知識が邪魔をしてシンプルな質問が思い浮かばなかったからだ。

なのでシンプルに自分の目的を伝えてみた。

仮に今その存在を知らなくても神様パワー的なもので検索できたりしないものか、と一縷の望みを掛けて彼女を見る。


「すー・・・すー・・・」


シュウが期待のこもった目で見つめる先には気持ちよさそうに寝息を立てている女神様がいた。


「・・・」


どうやらシュウが自分の知らない物に付いて熱弁し始めたため、聞いているうちに寝てしまったようだ。


ビシッ


「ふぇ!?な、なんですか?寝てなんかいませんよ!!」

「思いっきり寝てただろうが!!」


思わずチョップをかまして起こすと定番中の定盤のセリフを言うリエル。

そしてお約束のツッコミを入れたところでシュウはいい意味でリラックス、悪い意味で脱力してしまった。

ふぅ、と息を吐き椅子に座り直す。


「それで、リエルはそういうの知らないか?というか探すための方法は知らないか?」

「えーっと、ですねぇ・・・」


リエルは考えこむように目を瞑る。

女神パワー発揮か?と思われたその時。


「すー・・・」


ビシッ


「ふぁあ!?」


天丼をかまして来たリエルに対して二度目のチョップである。

この後、間接的な言い方が駄目だったのかと思いこっそりストレートに聞いた所、神様的なパワーは制限されているため、ただの食材の検索も出来ない状態らしい。

シュウががっくりと肩を落としたのは言うまでもない。


◇◆◇


シュウが軽く暴走仕掛けた朝のミーティングの後、シュウたちは王都の市場にやって来ていた。

今までは屋台街の方には行ったことがあるが、食材そのものをを扱う市場には来たことが無い。

何故ならシュウたちのパーティで料理が出来る者がいないからだ。

正確に言うと進んで人に食べさせられるような物を作れるものがいない、だが。

一応フィアが野宿をするときなどは調理担当となっている。

それでも食材を塩で味付けし、そのまま焼くだけのものだ。

そんな彼女が調理担当な時点でお察しだが、カエデは元々食事を取らずとも魔力だけで生きていけるし、リエルは女神のため料理という概念すら無かった。

シュウもたまには覚えようとするのだが、生焼けを恐れるあまりたまに焦がしてしまう。

そしてティアナだが・・・なんというか地味なのだ。

これが仮にダークマターを生成したり、調理中に何故か爆発が起きる、など特徴的な事象が起きるのであればまだネタになるが、それすら無い。

なんというか、こう、見た目はいいのに地味に美味しくないのだ。

見た目がそれなりのためコメントに困る。

以前彼女が言っていた『自分で食べるくらいならできるが、味の保証が全く無い』というのが事実だと証明された瞬間でもあった。


料理とは全く無縁と言ってもいいのパーティではあるが、シュウの熱意に押され、市場で食材を見て回っている。

選んでいるのは食材とはいえショッピングには変わらないので女性陣のテンションはいつもより高めだ。

それを後ろから見ながらシュウは売られている食材を一つ一つチェックしていった。

その中に自分の求めるものがあることを祈って。



他の転生者については設定を制御し切る自身がないのでいないことにしています。

あと、シュウもあまり深い知識は持っていません。

なぜなら投稿者の知識も少なく、ヘタに調べながら書くと確実にボロが出てしまうためです。(おい

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