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第24話_驚きました

王亀を、というか魔力障壁を突破して攻撃するための方法を3人に教えてシュウは観察モードに入っていた。

が、カエデが話しかけてきた。


「むぅ、本来であれば我の超すごい攻撃であんなやつ程度片付けられるのじゃがのう」

「それをしたら二度と王都、というか人の住む場所に行けなくなるよ?そして美味しいご飯も・・・」

「人前で二度と変身しないのじゃ」


珍しくカエデが聞き分けたところでシュウは再び倒れている王亀の方へと目をやる。

3人が王亀のもとに到着し、攻撃を開始した。

最初はティアナのようだ。

彼女は巨大な炎を針状にして王亀の頭に突き刺した。

障壁が働いたようだが数秒で突破し、王亀の頭を焼いている。

これは予想の範囲内だ。

それでももう少し時間がかかると思っていたが。

次はリエルが横から襲いかかった。


「・・・は!?」


リエルは離れたところから跳躍したかと思うとグルグルと縦に回転し王亀の甲羅を砕いていた。

自分の雷槍で貫けなかった甲羅が見事に砕けるのを見てシュウは驚きを隠せない。

雷槍は刺突系の攻撃でリエルのは打撃系なので硬い甲羅に及ぼす影響を考えると多少納得出来かけるが、それでも自分の中でも最大級の攻撃で出来なかったことをアッサリやってのけたのだ。


「ふむ。リエルのあれは遠心力に加え魔力でブーストして回転力を強めておるのう。

・・・後は武器の重さでも変えたかな?」

「たぶんね。いやぁ、驚いた。リエルの腕力は凄いのは知ってたけど魔力も合わさるとあそこまでの破壊力になるのか」

「くくく、主殿。うかうかしておると抜き去られそうだのう」

「確かにね」


リエルはドジをやって地上送りにされたとはいえれっきとした女神なのだ。

その能力がわずかでも発現すればあの程度はやってのけるだろう、と納得しておく。

最後はフィアの番だ。

正直彼女が一番障壁を抜くのに苦労しそうだと思っている。

これまでの特訓や狩りでもティアナのような魔法が使えるわけでもなく、リエルのように魔力を器用に操ることも出来ないため、他のメンバーに比べると見劣りしてしまうのだ。

それでも他のメンバーに比べると、であり一般の冒険者に比べると充分な強さは持っているのだ。

そんな彼女がどのように攻撃するのだろうか、と見ていると彼女は真っ直ぐ王亀の頭にむかって掛けているではないか。

確かに頭の部分はリエルの攻撃でダメージを負っており、更には炎が燃えているため目眩ましの効果もあるだろう。

しかしそれもあと僅かで消えることは明白であり、フィアの攻撃には間に合いそうにない。

案の定フィアが到達する前に炎は消え、王亀は頭を振ってフィアを食おうと口を開いている。

普通に考えて避けることは容易い速度であったので心配はする必要がないが、避けるだけではダメージを与えられない・・・と思っていたらフィアの姿が消えた。

否。消えたように見える速度で王亀の頭の下を駆け抜けたのだ。

そのまま真っ直ぐ上にジャンプした。


「ジャンプしてなにを、って、え!?」


シュウは何が起こったのか分からないような表情を浮かべ、固まっている。

それもそのはずでフィアは離れた場所にいるシュウですら見ることがやっと、という速度で剣を振りぬいたのだ。

というか振り始めたと思ったら振り終わっていた。

直後、王亀の首が半ばまで斬り裂かれ何とか上体を起こしていた王亀が完全に沈んだのだ。


「ほう、あれはなかなか・・・」

「カエデ、フィアが何をしたのか分かるの?」

「簡単なことよ。障壁が発動するより早くその身を斬り裂いた、ただそれだけじゃ」

「・・・そんなこと可能なの?」

「元々あやつには主殿のような人族よりも強靭な肉体があるのじゃ。そこに今のあやつのほぼ全力による魔力強化が加わって初めて可能となるかもしれない攻撃じゃな」

「なるかもしれない、って」

「常にあれをやれ、と言うのは難しいじゃろうな。じゃが相手の動きが鈍って自分が集中出来る状況が整っておれば成功率は跳ね上がるじゃろう」

「なるほど。それであれか・・・。凄いな」


フィアだけではなく仲間全員に向けた言葉である。

障壁の突破自体は全員可能だろうと思っていた。

だが何度も挑戦することになるだろうし、さらに突破した時点で致命となるようなダメージを与えるだけの威力が残っていると思ったか、と言われれば首を横にふることになるだろう。

そんな予想をしていたが結果は見事に逆、全員一発で成功させ与えたダメージも申し分ない。

シュウは全員きちんと褒めてあげなくては、と思う一方自身の特訓も欠かせないな、と思うのだった。


◇◆◇


「シュウさん!見ててくれたっすか?うちらやったっすよ」

「ちょぉっと目が回りましたぁ」

「むぅ・・・」


王亀のもとから戻ってきた3人は、フィアは見ての通り上機嫌、リエルは多少ふらついており、ティアナはなぜか不機嫌であった。


「ティアナ、どうしたの?」

「いえ。フィアさんとリエルさんがほんの一瞬で障壁を突破していたのに対して私はもたついてしまいました。それが不甲斐なくて」

「いやいやいや、それは言っちゃ駄目だよ」

「どうしてですか?」

「だって、さ・・・」


シュウはそう言って周りを見渡した。

ティアナもつられて見てみると、シュウたちの周囲には王亀討伐で活躍したシュウたちを労おうと冒険者達が近づいてきていたのだ。

そこへ障壁の突破に時間が掛かった、という声が聞こえてくれば、なんだか知らないが自分たちが出来なかったことをやってのけたのに文句言うとか・・・というなんとも言えない雰囲気が漂っている。

これにはティアナも何といっていいか分からない空気になってしまい困惑している。

だがそれも長くは続かなかった。


「わははははは。まさかお前さんたちのような若い連中に美味しいところを持っていかれるとはのう。

全員見事な攻撃だったぞ」


豪快に笑いながらシュウたちに近づいてきたのはギルマスだ。

彼は最後まで王亀と戦おうとしていたが、3人の攻撃の凄まじさに思わず見惚れて止まっていたらしい。


「ところでさっきから障壁がどうの、と聞こえてきたが何の話じゃ?」

「あぁ、それは・・・」


シュウは魔力を持つ生物が己の魔力により障壁を張っていることを説明した。

シュウ自身それを知ったのは先程なので説明するのもどうかとおもったが、見た目少女のカエデが説明するより説得力があるだろう、ということで説明した。

ちなみにカエデはまた説明するような面倒くさいことはしたくなかったので渡りに船というやつだろう。


「ほう、それであの王亀の異常なまでの硬さが分かったわい」

「あ、ちなみに普通の獣は魔力を持たないらしいですよ?」

「それが魔獣化することで魔力を持ってあの強さ、か。不思議に思っていたことの謎が解けたわい」


ギルマスによると彼自身なぜ魔獣化するといきなり強さが増すのか不思議に思っていたらしい。

だが魔獣化自体珍しい現象な上、全く歯がたたないレベルの強さになった今回の王亀という分かりやすいサンプルが今までいなかったためその疑問を真剣に考えていなかったということだ。

なんとも大雑把な話だが、魔力に関する知識もなくなりかけているこの世界において、疑問を持ち続けても果たして答えにたどり着いたかは分からないが。


「今後、冒険者には魔力も鍛えるように言わねばなるまい」

「えっと、ギルマス?魔力を鍛えるってどうやって?」

「・・・気合、かの?」


肝心な所は脳筋だったようである。

だがシュウも明確な魔力のトレーニング方法など知っているわけもなく、というか知る必要がない状態でカンストしていたので明確な答えを持ちあわせてはいない。

こういうときは、とティアナを見ると、彼女はいかにもしょうがない、と言いたそうな態度で前に出た。


「魔力を鍛えるには魔力を使うことが必要です」

「ふむ。ちなみに魔力はどうやって使うのじゃ?」

「ギルマスは気づいていないかもしれませんが、あなたが普段攻撃する際にも剣に纏わせる形で魔力を使っていますよ」

「なんと!?知らんうちにワシは魔力を使えるようになっていたのか」

「厳密に言えば違うのですが・・・己の力を外に、武器に通すイメージで行えば少しずつですが訓練になるはずです」

「ふむ、おもしろそうじゃの」

「もしくは私のように魔法を使うか、ですね。幸い王都には魔法学校があるのでそこで教えを受けるのもいいかもしれません」

「そういえばそんなものもあったの。近いうちに話を聞きに行くとするか」


この後、この場にいた冒険者の多くが魔法学校へ押しかけることとなり、講師を務めるカームが大変な思いをするのだがそれはまた別のお話である。


◇◆◇


無事に獣の大群が王都へ雪崩れ込む自体を回避でき、冒険者が街に戻った翌日、その報せを聞いた住人たちは明るい表情を取り戻していた。

下手をすれば獣により王都は大きな、運が悪ければ致命的なダメージを受けていた可能性がある。

それを回避できたことによりその立役者である冒険者達は住人たちによりヒーロー扱いを受けており、多少居心地の悪さを感じていたりする。

原因はやはり、というかシュウたちで、ほとんど彼らの活躍での功績であり自分たちは特に何もしていないのだ。

中には正直にそれを伝える者もいたが住人にそんなことは関係なく、自分たちを守るため戦いに赴いてくれたすべての人が英雄だ、というスタンスなのだ。

そう言われてしまうと冒険者達もこの扱いに嫌とはいえず元からの騷ぎ好きな正確も手伝ってすっかりお祭りムードだ。


そんな状況を楽しく見ていたい、と思っていたシュウたちだが今は暗い、というか露骨に面倒くさそうな顔をして馬車で揺られていた。

そもそもシュウたちも住人と冒険者の祭りに乗じて美味しいものを沢山食べようと思い宿から出ようと思っていたのだ。

そうしたら宿の前に馬車が止まり自分たちを迎えに来た、と言われたのだ。

誰からの迎えかを聞いたシュウはゲンナリする気持ちが抑えられなかった。

ハッキリ言って面倒くさいので辞退したいが相手が相手なので無視するわけにもいかず渋々と馬車に乗り込んだ。

そして一行を乗せた馬車は目的地であり、呼び出した主のいる『王城』へとたどり着いたのだった。



書いていて思ったのですがティアナの攻撃がワンパターンになりがちですね。

これは後でテコ入れの必要があるかと思います。

・・・いつになるかは不明ですが。

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