「銅」―《青銅の錆びた戦道》
◆ 正規ルート ― 「銅」
《青銅戦路》
足を踏み入れた瞬間、空気が変わった。
霧は薄れ、代わりに金属の匂いと、古い血の記憶が肺を満たす。
青銅の道は荒れ、無数の刃痕と盾痕が刻まれている。
華やかさはない。だが、確かに「進め」と告げていた。
散乱する剣、砕けた盾、歪んだ鎧。
それらは敗者の遺物ではなく、通過者の証だった。
道そのものが、戦いを肯定している。
進むにつれ、青い錆が淡く光り始める。
地鳴りのような振動が足元から伝わり、壁に刻まれた古文字が反応した。
剣は力を、盾は選択を、鎧は覚悟を――
それぞれが、別の未来を示唆している。
突如、道が途切れ、円形の闘域が現れた。
中央には、低く構えた人型の影。
水色の光を放つ装甲は滑らかで、関節は静かに稼働している。
赤い眼光が一点に収束し、視線が心臓の奥を射抜いた。
威圧でも敵意でもない。
直接、内側へ響く声。
『敵か味方か? 武器を選べ』
剣、盾、鎧――
散らばる三つの影が、同時に微かに震えた。
青銅の戦路は、ここで真の意味を露わにする。
だが、これは決着ではない。
選択は、まだ始まったばかりだ。
---
◆「青銅剣」ルート
青銅の刃に手を伸ばした瞬間、闘域の空気が鋭く張り詰めた。剣は重く、だが扱いにくさはない。幾度も握られてきた形が、自然と腕の動きを導く。歩を進めるごとに床の紋様が反応し、過去の戦痕が淡く発光する。剣を選ぶことは、進行を止めない意思そのものだった。回避ではなく、突破。防御ではなく、切り開く覚悟。刃はまだ振るわれていないが、空間はすでに戦いの位相へ移行している。剣先の向きが、次の局面を定義しつつあった。
---
◆「白銅盾」ルート
白銅の盾は、想像よりも軽かった。構えた瞬間、闘域の圧力が分散され、周囲の情報が鮮明になる。床に刻まれた裂傷、壁に残る衝突痕、鎧の破片が示す方向性。盾は受け止めるための道具ではなく、判断を遅らせるための余白を生む。前に出るのではなく、崩れを許さない姿勢が空間を安定させる。攻勢はまだ始まらないが、流れは確実に制御下へ置かれていく。盾の角度が、選択肢の配置を静かに組み替えていた。
---
◆「ニッケル鎧」ルート
鎧は体を覆うと同時に、感覚を変えた。外界の衝撃が減衰し、内部では脈動だけが明瞭になる。動作は遅くなるが、安定性は増した。鎧に刻まれた微細な線が呼応し、闘域全体と同調を始める。耐えるためではなく、長く立ち続けるための選択。剣や盾が局所を変えるのに対し、鎧は時間の流れそのものを引き延ばす。消耗と継続、その両立を前提に据えた進行が始まり、環境は持久戦の相を帯びていく。




