表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エルド奇譚:迷宮の祠と真名の石  作者: VIKASH
第六の試練

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/108

「吽」―《終りを確定させる道》

◆CDルート《うん ― 終焉の異層 (アナザールート)》



「吽」の石に指が触れた瞬間、秤はぴたりと静止した。揺れは消え、空気が硬質に変わる。光は減り、影が輪郭を持ちはじめた。すべてが確定する――はずだった。



 しかし、空間は微かに歪む。秤は均衡を保っているのに、床の文様が淡く脈打つ。過去は結果として扱われ、未来は揺るがぬ形を得たが、その形はどこか歪で、通常の秩序とは異なる。



 玉座の間の扉が、無音で開く。奥から黄色い眼光のローブの魔法使いが現れ、視線を残してすっと消えた。秤は沈黙し、秩序の確認は終わったはずなのに、異層の兆しだけが残った。



 ここは正規ルートの「終わり」ではない。

 揺るがぬ力を得た者だけが踏み入れられる、迷宮の影の領域。既成の秩序に属さぬ選択が積層され、歩む者の存在そのものが秤を再定義する。



 赤い光が空間の奥で瞬き、終焉の確定を示すかのように揺れる。だがそれは祝福でも承認でもない。秤が測るのは、あくまで選択の“質”――アナザールートは、迷宮が秘匿するもうひとつの秤の姿だった。



 ここを越える者は、迷宮の正規の秩序を超え、別の可能性と対峙する。終わりを確定させるはずの道は、むしろ新たな胎動を孕んでいた。



---



◆分岐《違》ルート ― 『アナザーディメンション』


 赤い光の奥、秤の均衡が微かに揺れる中、声は低く魔法の呪文を唱える。

「アナザーディメンション」――言霊が空間を裂き、異なる層へ扉を開く。霧は光の粒となって宙に浮かび、胎動は振幅を増す。過去と未来の層が交錯し、既存の秩序から逸脱した世界が現れる。進む者は、迷宮の秘奥に隠された新たな秤を前に、未知の可能性を試される。



---



◆分岐《亜》ルート ― 『アスタラスタ』


 魔法使いが残した赤眼の余韻に目を凝らし、呪文を唱える。

「アスタラスタ」――声が空間の深層に染み込み、静かに層を呼び覚ます。灰色の影が形を変え、胎動はより深く胸を打つ。秤は静止したままだが、時間の層がひとつ、歪む。未知の力が通路を照らし、歩む者の意思が新たな秤を刻む。迷宮は、この選択を待っていたかのように応える。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ