遅刻しそうだよ、ドライモーン!
少し(かなり?)前に堀北〇希主演の『の〇たをプロデュース』ってのがあったじゃないですか。
地味な女子をイケメン2人が応援するという…。
そこに定番のドラえ〇んのネタを突っ込んだ、盗品に盗品を突っ込むような荒技をキメたのがこの駄作です。
これは…大丈夫ですかね…(著作権的な意味で)
まあ、基本つまんないんで暇な時に頬杖つきながらでも見てください!
とある家屋、その一室で朝日に照らされた少年が眠そうに瞼をこする。
そして彼は天井の一角に視線を向け、頭の中で声をあげた。
いきなりだけど、みんなおはよう!ぼくの名前は茂部もぶ太!
だからみんなはモブって呼ぶけどそういうモブじゃないんだよ。
女の子の手も握れないけどモブじゃないよ。
いたって普通の小学生さ。
バレンタインの収穫はママのやつだけだったけどモブじゃないよ。
いたって普通の小心もn、じゃなくて小学生さ。
は、今はそんな自己紹介してる場合じゃなっかったんだ!
ぼくは急いでメガネをかけて鞄を背負う。
なぜかって?
遅刻だよ、ち・こ・く !
気づけば登校時刻の5分前。
起してくれる両親は共働きで既に出勤していた。
5分……普通に行ってもまず間に合わない。
しかし、遅刻すれば鬼教師からの恐怖の制裁が。
くっ、こうなったら奥の手を使うか…。
ぼくはそう決意して押し入れに手をかけた。
「ドライモーン!」
ガラッ!
「朝からどうした、焦るヤツは損するぜ…」
そこにはスマートなダークコートに身を包んだ銀髪のオオカミがグラスを片手に脚を組んで座っていた。
彼こそが未来からやってきたぼくの救世主こと【ドライモン】だ。
なんでもぼくの女子への免疫力の低さを危惧したぼくの子孫が
未来から送ってきたハイスペックAI『ロボ-2100』
だから彼の任務はぼくをリア充にして、婚期を逃さないようにサポートすること。
そうしなければぼくの子孫は存在できないらしい。詳しい事は分からないけど、
パラレルワールドがどうとか…。
因みに『ロボ』というのはスペイン語で狼そのものを表す「lobo」とロボットをかけた名称らしい。
なぜスペイン語なのかは不明。
そして彼の愛称の『ドライモン』は酒と女と孤独を愛でるドライな彼の気質にはぴったりだった。
こういったことは全て一通の手紙にまとめられていた。
最初はウソ臭いし迷惑この上ない話だと思っていたが今はそうでもない。
彼がとにかくキレ者だったからだ。
どう考えても一畳半もないこの押し入れの空間を1LDKのお洒落なインテリアに改造するくらいに有能である。また一本 数十万はするであろう酒をタダで調達するほどの腕前だ。
押し入れが もうちょっとしたBARだった。
そんな彼には今までも何度も世話になっている。
だから今回も助けてほしいのだ。
うぐ、こんな回想をしていたら一分のタイムロスをしてしまった。
彼に遅刻回避の旨を伝えると、彼はニヒルに笑ってこう一言。
「着いてきな」
「?」
彼の真意は分からなかったがぼくは言われるままに彼に続いて裏庭に出る。
そこには不釣り合いなほど大きなハーレーが駐車されていた。
「乗りな」
それだけ言ってぼくにヘルメットを投げ渡し、自身はマルボロに火をつける。
ツッコミどころは満載だが仕方がない、これが彼なのだ。
そして残り時刻が三分を切った現在ではそんな暇もない。
ぼくは迷わず後部にまたがり、彼の腰に腕をまわす。
「しっかり掴まってな」
ドゥルン、ドゥルン…!1200CC級のエンジンが始動し、次の瞬間にぼくはとんでもないGに襲われた。
ドドド…ブィィィンッッ!!
「ああああああぁぁ!!」
事故らないのが不思議な速度だった。
キキィッ!派手なドリフトでブレーキ音を響かせてようやくバイクは停止する。
「ほらモブ太、学校だ…」
景色を見る余裕もなく、2分足らずで校門前にたどり着いたのだった。
しかしこんな目立つ登校だと…
「おい、茂部!バイクで登校とはおまえ~!」
やっぱり例の鬼教師が飛んできたが、ドライモンは素早く彼に何かを手渡した。
するとヤツは急ににやけた顔になり、お咎めなしでぼくを通す。
何を渡したのだろう?封筒のようなものが見えた気も…。
以前にもこんなことがあってドライモンに訊いてみたこともあったが、
彼曰く世の中はギブアンドテイクだそうだ。
こうしてぼくは遅刻を免れた。
お礼を言おうと振り返ると、もうそこにドライモンの姿はなく、彼の愛するマルボロの残り香がわずかに漂うのみだった。
◆◇◆
さて、無事登校できたぼくは今、教室で授業を受けている。それも大嫌いな算数の。
しかも今回はぼくの最も苦手な割り算だ。
どうしようもなくてドライモンに助けを求めたところ、
『この世は簡単に割り切れないモノで溢れているのさ…』と彼に遠い目をされた。
だが彼のことは信頼しているので、先ほど教師に指名された際にそのセリフを言ったら出席簿の角で殴られた。
いたいな…。
クラスメイトからの嘲笑もあってぼくが二重の痛みを感じていると、ふと斜め前の席の女子と目があう。
思わずぼくは時を忘れそうになった。
小学生離れした整った顔立ちに、肩口にかかる流れるような黒髪。
彼女は水間出しずか、ぼくの…思い人さ。
いわゆるクラスのアイドルなんだけども社交性ゼロでまともな会話が出来た試しがないんだ…。
クールビューティーってやつ?
あ、ほらいったそばから目をそらされた…。
キーンコーンカーンコーン…
そうこうしてると授業は終わり、先生はぼくに課題を山ほど渡して立ち去った。
休み時間…。しかしこれからがぼくの本当の戦いである。
ああ、早速きたよ…。
「さっき、モブ太のくせにしずかと見つめ合ってよな?」
無駄にデカイ声でそう言うのは豪打タケルである。
恐怖政治でこのクラスの男子のトップに君臨する存在だ。
腕っ節が強くていじめや喧嘩を繰り返す魔王。
お前のものも俺のものを信条とする彼に、ぼくも何度カツアゲされたことか…。
着いたあだ名が『邪威闇』魔王に相応しいニックネームだ。
「ホントだ、モブ太の分際でナマイキだぞ!おまえにしずかちゃんは百年早いんだよ」
続いて追い打ちをかけてきたのは有利側ツネオ。
喧嘩は弱いくせにずる賢いヤツで常時自分に有利な方につく日和見なクサレボンボンだ。
このところは邪威闇の補佐役をしている。
「そーだ、そーだ」
「しずかちゃんにモブ野郎はつりあわねー…」
他の野次馬達も参戦してきたが、ふいにそれが止んだ。
「?」
不思議に思って彼らの視線をたどると…
斜め右前から、しずかちゃんの蔑むようなまなざしが向けられていた。
「「「………」」」
彼女の絶対零度のひと睨みはガキ大将とその側近達を瞬時に黙らせる。
その目には【勝手に名前出すな】というメッセージが殺意とともに込められていた。
流石の魔王も氷の女帝には敵わなかったようだ。
「こ、今回はこれぐらいにしてやるよ!」
そんなザコ臭漂うセリフをなぜかぼくに浴びせて邪威闇軍団は去っていった。
また、しずかちゃんに救われたな~。
ぼくは改めて彼女に感謝と尊敬の念を込めて見つめたが、今度は汚物でも見るような顔をされた。
しかも舌うちというオプション付き。
だが意外にも嬉しいのはなぜだろう…?
もっと蔑まされたいと思ってしまうのは?
ぼくは自身に何かの存在を感じていた。
後書き
相変わらず一発屋な作品なので話の構成などは細かく考えていません。
ですので、不定期更新やポイ捨ての可能性大です(汗)
生意気にも評価や感想待ってます!