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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

美しき野生の血

作者: カンコ
掲載日:2012/08/09

なんて綺麗なのだ。

なんて煌びやかなのだ。

なんてつるつるしているのだ。

なんて、なんて美しいのだ。


―――食いたい!!

―――頂きまーす!!


ガンッと、小さな体が跳ね飛ばされる。


―――どうしてだ。

―――わたしはこんなにあなたを思っているのに。


すかさずもう一度走り出す。

ツルッと、小さな体は拒絶される。


―――ああ、どうしてだ。

―――わたしはあなたを見ていることしか出来ないのか。


もう一度、もう一度……。


―――うわあああああああ!!


もっと大きく、力強く飛び込む。

小さな小さな旅人よ、その体が燃え尽きぬ内に、己の願望を達成せよ。


「ねえねえ、見てよこの子犬。ガラスに向かって体当たりしてるよ」

「マジ!?写メ写メ~。あははは」


―――どうしてだ!!

―――どうしてなのだあ!!


ありったけの力を振り絞る。


パリーーーン


―――は……。


意識が戻ると同時に、血の匂いが鼻を突く。

だが、それ以上に涙が止まらない。

そこにはもう、『あなた』は居なくて、残ったものは、鋭く光る固い破片ばかり。


―――あなたは……。

―――く……。う……。


地面に散乱している破片を噛み砕く。

血の味しかしない。


―――ぐ……。

―――あなたはきっと、それはそれは美味しかったのでしょうね。


血と涙が混じり合い、やがて意識は遠のいて行く。


―――いつかまた、会えた日には……。どうか、私のことを……振り向いて下さい……。


小さな小さな旅人は、広がり続ける血だまりの中で、最期の息を引き取った。


owari





夏なので、(個人的に)涼しいイメージの「ガラス」をテーマに書いたつもりだったのですが、いつのまにか方向性が変わってしまいました。ただ、一つ勘違いをして頂きたく無い事があります。

これは、「虚像」のお話ではありません。


ご感想頂けると嬉しいです。


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― 新着の感想 ―
[一言] 子犬・・・。ガラスなどの虚像の話って、よくありますよね。
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