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拍手まとめ3

衝動×嫉妬(半強制~)


長時間のパーティーから帰宅。

体の馴染んだ屋敷は、身も心も寛がせてくれるには十分。


廊下に設置されている燭台により、僕の足もとを照らしてくれている二つの影が、寄り添い合うようにゆらゆらと動きながら並んでいる。

一つは小さい影。もう一つはそれよりも頭三つか四つ分ぐらい大きな影。

小さいのは勿論、妻のだ。

シルエットまで可愛いなんて、さすがヒスイさん。


「ヒスイさん、お疲れではありませんか?」

そう隣を歩く妻へと尋ねれば、ヒスイさんはこくりと首を縦に動かした。

その仕草すらも可愛い。もう可愛すぎる。

そのおかげで、パーティーでの疲れが飛んだ。


「平気です。それより旦那様の方がお疲れではありませんか? 沢山の方に囲まれていましたし……」

「いえ。そんなのは昔から慣れていますので何ともありませんよ」

「……そうですよね。旦那様は素敵な方ですし」

「えっ!? ヒスイさん。今、なんと……!?」

い、いまっ、いま僕の事を素敵と言いましたか!? 


突拍子もないその爆弾発言に、危うく廊下で妻を押し倒しそうになったが、ヒスイさんが「では、着替えたら旦那様の部屋に行きますね」とすぐに傍の扉を開け、メイドが待つ部屋へと消えたので叶わなかった。


「……やはり魔性の妻です」

言葉一つで惑わされてしまいますね。

と、彼女が消えた扉をじっと見ていれば「あら、旦那様ったら」とアイリスが笑っている。


何十人、いや何百人に褒められるよりも、ヒスイさんに褒められる方が数倍気分いい。

もう天にも昇る気持ちだ。


「さぁ、旦那様もお着替えを。いいですか? 間違っても着替え中の奥様の部屋に乱入しないで下さいませ」

「わかってます」

「お分かりでしたら、よろしいございます。では、参りましょう」

アイリスに促され、僕は今まで足を止めていたのを動かそうとした。

けれども、何の前触れもなくすぐ傍にあった扉が開かれ、飛び出してきた小さい影により、引き留められてしまう。

それは僕の脇腹にダイブするように抱きついてきた可愛い人。


「えっ!? どうしたんですかっ!?」

ヒスイさんに抱きつかれた嬉しさに、また廊下に押し倒しそうになったけれども、妻の様子がおかしいことがそれを阻止してくれた。

抱きつきながら顔を俯かせているヒスイさん。それを見て、僕は顔を顰めてしまう。何がこんなに可愛い妻に憂いを与えているんだろうか?


「旦那様は、私の旦那様ですよね……?」

「そうですよ。当然です」

その答えにヒスイさんは、ただ無言でぎゅーっと抱きしめてくる。


「一体、どうしたんですか?」

「奥様はどうやら焼きもちを焼かれたらしいですわよ?」

「リティーさん!」

部屋から出て来たメイドのリティーに、ヒスイさんが顔を真っ赤にさせながら叫んだ。


「だって……旦那様がパーティーで綺麗な人達に囲まれているから……しかも、べたべた触られているし……だから、嫉妬しちゃったんです……私の旦那様なのにって……」

なんですか、その可愛らしい発言は!

あぁ、なんでそんなに可愛いんですか。

きっとヒスイさんは可愛いで出来ているんですね。可愛いの塊だ!

叫びたい。うちの妻は世界一なんです! そんな妻を僕は世界で一番愛しているんです! と。



+おまけ+


アイリス「旦那様。ぷるぷる震えて我慢しているのは理解出来ますが、叫ばないで下さいね。ご近所迷惑になりますので」

ライト「ですが!」

アイリス「ですがではありません。今、何時だと思いですか? さぁ、奥様もお着替えを……」

ライト「なら、僕がヒスイさんの着替えをて…――」

カーンカーン(時計の鐘の音)

ヒスイ「あれ? これって、もしかして十二時の鐘の音ですか……?」

アイリス「えぇ、そうですよ」

ヒスイ「嘘っ! こんなに時間が経っていたなんて……明日お仕事だから、早く眠らなきゃ! リティーさん、急いで着替えのお手伝いお願いします!」





『半強制~ 新婚旅行での一コマ』


「……見たい」

寝具の上に座りながらそうぽつりと漏らした。

耳に流れ込むシャワーの音に血液が沸騰したような気になり、体が火照ってしまっている。


イレイザ兄さんのせいで、帰りの電車も行き同様に新婚旅行使用。

そのためお風呂場はスケルトン。これが気にならないわけがない!


ヒスイさんがお風呂の間だけ部屋から出ればいい。そんな事はわかっている。

けれども、音だけなら大丈夫かと思ったのだ。

覗くのは倫理的に問題がある。ならば、音だけ。

音だけでも堪能し、妄想しようと目論んだ。僕だって男だ。それぐらい考える。

だが、そんな欲望に負けたせいで、今もの凄い忍耐を強いられているが……


――ちょっとだけ、移動した振りをしてチラ見するか?

そんな悪魔の囁きが僕を誘惑している。


ヒスイさんへの恋心を自覚してからの生活はキツイ。僕も男。

好きな女性が隣に眠っていたり、シャワーを浴びているのを何の感情も抱かずにいる事は出来ない。

むしろ、狼になりたい! いや、もうなってしまおうか。

……なんて思っているけれども、傷つけたくない。

あの子リスのように愛らしいヒスイさんを。


けれども心と体は反応する物で、悶々とするこの行き場のない思いをどう処理しようかと模索していると、シャワーの流れる音がぴたりと止まった。

「泡風呂にするんです!」と言いながらお風呂に入浴剤を使っていたので、流し終わったのだろう。

どうやらこの溜まったフラストレーションが無くなるのも、もうすぐのようだ。

その予想通りにガチャリと扉が開く音と共に、ヒスイさんの「上がりました」という可愛らしい声が室内へと流れ込む。


これで悶々とした自分から解放される! と思い顔を上げれば、更に状況を悪化させる事態が起こってしまった。


「ヒスイさん、その恰好は……?」

自分の中で何かが終った。

それもそうだろう。ヒスイさんは僕の上着を着ているのだから。

そのためかなりサイズが大きく、肩から服がずり落ちている。

しかも、上着だけなので足元がっ!!

これ、ワザとですか? 誘っているのですか!?


「すみません。寝間着と間違えて、旦那様の服を持ってきてしまったんです。旦那様に交換して下さい! ってお風呂場から叫んだのですが、聞こえなかったらしくて。ですので、事後報告になりましたが、お借りしました! 下着姿でうろつくのもあれですし」

だんだんと近づく距離。それに我慢の限界が越えた。


「も、もうっ……」

「え?」

「もう無理ですーっ!」

そう叫んで僕は室内を飛び出した。


おまけ

ライト「アイリス!」

アイリス「あら、旦那様。どうなさったのですか?」

ライト「ヒスイさんが……ヒスイさんが…お風呂上りに僕の上着を着ているんです……っ! すごく可愛いんですよ……あれで無自覚なんですよ! うちの妻は! 魔性です。天然魔性です」

アイリス「あらあらごちそうさまですわ。新婚ですものねぇ」




『気になる妻の初恋事情』


自宅への持ち込み仕事。

それは殆どがあまりないけれども、何故か集中する時はする。

城からの依頼だったり、研究室のだったり……

ここしばらくそれが集中し、ヒスイさんとまともに顔を合わせてない日々を送っていた。

「お仕事の邪魔になりますから、別々に寝ましょう」と、酷な宣告を受けたがそれも終わりだ。


「さぁ、可愛い妻に癒されましょう!」

鼻歌交じりで僕は自室から出て真っ先にリビングへと向かった。

それは勿論、妻の顔を見るために決まっている。それ以外ない。


スキップするように廊下や階段を進み、あっという間にリビングの扉前に。

さぁ、いざご対面! と取手に手を添えたが、室内から耳に届いた言葉にそれが止まった。

「初恋ですか? いると言えばいますね」

そんなヒスイさんの台詞。それに縫い付けられたせいだ。


「まぁ! 奥様の初恋ですか! どのような方ですの?」

「えぇ、興味ありますわ!」

「えっと……王子様です」

「どこの国のなんて名前の王子ですかっ!?」

気が付いたら、室内に飛び込んでいた。

自分でも止められなかった。ノックをするとか、そんな細かい事がどうでもよくなってしまったのだ。


「あれ? 旦那様。お仕事終わったのですか?」

「えぇ。終わりました。それよりも王子って誰ですか。国名は? 名前は?」

「なんだか怖いですよ……」

こんなに可愛い妻の初恋相手! なんて恨めしい!

僕は足早にヒスイさんの元へと向かうと、隣に座った。


「名前はアレクサンダーです。国名はちょっとわかりません」

「わかりました。名前だけ分かれば、時間がかかりますが調べる事も可能です」

名前だけわかれば絞れる。城に戻って王族の資料を漁り、誰か確認して近づけないようにしなければ! 牽制は必須。

絶対にヒスイさんの事を見たら好きになるに決まっている。こんなに小さくて可愛い人なのだから。


「え? 旦那様。アレクサンダーは青薔薇の絵本の王子様ですよ?」

「は?」

「ですから、絵本の王子様です。だから探せませんよ」

「あぁ、もしかして以前ヒスイさんがおっしゃっていたやつですか」

「はい。初恋と言えるかわかりませんが、彼が私の初恋です。ちゃんとした人間では、旦那様でしょうか?」

と小首を傾げた可愛い妻に、ついたまらず抱きしめた。


「僕ですか!? あー、もう可愛い。大好きです! 可愛くて閉じ込めたい!」

「閉じ込めるのは駄目です。でも、今日だけはいいですよ?」

「それはどういう……?」

「お仕事だとわかっていても寂しかったんです。ですから、今からお部屋に籠って二人でゆっくりしませんか?」

お誘い! ヒスイさんからのお誘い!

部屋で二人でゆっくり。ということは、あんなことやこんな事を……っ!!

自分でも顔が緩みまくるのが抑えきれない。


「えぇ。行きましょう。今すぐに!」

「本当ですか!? 良かった。旦那様といっぱいお話する事があるんです。ここのところ旦那様がお忙しかったようですので」

「あっ、そちらですか」

「え?」

「いえ、なんでもありません」

頭の中が欲望で埋め尽くされてしまっていた。

……なんてヒスイさんの前では流石に言えませんね。


「ただ、僕もヒスイさん不足ってことです」

そう告げその柔らかい頬に口づけを落とせば、ヒスイさんが桃色に染まった。


「だ、旦那様。こういうのは、アイリスさん達の前では……その……」

「そうですね。ヒスイさん以外の存在はすっかり忘れていました」

と言ったら、「あらー。酷いわ」というメイドの非難の声が聞こえてきた。

けれどもその声音は面白がっている。


「上に行ってからにして下さい」

「そうですね。恥ずかしがっているヒスイさんを他の人にお見せするには、勿体ないですから」

僕はそう告げるとヒスイさんを抱き上げた。

一刻も早く、上で彼女との時間を堪能するために――





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