《連載版あります》赤ずきんに出てくる狼なんですけどループするんです
誤字報告ありがとうございます! 助かります!
気がついたら森だった。
あれ? オレはたった今、腹が重くて死んだはずだけど……。
自分の腹を見るが、パンパンに膨らんでいたはずなのにペコペコだ。どういうことだろう。
不思議に思いながらあたりをキョロキョロと見回すと、前から赤いずきんをかぶった少女が歩いてきた。
あれは……、さっき食ったはずの女の子じゃないか? なんでまだ生きてるんだ?
不思議に思いながら、さっきと同じように話しかけてみた。
「赤いずきんのお嬢さん、どこに行くんだい?」
「こんにちは。この先に住んでいるおばあさんに、お菓子とワインを届けに行くのよ」
これもさっきと同じ答えだ。とりあえず前と同じように言ってみる。
「だったら、お花を摘んで持っていってあげたらどうだい? きっと喜ぶぞ」
「まあ、それは素敵ね。ちょっと遅くなってしまうけど、お花を摘んでいくことにしましょう」
しめしめ、このすきにオレはばあさんの家に先回りできる。
そうしてばあさんをひとのみにした。
それで、ばあさんの服を来て、さっきの少女を待ち伏せて食うのだ。
いや待て。
なんでばあさんの服なんて着なくちゃいけないんだ。
玄関で待ち伏せて食えばいいじゃん。
そう思って玄関のわきに隠れていたら、バーンと扉を開けて猟師が入ってきて、オレは撃たれて死んだ。
◇◇◇
気がついたら森だった。前からは赤ずきんの少女が歩いてくる。
えーっと、これはどういうことなんだ。
死ぬと、死ぬ前からやり直せるのか?
よくわからないが、もう一度同じように声をかけてみる。
「赤いずきんのお嬢さん、どこに行くんだい?」
「こんにちは。この先に住んでいるおばあさんに、お菓子とワインを届けに行くのよ」
やっぱり同じ会話だ。
もしかすると、何か違う行動をすると、違う未来になるんじゃないのか。
死なない未来があるってことなのかも?
そう思ったオレは、その場で赤ずきんを丸のみした。
赤ずきんが持っていた、お菓子とワインも全部カラにして酔っ払っているところに、猟師が来て、撃たれて死んだ。
◇◇◇
気がついたら森だった。
いきなり食うのはだめだったらしい。
というか、もしかして人を食ったら殺されるってことなのか?
検証のためにオレは、赤ずきんもばあさんもスルーして、木の実を探して食って空腹をしのいだ。
でも猟師が来て撃たれて死んだ。
◇◇◇
森に戻った。
なんなんだよ、人を食っても食わなくても死ぬのかよ。
だいたいなんだよあの猟師。どこにでも現れて撃ちやがる。
こうなったら、あの猟師を最初に食うしかないんじゃないだろうか。
猟師の家はどこなんだ。このへんにあるのは間違いないはず。
ばあさんの家を越えて先に行くと、ボロい家をみつけた。
これか? これなのか? 様子を伺いながらボロ屋に近づくと、クマがいた。
こりゃいかん、早々に逃げないと、とくるりと後ろを向いた時、子供の声がした。
「たすけて……」
見ると、5,6歳に見える男の子がクマの目の前にいる。猟師の子供か?
もしかして、この子を助けないと、オレも助からないってことなのか?
「ああもう、よくわからんが、試しに人助けしてみるか!」
オレは勇気を出してクマに立ち向かった。さすがにクマは強い。でもオレのキバだって強い。
振り払われても何度だって噛みついてやる。クマの爪がオレの体を引き裂いたが、根性で戦い続け、やっとのことでクマが動かなくなった。けど、オレも満身創痍だ。
「やったぜ……これで、未来を変えられたかも……」
ふらふらとボロ屋から出て、ばあさんの家に近づいたところで、オレは猟師に撃たれて死んだ。
「なんで…」
しかし、今度はやり直せなかった。オレの役目は果たしたってことらしい。
◇◇◇
人食い狼として恐れられていた個体を仕留められて、満足そうに家に帰った猟師は、部屋の中で血まみれになって死んでいるクマに仰天する。
泣きながらしがみついてきた息子に聞くと、大きな狼が来て助けてくれたのだという。
猟師は持ち帰った狼の体を見た。
クマの爪痕らしき傷があちこちにある。
「ごん、おまえだったのか」
「なんでおまえがループするんだよ」って話を書きたくなったんですけど、オチが浮かばなくてこんなことに。どうもすみません。
「なんでおまえがループするんだよ」が気に入っちゃったので、連載にしてしまいました。
https://ncode.syosetu.com/n0756mt/
これの1話目はこの話と同じです。




