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第02話_王都へ向かっています

シュウたちがラグスを旅立ってから半日が経った。


「やっぱりクッションがあるとお尻が楽だね」

「うちは自分の尻尾を敷けばフカフカで気持ちいいっす!」

「我も自分の尻尾はあるが出したところでちっともフカフカではないからなぁ」

「カエデちゃんの尻尾すか?」

「あ、多分カエデはフィアの尻尾が羨ましいんじゃないかな?」

「それなら御者台に来て一緒に座るっす」

「む、良いのか。ではお言葉に甘えるとしよう」


ティアナ以外はカエデの正体を知らないので発言に焦ったが何とか誤魔化せたようだ。

フィアの言葉通りフィアが御者台、その他のメンバーが荷台にあたる部分で座っている。

この配分はフィア以外馬車の運転が出来無いのでしょうがなかった。

シュウはフィアに教えてもらって操作方法を覚えようと思ったが、いかんせん半日ではどうしようもなかった。

ただし、王都に着くまでには覚えることが出来そうなので今後馬車で移動するようなことがあればその時に役立つだろう。


「それにしてものどかですね」

「そうだね。リエルなんか既に寝てるし」


リエルは出発から1時間もしないうちに寝てしまっていた。

これだけ揺れて体に衝撃が加わっているはずなのに寝ていられるとは神経が図太いのか神様パワーの残りが働いているのだろうか。

ちなみにリエルの神としての能力だが、地上に来るにあたりほぼ封印されているようだ。

地上で神パワーを発揮されると色々面倒事になるのでその措置はあったほうが良かったのだが、いざというときに困りそうで不安だ。

リエルの正体について知っているのは当然のごとくティアナだけだ。

正体について話すにあたり神界での出来事も一緒に詳しく話す必要があった。

以前は神様ということで威厳の問題等もあるだろうと誤魔化していた部分だが来てしまった以上は関係ないだろう。

正体が神だと知った瞬間は狼狽(ろうばい)していたが、神界での出来事を語るうちどんどん残念な子を見る目をしていたのが印象的だった。

仮に詳細を語らなくてもその後の行動を見ているうちに似たような感想を持ったことは間違いないだろうが。


さて、王都への旅路だが日数としては受付嬢から聞いていた通り1週間である。

方角的にはラグスの街からシュウがこの世界に降り立った場所を過ぎ更に進んだ先にあるようだ。

あの時はアランたちに拾ってもらいラグスの街まで3日掛かったので丁度ラグスの街と王都の中間地点に降り立ったことになる。

あの時は軽く死にかけたので仮に反対方向の王都方面へ歩いて行ったとしたらアラン達と出会えるか不明なので詰んでいた可能性が高い。

運が良かったと思うシュウなのだが、ふとリエルはどうやって来たのか気になり聞いたことがある。

答えはバレないように街中に降り立った、だそうだ。

冒険者登録するためのお金すら持っていなかったのだから街の外に降り立ってしまえば街へ入るための保証金も払えなかっただろうからその判断は間違ってはない。

もちろん保証金の問題もあるのだがそれはこの際無視しよう。

では何故シュウがあの場所だったのか聞いてみると適当に降ろしただけ、という答えが帰ってきたので軽くアイアンクローをかましておいた。

魔力を用いた身体強化をしていてものすごい悲鳴をあげていたが気にしなくてもいいだろう。


「そういえば夜の見張りはさっき話していたとおりでいいかな」

「問題ないと思いますよ?二人一組で三交代。でも人数が足りないからシュウさんは1人だけで、ですよね」

「時間はその日ごとに変えればいいだろうし、俺も馬の操作を覚えればフィアの負担も減るだろうしね」

「私たちは旅に出るのが初めてなので正解が分からないですからね。とりあえずやってみましょう」


そんな話をしつつ一行は進んでいく。

途中合間を見てフィアの隣にシュウが座り、一緒に馬の操作をしてみたりと時間が過ぎていきそろそろ夕方という時間になった。

その時である。


「前方から何か来るっす!」


御者台のフィアから声が上がる。

瞬間全員が戦闘態勢に移行する。

ずっと寝続けているリエルは無視だ。


「あれは・・・おそらくボアっす!数は5!!」


ボアとはシュウがこの世界に降り立って初めて襲撃を受けた獣で見た目がイノシシっぽい見た目の動物だ。

あの時は1匹だったしアランたちが一瞬で倒してしまったのでシュウが戦うのは初めてだ。


「あれって確か食べられるやつだよね」

「そうです。ラグスの街の屋台や食堂でも売ってたやつです」

「うーん、魔法で倒すとせっかくの肉がぼろぼろになりそうだなぁ。

ティアナ、今回は俺とフィアでやる。ただ、危なくなったら遠慮なくぶちかましてくれ」

「分かったわ」

「了解っす!」


そう言ってシュウとフィアが2人でボアの群れに突っ込む。

フィアはシュウに作ってもらった黒剣に魔力を通しつつ一太刀で1匹を切り伏せる。

そして次の獲物に向かおうとしたところで動きを止めた。

何か異常があったわけではない。

単純にシュウが全て倒してしまっており獲物がいなくなってしまっただけである。


「うちが1匹倒す間に4匹倒すなんて・・・相変わらず凄いですね」

「そりゃあこっちは魔力による武器強化に加えて身体強化もしてるんだし、ね」

「うちがその領域に到達するのはいつになるやら」

「フィアならそのうちできるようになるよ」


シュウの励ましに聞こえない励ましを受けてフィアは肩を落としつつもボアの後処理を開始する。

血抜きをして解体した後、食べられない部分を穴をほって埋めるのだ。

ここで問題が発生する。

シュウはこの解体が出来ないのである。


「あー、フィア?申し訳ないんだけど解体の仕方教えてくれる?」

「え!?シュウさん知らなかったんすか!?」

「うん。今までモンスターばかり相手にしてたからね」

「そうなんすね。じゃあうちが丁寧に教えてあげるっすよ!」


先程まで肩を落としていたが、俄然やる気になって教えてくれるフィアであった。


◇◆◇


ボアの解体で思ったより手間取ったので襲撃地点から少し離れた所まで進んで今日はそのまま野営することにした。

解体したボアはキチンと馬車に積んである。

食料は充分持ってきたはずだが調達できるに越したことはない。

移動中に乾燥させて干し肉のようにすれば保存がきくし、王都に着いて余っていたらそのまま売ってしまえばいいのだ。

それにシュウには魔法により容量が拡張された収納袋があるため、肉が痛むことなく保存が出来るのだ。

本日の夕食に関しては干す時間もなかったためそのまま焼いて振る舞われることになった。

料理担当はフィアだった。

シュウはただの男子高校生だったので料理なんてカップ麺くらいだったし、カエデはドラゴンなので食事は必ず必要なわけではないし、リエルは言わずもがなだ。

以外だったのはティアナで全く料理が出来ないらしい。

そのことを聞いた時のティアナは、


「自分の食べる分くらいなら出来ます。ただ味の保証が全くできないのです」


との事だった。

つまり自分で作ったものは我慢して食べれるが人に振る舞えないレベル、ということらしい。

シュウの馬車操作練習と共に今後の課題とするらしい。


「それにしてもボアが5匹ですか」

「何か気になる?」

「いえ、全く無いとは言いませんが、通常ボアは多くても2匹程度で行動するもの、と記憶していたもので」

「ふうん。じゃあ俺達は運が悪かったのかな」

「それだけだといいのですが」


いくら考えても今の状態では答えは出ないのだが、シュウは一応記憶に留めておくことにする。

そうこうしているうちに料理が出来たらしい。


「さて、じゃあいただきますか」

「「「「「いただきまーす」」」」」


この時だけリエルは起きだして普通に食事をしている。

後でまたアイアンクローをしてやろうと決めるシュウである。

食べながらティアナが思ったことを話し始める。


「そういえば今朝出発の時にローニャさんが言っていた私達のパーティ名のことですが」

「何かいい案ある?」

「いえ。ですがこの旅の途中で決めたほうが王都で活動するときにも丁度いいかと思いまして」

「確かに。じゃあとりあえず今案がある人は?」

「うーん、難しいっすね。普通パーティ名はメンバーの共通点とかで付けることが多いらしいっす」

「共通点かぁ・・・」


そう言ってシュウはメンバーを見渡す。

まず性別で言えば自分が仲間はずれとなる。

職業は全員バラバラなので決めるのが難しいだろう。

共通のエピソードも今のところ存在しない。

では何か所持品はどうだろうか。

例えばパーティ名を決めた後で共通の所持品を持って同じパーティである証明にすることを考えた。


(あれ、所持品って言えば・・・)


シュウは既に全員が共通して持っている物を思い出した。


「ねぇ皆。共通の所持品で決めたらどうかな?それも他の誰も持っていないものでさ」

「そんなのありましたっけ?」

「あるじゃないか。ほら、これだよ」


そう言ってシュウは自身の刀を全員から見えるように前に出す。


「刀っすか?でもそれはシュウさんしか持ってないっすよね?全員に持たせるんすか」

「いいや、そうじゃなくてさ。この刀の素材だよ」

「素材って・・・。あ、そういうことですね」

「む、ティアナは分かったのか?我らにも分かるように教えてくれ」

「これですよ」


そう言って自分の荷物からナイフを取り出したティアナ。

それを見て全員が気づいたようだ。


「あ、分かったっす!全員魔鋼製の武器を何か持ってるっすね」

「そう。だからこれに関した名前をつければいいんじゃないか、って思ってね」

「なるほどのう。むー、では『黒の刃』でどうじゃ?わかり易かろう」

「『黒の刃』っすか。カッコイイしうちはいいと思うっす」

「そうですね。わかりやすいですしいいんじゃないでしょうか」

「よし、じゃあこれでいいかな?リエルもいいかな」

「もぐもぐ・・・ふぇ?なにか言いました」


どうやら食事に夢中すぎて話を聞いていなかったようだ。

アイアンクロー執行が確定した瞬間である。


こうしてシュウたちのパーティ名が『黒の刃』に決定し、パーティとしてより結束が強まったのであった。


シュウたちのパーティ名が決まりました。

ネーミングセンスの無さはスルーして下さい。

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