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第18話_面倒くさい系です

今日も今日とて狩りである。

さすがのシュウも狩りに出るたび大漁なのでそろそろ疑問に思ってきている。

だが原因がすぐ判明するでもなくシュウに出来るのは獣が森から溢れて王都の方に来ないように出来る限り多く狩ることくらいだ。

仲間たちの武器強化により狩りの効率も上がったこともあり、最初は隔日だった狩りもたまに連日行ったりしている。

それでも一向に減る気配がない、というか増えているような感じさえ受けるのでシュウの疑問も日々大きくなってきている。

ギルドの方でも対策としてより多くの人に狩りに出てもらい、数を減らしたいようだがまさか一般人を参加させるわけにもいかないので悩みの種だろう。

近隣の街や村からも狩りが行えるだけの実力者を集めるため日々職員が駆け回っていたのも印象が深い。

その成果か最近はギルド内で見かける人数も日毎に増えているのだが、人が増えればその分トラブルも増え職員はその対応にも追われているため疲れ果てたような目をしていた。

幸いにもシュウ達一向に絡んでくるような者はいなかったのだが、今日は運が悪かったらしい。


「そこの美しい女性たち?僕と一緒に狩りに行こうじゃないか。大丈夫さ、僕がきちんと守ってあげるからさ」


朝一で見事に絡まれた。

しかも自分に寄ってるタイプの人間だ。

無駄に白い歯を無駄にキラキラと輝かせ無駄に髪をかき上げる動作を繰り返している。

正直関わりたくない。


「あ、俺らそういうの間に合ってるんで」

「あ?男には聞いてねぇよ。僕は彼女たちに用があるんだ。引っ込んでろ」


そう言ってシュウを軽く突き飛ばした。

無論そんなことで転ぶシュウではなく、少し下がっただけで体勢を立て直した。

いくらシュウが無事だとしてもそんなことを目の前でされた女性陣の対応は決まっていた。


「あなたに用があっても私たちに用はありませんが?」

「そうっすね。少なくともうちらのリーダーにあんな事する人には一切用がありませんね」

「全くその通りじゃな」

「シュウさん大丈夫ですかぁ?」


リエルの言葉に合わせて全員がシュウの側に駆け寄ってきた。

シュウとしては全く問題がないのだが、そんなことをされると恥ずかしさでどうにかなりそうだ、と思ってしまった。

それを見た男は面白くなかったのか嫉妬にも似た光を目に宿し、シュウを睨みつけてきた。


「全く、女性に心配されるとはそれでも男か?彼女たちをどう騙して従わせているのかは知らないが程々にしないとこの僕が許さないよ?」


許されなければどうなるというのか。

男はまた自分の言葉に酔いしれたのか無駄に笑顔だ。

ヴィアーノの時とは違いシュウ個人が言われているだけなのでキレたりはしないが面白くない感情があることは確かだ。


「さっきから何なんだアンタは?いきなり話しかけてきたと思えば捲し立てて」

「はぁ、君は僕が誰だか知らないのかい?」

「さっぱり知らんな。ティアナ知ってる?」

「いえ、こんな悪目立ちする人は存じ上げませんね」

「うちも知らないっすねぇ」

「仲間たちもアンタのこと知らないってさ」

「全くどこの田舎から出てきたんだい・・・。僕はCランクのエドリックさ」

「Cランクのエドリックさんだってさ」

「全く聞いたこともないのう」

「この人さっきから何を言ってるんでしょうねぇ」


ずっと人里で生活してきたティアナとフィアはともかく、ずっと生きてはいるが最近人と深く関わるようになってきたカエデと降臨してから2ヶ月も経ってないリエルは知らなくて当然なのだが、彼女たちの発言を聞いて男、エドリックの眉がヒクヒクと動いている。


「大体君は何なんだい?Cランクの僕にそんな態度を取れるってことはそれなりのランクなんだろうね?」

「ん?俺はEランクだけど?」

「Eランク!?そんな駆け出しが僕に意見してたっていうのかい?ははは、何の冗談だ」

「冗談でもなんでもありませんよ。俺は聞かれたことに対して答えているだけだ」

「その態度がいけないんだよ。上位の者には敬意を持って接したまえ」

「上位、ねぇ」


シュウはエドリックを頭のてっぺんから足の爪先までくまなく観察した。

確かにCランクというだけあって装備は駆け出しの装備とは比べ物にならない物だ。

それに体も鍛えてあってランクも自称ということは無さそうである。

だがシュウがこの世界に来て最初にあった『草原の狼』と比べるとどうしても見劣りしているような気がする。

ランク的には『草原の狼』の方が下なので何故そんな印象を受けるのか考えてみる。


「あぁ、こいつには品位がないのか。・・・やべっ」

「き、貴様、今何と言った!?」


うっかり思ったことをそのまま口に出してしまった。

それを聞いたエドリックは怒りを露わにしたが、その対応もまた安っぽく感じてしまう。

『草原の狼』であれば相手が誰であろうと一定の敬意を持って接し、悪印象を与えることはないだろう。

だが目の前のエドリックは自分に酔いしれるあまり他人を見下している。

どうやら今回の招集を受けて王都に来たらしい彼は、今までは一流とまではいかなくてもそれに近い実力を持つエドリックに対してここまで強気であった者もいなかったのだろう。

だがここは王都で彼に近い、もしくは上回る実力者も少なくない数いるので時間を掛けず思い上がりを実感したであろう。

だが、その時間すらないままシュウ達と出会ってしまったのは本当にシュウたちの運が悪かったとしか言えない。

シュウは助け舟が出ることを期待して周囲に目をやるが、職員はこれ以上トラブルはゴメンだとばかりに目をそらし、元から王都にいた冒険者達は面白いものが見れるとニヤニヤしていた。

冒険者達はシュウが模擬戦とはいえギルマスに勝ったことを知っている、もしくは直接見た連中であり、そんな相手に絡んでいった勇者の顛末を楽しみにしているのだ。実に趣味が悪いといえる。

周囲からの助けは期待できないのでシュウは仲間の女性陣に視線を向けた。

だがそれがまたいけなかった。


「貴様、女性に助けを求める気か!?何と無様なやつよ。君では彼女たちを不幸にする。彼女たちには僕のような強者が付いていなければ駄目なんだ!」


この発言がまた火種となる。

捉えようによってはティアナ達が弱いと言っているも同然なのだ。

これにはさすがにイラッと来たのか女性陣が感情のこもらない笑顔となった。


「皆さん?彼には一度現実を見せてあげたほうが良いと思うのですがどうでしょうか?」

「いいっすねぇ。ガツンといってやりましょう」

「そうじゃな。今後のためにもしっかり教えてやらないといかんの」

「やっちゃいましょ~」


こうなっては、シュウは心のなかでエドリックの冥福を祈ることしか出来なかった。


◇◆◇


場所は移ってギルドの訓練場である。

さすがにギルド内であれ以上騒ぎを大きくすると職員が数人倒れてしまいそうだったので暴れても問題無さそうな訓練場の使用許可を取り、移動してきたのだ。

一緒に来たのは当事者のエドリックとギルド内にいた冒険者達だ。

前回ここに来た時はギルマスとの模擬戦であり、その時はシュウのみが戦っていた。

シュウの仲間の女性陣についてはほとんど情報が無かったため興味本位で付いて来たものが大半である。


「はぁ、僕はそこの男と話していたんだよ?君たちと戦う理由がないじゃないか」

「あなたになくても私たちにはあります」

「・・・わかったよ。手加減してあげるから全員でかかってきな。これが終わったらお前だぞ?」

「あー、うん。頑張って」


正直結果の見えた勝負である。

一人ひとり別々に戦えばまだ勝機はあっただろうが、天狗となっているエドリックは自分の勝利を疑わず、余裕を見せて全員を一度に相手にすると言ったのだ。

完全に死亡フラグである。


「じゃあ行きますよ?少しは保ってくださいね」

「は?一体何を言って・・・ぬわーーーーー」


開幕早々ティアナが火の玉を放つ。

もちろん全力ではなく充分に手加減をした威力だ。

それでも魔法が衰退しているこの世界においては意表を突くには調度良いようだ。


「魔法だと!?しかも何だ今の威力は!?」

「よそ見してていいんすか?うちら全員が相手なんすよ」

「なっ!?ぐっ!!」


魔法に意識が集中した瞬間フィアが地面を蹴りものすごい早さでエドリックの懐に入った。

エドリックはどうやら魔力による身体強化をしているらしいフィアの速度に全く着いて行けてはいないがかろうじてガードには成功している。

何とか距離を開くがフィアはわざと追撃しないようだ。


「ほれ、受けるがよい」

「ガッ!」


カエデが少し離れた所で拳を突き出していた。

どうやらフィアから離れた瞬間を狙って魔拳を放ったらしい。


「何だ今のは!?」

「今度はこっちですよぉ」

「何だと!」


混乱していたらしいエドリックが全く気づかない間にリエルが近づき、戦斧でエドリックに襲いかかる。

一応刃の方ではなく、斧の腹の部分での攻撃だがリエルの腕力により繰り出されたフルスイングはエドリックの体に吸い込まれ思いっきりふっ飛ばした。所謂(いわゆる)ホームランである。

10メートルは吹き飛んだエドリックは受け身など取れるはずもなく地面にベシャリと落ちた。


「がはっ・・・。何という強さだ」

「これで私たちに貴方が不要だということが分かっていただけましたか?」

「ぐっ。・・・そうか。貴様は彼女たちに守ってもらっているのだな!?女性に守られるとは恥ずかしい男だな!」


エドリックの矛先が再びシュウに向いた。

それを聞いたカエデが思わず吹き出した。


「はっはっは。お主は何を言っておるのだ」

「何って事実だろ?こんなに強い君たちを従わせてあの男は楽をしているんだ。そうに違いない」

「なんでそう思ったかはわからないっすけど、うちらシュウさんと同じか下のランクっすよ?」

「な、何!?」

「更に言うと私達が束になってもシュウには全く敵わないと思います」

「馬鹿な!」

「えっとぉ、シュウさんは1人でギルマスって人に勝っちゃうくらい強いんですよぉ」

「ギルマスだと?人族では最強の人物じゃないか。そんな嘘にはだまされないぞ」


エドリックはそう言って周囲に同意を求めたが、観客の冒険者からはそれが事実だという言葉しか出てこなかった。

ちなみにシュウはさすがに全員と一斉に戦った場合、無事では済まない気がしてならないのだが発言はしなかった。


「嘘だろう・・・」

「ちなみにランクについてはここ最近ずっと獣ばかり狩っていたので上げることが出来なかっただけです。

シュウはラグスの街では『竜殺し』と呼ばれるほど強いのです」

「『竜殺し』だと!?・・・ははは、僕なんかじゃ勝てるわけないじゃないか・・・」


エドリックはそう言うとそのまま気絶してしまった。

手加減こそしていたが彼女たちの攻撃を受けた上、衝撃的とも言える事実を思い知らされたのだ。無理もない。


この一件が冒険者の中で広がり、特に招集を受けてやって来た者達には調子に乗っていると痛い目を見る例として語られた為、王都にやってきて問題を起こす者が減ったらしい。

そのためギルド職員から自分たちの仕事を減らしてくれた英雄(彼らの中では)として多大な感謝をされたのだが、そんなつもりは一切なかったシュウたちはいまいち実感が沸かないのであった。



女性陣強化結果パート2です。

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