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第21話_秘密を暴露します

「・・・」

「えーと・・・」


宿屋にて無事にフィアの部屋を取れたあと、シュウの部屋でティアナと2人向き合っていた。

部屋に男女が2人きりというロマンが生まれそうなシュチエーションだが、そのような甘酸っぱい空気は一切なく、ティアナがジト目でシュウを見つめている。

シュウも原因は分かっている。

記憶喪失設定だったのにサラリと昔のことを思わせる発言をした自分が悪い。

ならば正直に話せれば良いのだが、異世界から来ました、などと言った日には完全に痛い子だと思われてしまう。

シュウだって当事者でなければ同じことを思っただろう。

シュウとしては何とか誤魔化したいが、所詮は現代日本でただの高校生だったのだ。

誤魔化せるような話術は持ち合わせていない。

なので正直に話すことにした。


「ティアナ、これから本当のことを話す。君を騙そうとかしているわけじゃないって事を理解して欲しい」

「分かりました」

「まず俺はこの世界の住人じゃない」

「・・・」


さっそく胡散臭げな目をするティアナ。


「まずは聞いて欲しい。俺は地球という星の日本という国の出身だ。

とある事情でこの世界にやって来る事になって、その時神様から力を貰ったんだ」

「とある事情?あと力とはシュウの馬鹿げた身体能力や魔法のことですか?」

「まぁ、神様の事情ってやつだね。あと身体能力は貰った力のひとつだけど魔法は日本で得た知識が活かされてるね」

「事情については聞いても?」

「うーん、神様の話だしうまく言えないんだよなあ」

「そうですか」


この世界で神様というものはどのような扱いになっているかよく知らないが、ミスって連れてこられた、などと知られてしまうとマズイのでは、と考えボカしておく。


「力のひとつ、と言いましたね?他にはどのような力を貰ったのですか?」

「魔法は日本の知識だけど、魔力がないとどうしようもないからそれを貰った。

あとは自分自身の回復力が上がるってやつ。

ゴブリンの時の傷は回復魔法の実験ですぐ直しちゃってキチンを検証できてないけど他の力を考えると相当だと思ってる」


回復の力についてはすっかり忘れていた。

どのくらいの回復力があるか不明なため不用意に検証することがなかったためだが、今は回復魔法もあるので検証してみることにする。


「はぁ・・・。随分非常識な力だと思ってましたが、まさか神から与えられたとは」

「こっちの世界じゃあそういう人いた事ないの?」

「少なくとも私の知っている限りそういう話を聞いたことはありません。

そもそも神様と会った、なんて言いふらせば頭のおかしい人扱いですよ?

今回はシュウの非常識さを知っているので納得できますが」

「非常識って・・・。ひどいなぁ」

「事実ですので」


内心ショックを受けるシュウだが、ティアナはお構いなしのようだ。


「ところでシュウのいた日本では魔法が活発に使われているのですか?

その国の知識で魔法を使った、と言ってましたが」

「いいや。俺の国、というか世界では魔法ってのはおとぎ話の中の世界での話で現実じゃあ全く使えなかったよ」

「ではどうして魔法の知識があったのですか?」

「あっちの世界じゃあ魔法や魔道具なんてものはなかった。その代わり科学ってものが発展してたんだ。

科学ってのは簡単にいえばどうしてその現象が起きるのか、っていう知識のことかな?

だから俺は火の魔法が使えなくてもどうして火が燃えるのか、っていう事を知っていたからそれを再現しようとイメージしたら使えたってわけさ」

「むむむ。魔法が無いのはまだしも魔道具が無いのは不便そうですね」

「そうでもないよ?魔道具よりも優れてそうな道具もあったし、どうしても及ばないような道具もある。一長一短ってやつさ」


この世界において魔法が使えなくても便利に使える魔道具とはそれこそ軍隊から一般家庭まで浸透している。

そのように浸透している魔道具がない世界、と言われると不便そうに感じるのも無理は無いだろう。


「とまあ、俺の事情はこんな感じかな?信じてくれるかい?」

「正直話の中で信じられないようなことがいくつかありましたが、シュウが嘘を付いているようには感じられませんでしたので信じましょう」

「ありがとうね」


シュウがニコリと微笑むとティアナは慌てたように話を続ける。


「と、とりあえずこの話は他言無用にしましょう!余り知られると本格的にまずそうです」

「わかった」


ティアナが何を慌てているか分からなかったが、言っていることは分かるので頷いておく。

念のためフィアと合流してもしばらくは秘密にしておくということで2人の話し合いは終了した。


◇◆◇


「ではこれから同じパーティーメンバーとしてよろしくお願いするっす!」

「うん。よろしくね」

「フィアさん、よろしくお願いします」


宿屋で話しているとフィアが荷物を持ってやってきたので取っておいた部屋に案内したあと、再びシュウの部屋で集まっていた。


「いやぁ、うち中々人に話しかけれないんすけど、シュウさんたちに勇気を出して話しかけて正解でした!」

「あははは。ハズレだと思われないように頑張らなくちゃね」

「うちも頑張るっす!

そういえばシュウさんのランクがEってのは聞いたんすけど、レベルとかってどのくらいっすか?

あっ!もちろん秘密な部分とかあれば無理には聞かないっすけど」

「あ、そうか。パーティーを組むんだから情報共有は必要だよね。

えっと、俺のレベルは・・・1だね」

「はい?」

「1だね」

「あ、そうなんすね!・・・って、えええぇぇぇぇぇ!?」

「フィア?流石に大声出すと周りの迷惑になるよ?」

「はっ!すいませんっす!!・・・ってそうじゃなくてあれだけ強いのにレベル1って何でなんすか!」

「いや、依頼達成報告してカード出してもそのまま返ってくるし」

「情報更新しないんすか?」

「依頼達成と同時に勝手に更新されるんじゃないの?」

「ちゃんと申請してやってもらわないとダメっすよ!」

「えーと、ティアナ、知ってた?」

「もちろん知ってました。というかシュウは知らなかったのですか?

冒険者ランクは依頼達成時に自動的に変更されますがそれ以外は自分で申請しないとダメだと最初に説明があったはずですが・・・」

「そういえば言われたような言われてないような・・・」

「要するに忘れてたということですね。ちょうどいい機会です。私もそろそろ更新しようと思っていたので明日一緒に行きましょうか」

「そうだね。明日皆で行ってみよう」


翌日の予定を決定し、シュウたちは夕飯を食べるために食堂へと向かった。

そこでアラン達と遭遇し、女の子のメンバーが増えたことについてゴルドにからかわれたりしたが特に語るひつようもないだろう。


◇◆◇


「うち、多分レベルとか上がってないんで今回はお二人だけ更新してください」


朝一で冒険者ギルドへやってきた3人だったがフィアがそんなことを言ってきた。


「え?フィアはやらないの」

「だって今までモンスターが怖くて戦闘が発生するようなことはやってないっす。

今回の護衛だって戦ったのはお二人だけだったのでうちは何の変更もされてないはずなので」

「そっか。ティアナはいつぶり依頼なの?」

「私はシュウとパーティーを組む直前に更新していますね。でもその前とは比べ物にならないほど経験を積んだので結果が楽しみです」


かくいうシュウも初めての更新なのでワクワクしている。

ゴブリン数十匹に加え、オークまで倒しているのでレベルが上がっていないということは無いはずだ。

どのくらい上がったのかは分からないが楽しみなのは変わらないので早速いつもの受付嬢に話しかける。。


「あ、シュウさん。おはようございます。今日はどの依頼を受けるんですか?」

「おはようございます。今日は依頼を受ける前にカードの更新をしようと思いまして」

「依頼を受ける前に更新ですか?あぁ、そういえばシュウさんのカードを更新した覚えがありませんね」

「そのことをパーティーメンバーに指摘されまして。それでまずは更新してみようという話になったんですよ」


受付嬢が言うには普通は依頼達成報告と同時に更新を行うことが多いようだ。

朝一で更新してもその日受けた依頼で内容が変わることも充分ありえるためである。


「では、測定器のところに行きましょうか。ティアナさんも更新するんですよね?」

「はい、お願いします」

「えっと、一緒にいる方は?」

「昨日一緒に護衛依頼を受けたフィアです。パーティーに参加することになりまして。

更新もフィアの指摘だったんですよ」

「なるほど。フィアさんは更新されますか?」

「うちは今回は更新しないっす」

「かしこまりました。ではシュウさん、ティアナさんこちらへどうぞ」


そう言って受付嬢はギルドに登録するときにも入った部屋へと2人を連れて行く。

その時と変わらず水晶が部屋の中央に鎮座していた。


「ではシュウさんは初めての更新ということで改めて説明させて頂きます。

この水晶の下にある口にカードを差し込んで水晶に手をかざしてください。

光が収まった後カードが出てきますので、それで更新は完了です」

「わかりました」


受付嬢の指示通りにカードを入れて水晶に手をかざす。

登録した時同様水晶が光り、カードが出てきた。

ティアナも同様に更新を終える。


「これで更新は完了しました。ですがシュウさん?更新はなるべくこまめにしてくださいね?

そのほうがよりシュウさんにあった依頼を紹介できたりするのですから」


更新期間が空いたことで少しだけ受付嬢から注意を受けたので頭を下げておくシュウであった。




シュウが忘れていた≒投稿主が忘れていた

この式が成り立っています。

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