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第23話_フィア対カイです

【さぁ、予想外の特別試合がありましたがここから準決勝を始めたいと思います】


普通に戻った司会者が進行している。

その隣には司会者ばかりか観客を困惑させた張本人の1人であるギルマスがシレッと何食わぬ顔で座っているがそこに突っ込むのは野暮というものだろう。

現に観客の誰一人気にしている様子はない。

というか観客の感心は既に舞台上に上がった2人、フィアとカイに向いていた。

シュウやフィアに隠れて目立たないがカイもかなりの強さを持っており、もしシュウ達が出場しなかったら会場中の話題を独り占めにしていたことだろう。

幸か不幸かシュウ達が参加したことで大してマークもされず楽に勝ち上がってこれたのは僥倖である。

だがここでついに彼はフィアと当たってしまう。

シュウへのリベンジを狙う彼にとってまずはフィアが大きな関門として立ちはだかる。


「早いとこお前に勝ってシュウと戦いたいぜ」

「いや、うちが勝つっす!」


舞台上で睨み合う2人は既に気合充分なようだ。


【それでは、試合開始!】


◇◆◇


さて、試合の開始が宣言されてしばらく経つのだが舞台上の2人に動きはなかった。

カイはフィアの速度を警戒しており、攻撃のタイミングが掴めずにいる。

フィアだが攻撃を仕掛けた時にもしあの武器で反撃を食らってしまったらただでは済まないため攻めあぐねている。

今までの相手でも反撃をされたらただでは済まない相手もいたのだが、実力差があったためこれほど攻めるのを迷ったことはなかった。

だがこのカイについてはそうも言っていられない。

なにせシュウと紛いなりにもそれなりの戦いを見せた相手だ。

万が一が現実味を帯びている。

そんな2人であるが先にしびれを切らしたのはカイの方であった。


「・・・シッ」


動くと見せず攻撃を仕掛けてくる。

突然の動きに一瞬焦るがすぐに対応する。


「っと・・・」

「チッ」

「ッ!」


カイの振り下ろしてきた鉄棍を最低限の動きで躱す。

と、そのまま強引に鉄棍の動きを曲げ更に追撃を仕掛けてきた。

ちなみにこの鉄棍だが、ゴルドの斧くらいの重さがある鈍器であり、それを振り切ったところから再度攻撃を仕掛けるのは並大抵の腕力では不可能である。

それを可能にするのはカイの鍛え上げられた肉体だからこそであり、フィアもそこから再度自分に襲いかかってくるとは思っていなかった。

鉄棍がフィアの体に吸い込まれる、直前に自身の剣を間に滑り込ませ防御を試みる。

カイの鉄棍に比べるとフィアの剣は明らかに強度不足であるが、フィアの剣はかなりの強度を誇る魔鋼製であり、更にフィアは自分で後方に飛び衝撃を逃すことに成功している。

見た目こそ派手に吹き飛んでいるが半分以上は自分で飛んでいるため空中でバランスを崩すこともなく着地に成功した。


「クソッ、今のを防ぐかよ」

「いやぁ、ギリギリだったっす」

「言ってろッ」


今度は鉄棍を真っ直ぐフィアに突き出してくる。

さすがに崩れた体制から放たれた先ほどの攻撃とは違い、これは受けようとすれば場外まで吹き飛ばされる可能性もあるため回避を選ぶ。

それも最初の攻撃の時とは違い、大きな動きで鉄棍を避けた。

これでは追撃も難しいためカイもおとなしく動きを止めた。


「うーん、やっぱりその武器は厄介っすねぇ」

「お前はその早さが厄介だよ!目の前にするとホントに見失いそうになるぜ」

「それはどうもっす」

「褒めてねぇよ!!」


この場合優位に立っているのはフィアの方である。

なにせカイの方は鉄棍の破壊力こそあるがその重さゆえ振り回すにはかなりの体力がいる。

いかに肉体的に優れている獣人のカイとはいえ長い時間振り回し続けるのには無理がある。

一方のフィアだが、もともとが軽い肉体、軽い武器な上に魔力での身体強化を施しているためただ動くだけでは消費体力が少ない。

しかし回避に専念すればカイの体力切れによって勝ち上がることは出来るのだが、それではカエデによる地獄の特訓が待ち受けている事必至であるため、このままでいくことは出来ない。

なので自分から攻めるプランを考えなければならないためフィアもマズイのである。


「今度はこっちからも攻めるっす・・・よッ!」


ここでフィアがこの試合初めて攻めに回る。

やることは今までと一緒でまずは足での撹乱(かくらん)である。

今までの相手であればフィアの姿を追おうとして最終的に着いてこれなくなり大きな隙を生み出していた。

しかしカイは無理にフィアの姿を追おうとせず、気配のみを追っているようである。

これには動いているフィアも内心驚いていた。

なにせ位置的にはフィアが後ろを取っているのに全く隙が見当たらないのだ。

仮にここで攻撃を仕掛けても恐らく防がれてるだろう。

そして無理に仕掛ければ反撃を貰うため動きはあるが最初のにらみ合いと同じ状況となってしまっている。

このままではジリ貧なためフィアは攻撃を仕掛ける。

だが予想通りここでフィアの攻撃に対してカイが反応してきた。

鉄棍が差し出されてくるがここまではフィアの予想通りだったため、振りぬく剣を途中で止めた。

仮にここで剣と鉄棍がぶつかり合うと質量の差で逆にこちらが吹き飛ばされてしまう可能性があるためである。

動きを止めたあと、そのまま再びカイの体を中心に鉄棍と反対側に回りこみ再度剣を振るう。

だがいくら重い鉄棍を持っているとは言ってもフィアの方の動きの方が距離も大きく、カイの腕力も相まって再度防御に回ってくる。

これをまたフィアは攻撃を停止し、とこの動きを繰り返しカイの防御が間に合わないタイミングを待つ。

一度も剣と鉄棍がぶつかり合わないため一切の金属音がせず、フィアが激しく動いている音と鉄棍を動かす際に漏れるカイの呼吸音のみが舞台上で響いている。

このやり取りを観客は固唾を飲んで見守っていた。

今までの試合の中で一番静かな、それでいて一番激しい攻防を繰り広げる舞台上から視線を外せるものは誰一人としていなかったが一向に決着が着く気配がない。


「カエデさん、どう見ます?」

「あの動きを維持しているフィアも凄いが完璧に反応している相手も中々やりおるわい」

「フィアさん早すぎですぅ」

「ふむ、これは長引きそうじゃが・・・決着は一瞬で着くじゃろう」


カエデの言葉が合図になったのか舞台上が大きく動いた。

フィアが攻撃を止め、カイが鉄棍を差し入れる。

そのままカイが次の攻撃に備えるため鉄棍を動かし始めたところで攻撃を止めていたフィアが再び途中から剣を動かした。

そもそも今回のやり取りでフィアは攻撃を完璧には止めていなかった。

一瞬速度を緩めただけである。

なので攻撃の速度が完全には殺されず、既に防御がルーチン化されつつあったカイに僅かに威力が減ったくらいで吸い込まれた。

これによりカイの動きが完全に止まった。

その隙にフィアは体を捻り遠心力を最大限に乗せた一撃をカイの首筋に叩きこむことに成功した。

これにはさすがのカイも堪らず前のめりに倒れた。


【決まったーッ!!!これはフィア選手の勝り・・・】

【待て】

【どうしましたか、ギルバートさん?】

【まだ決まってはおらん】

【え?】

【見てみぃ。起き上がっておるわ】


ギルマスが勝利宣言を止めて試合続行を示唆している。

確かにカイはフィアの強烈な一撃によって倒れたが、立ち上がりフィアを睨んでいた。

既に鉄棍を持つ力もないのか両手には何も持っておらず、ダランと垂れ下がっているが目だけはまだ闘志を燃やしており、未だ試合を諦めていないことを物語っていた。


「ほう、あれを食らって立ち上がるとはのう。我の予想も外れたわ」

「でも、あれは・・・」

「それ以上は言うでない、ティアナ。それは舞台上の2人が一番良くわかっておるわ」


ティアナがなにか言いたけだがカエデがそれを止める。

一度は決着が付いたかと思った戦いだがまだまだ分からないらしい。


今回で通算100話達成しました。

そして最初が3話連続投稿だったため、連続更新記録はまだ98日です。

これからもよろしくお願いします。

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