第04話_ギルド本部です
今回の更新で目標としていた一ヶ月毎日更新を達成できました。
また、PVが1万を突破しました。
いつも見ていただいてありがとうございます。
「ようこそ、冒険者ギルド本部へ。ご依頼ですか?それとも登録ですか?」
王都のギルド本部へ入ると入り口のところで職員が声をかけてきた。
どうやら中が広いため入り口のところでどこにいけばいいのか教えてくれるようだ。
初めてだと確かに迷いそうだな、と思いつつ用件を伝える。
「私たちはラグスの街で活動していた冒険者なのですが、ここのギルドマスターから収集を受けましてやって来たのです。
ギルドマスターはいらっしゃいますか?」
「ギルマスですか?確認してきますので少々お待ち下さい」
案内嬢といえばいいのか入り口のところにいた女性は奥へと歩いて行った。
シュウは少し待つのか、と思っているとフィアが不思議そうな顔をしてこちらを見ていることに気づいた。
「どうかした?」
「あ、いえ。シュウさんがティアナさんみたいな話し方してたんで驚いてたんすよ」
「あぁ、一応初対面の人だったからね。それに俺だって時と場所をわきまえた話し方くらいできるさ」
そういえばフィアの前でここまで丁寧に話したことはなかったな、と考える。
今後どのようなことが起きるのかわからないので仲間たちにもいざというときは話し方に気をつけるように、と話していると先ほどの案内嬢が戻ってきた。
「シュウ様ご一行ですね。確かにギルマスから招集がかかっていたようです。
ギルマスの部屋へご案内しますね。・・・あの、なんというかすいません」
「何故あなたが謝るのでしょうか?」
「いえ、またギルマスが無理を言ったんだろうな、と思いまして」
案内嬢の態度から同様の事態はよく起こるようだ。
内心お疲れ様ですと労いの声をかけつつギルドマスターの部屋へ案内してもらうことになった。
◇◆◇
ギルドマスターの部屋に入るとすぐに壁があった。
何故部屋に入ってすぐ壁が?と思っているとその壁が動き出した。
いや、正確には壁ではない。入り口を入ってすぐのところにギルドマスターが待機していたようだ。
そのギルドマスターだが体が半端無く大きい。
太っているわけではなく、その全身がもれなく筋肉の鎧で覆われており、そんな人物が扉を開けてすぐにいたものだからシュウは壁だと勘違いしてしまったのだ。
「おお!お前らが噂の『竜殺し』か!」
「え、いや、あの」
「ギルマス、落ち着いてください。シュウ様が困っているではないですか」
「む?おおそうか。すまんかったな」
案内嬢に注意されてからおとなしく引き下がるギルドマスターだが、その顔は全く反省したものではなかった。
その態度に案内嬢はつかれた表情を浮かべながらも部屋を後にしたのだった。
「さっきはすまんかったな」
「いえ、お気になさらないでください」
「そうか!がはははは!しかしラグスの街を襲ったドラゴンを撃退したというからどんな強そうなやつかと思えば随分若い連中じゃないか」
「ギルドマスター、その話は正確にはここにいるシュウが1人で行ったことです。私たちは何もしていません」
「何と!?そこの小僧1人でだと?バカを言うな。
最早ドラゴンなど伝説の中の生き物だぞ?それをこの小僧1人でだと・・・」
「まぁ、証拠もないので信じられなければ私としてもそれで構いませんよ?
別に報酬を受け取ったわけではないので今更覆されても困ることはないですし」
「ふむ。お前さんが嘘を付いているわけでも無さそうだな。
むむむ・・・、よし!ワシはその話を信じることにしよう」
「よろしいのですか?」
「これでもこのギルド本部の一番上なのだ。人を見る目はあるつもりだ。
あと別にもっと楽な話し方でいいぞ?そっちのお嬢ちゃんたちも同じで構わん
それとワシのことはギルマスで構わん。皆がそう呼ぶのでな」
「んー、とりあえず分かりました。最低限の礼儀は保ちつつ接させて頂きます。
俺としてもそのほうが楽なので」
「別に普通の話し方で構わんのだがのう。まぁ、よかろう」
「それで俺たちをここに呼んだ理由を教えていただいても?」
「ん?ラグスの冒険者ギルドで聞かんかったか?お前さん達と話をしたいからなのだが」
「本当にそれだけなのですか?」
「それだけだが?」
思わず脱力するシュウ達一行。
ラグスの街で聞いたのはあくまで表向きで、他に理由があると思っていたのだが、本当に話をしたかっただけのようだ。
ラグスのギルドの受付嬢、ローニャやこのギルドの案内嬢が浮かべた表情の意味が分かる気がする。
このギルマスは良くも悪くも裏表がない人物なのだ。
「えーと、では用件はこれで終了ということでいいですか?」
「うむ!・・・あ、いや待て」
「他に何か?」
「お前たちラグスの街のギルドに居るエルグは知っておるな?」
「えぇ。エルグさんには戦闘訓練をしてもらいましたし」
「実はエルグはワシが昔戦い方を教えたことがあってのう」
「へぇ、そうなんですか」
「今回の報告とともにお前さんがエルグに模擬戦で勝ったという報告も上がってきていてのう」
「・・・」
「どうじゃ?ワシとも一戦やってみんか?」
話の途中からギルマスの目が輝きだしたのでこれは断るのは難しいだろう。
だが正直言ってやりたいとは思わない。
エルグとはあくまで訓練の一環として戦ったのだ。
しかし目の前で無邪気に話しかけてくるギルマスはそんなの関係なく戦いたいから戦おうと言っているのだ。
しかもギルマスという役職につくだけにそれなりの年齢だと思われるがその体には全く衰えというものが見られない。
面倒なことになる未来しか見えない。
「出来ればお断りしたいのですが」
「何故だ!?」
「だって理由もないですし」
「むう。じゃあギルマス権限で戦おう!」
本当に職権乱用する人物のようだ。
どんどん面倒くさくなってくる。
「明確な理由がなければ戦いたくないのですが」
「ワシが戦いたいのだ!勝負したいのだ!!」
「じゃあ俺の負けでいいんで」
「ならん!」
自分一人ではどうしても説得できないと思い、自分の後ろにいる仲間たちに助けを求める。
すると仲間たちは全員が同じ行動に出たのだ。
「「「「(スッ)」」」」
(目をそらされた!?)
ここにシュウの味方はいないらしい。
シュウが軽く絶望していると扉が開き先ほどの案内嬢が入ってきた。
「皆様、お茶をお持ちしました」
「あ、丁度いいところに!ギルマスを止めてください!!」
「え?」
突然の出来事に案内嬢が困惑しているので事情を話す。
ギルマスにいつも苦労させられてそうなこの人なら自分を助けてくれるはず、と期待していたのだが、
「諦めてください」
もれなくその期待も打ち砕かれた。
「ギルマスは言い出したら聞きません。さっさと勝負したほうが楽ですよ?」
「お前も中々言うようになったの」
「いつものことですから」
シュウが死んだ目をしているが案内嬢は気づかないふりをしながら部屋を出て行った。
「さて、どうだ?やる気になったか?」
「・・・分かりました」
どうあがいても逃げ場がないので渋々ギルマスからの提案を受け入れるしか無かった。
◇◆◇
場所が移ってギルドの訓練場。
ここはラグスの街の訓練場同様に冒険者が訓練を行うために開放されている施設だ。
ラグスのものよりは広さがあるが基本的な作りは同じように見える。
エルグとの模擬戦もギルドの訓練場で行っていたので場所としてはいいのだが、ラグスとは明確に違いが出ていた。
それは見学者の存在だ。
ギルマスが直接模擬戦を行うのだ。しかも相手は噂の『竜殺し』だという情報も出回っており見学者が増えたのである。
情報の流出源は簡単である。
ギルマス自ら『竜殺し』と模擬戦を行うとギルド内で宣言し、見学希望者を募ったのだ。
シュウにとって幸いなのは宣言から模擬戦開始までそれほど時間が経っていないので、たまたまギルド内にいた冒険者がいるくらいということだろう。
これが翌日ともなれば更に増えたことは間違いない。
「シュウさん、頑張ってくださいっす!」
「あまり派手にしないようにしてくださいね?」
「怪我したら私が治しますねぇ」
「程々にやるのじゃ」
仲間たちはそれぞれシュウを応援しているが、シュウとしては先程見捨てられたことを忘れたわけではない。
その意思を込めて視線を送るが全員スルーして見つめ返してくる。
これはいくらやっても無駄だろう、と判断してシュウはこれからの模擬戦に意識を向ける。
相手はギルマス。部屋で会った先ほどとは違い鎧を着込み巨大過ぎる程の大剣を持っている。
おそらくあれが本気の出で立ちなのだろう。
だがその表情はこれからの戦いが楽しみでしょうがない、と雄弁に語っておりシュウとしては戦う前から疲れがこみ上げてくる。
とりあえず見学者も多いので魔法や過剰な魔力での強化は行わないようにしよう、と決めて戦いに望むのであった。
そういえばギルドに入ったら絡まれる、という定番をやってないですね。
ということでギルマスに絡まれました。




