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エルド奇譚:迷宮の祠と真名の石  作者: VIKASH
第六の試練

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「金」―《黄金だが錆びた道》

◆ 栄華の永劫・「金」


《黄金残響・虚栄の終端》


 黄金の道は、踏み出した瞬間から過剰だった。

 光は眩く、反射は正確で、装飾は意味を持たぬほど整っている。床は磨かれ、壁面には過去の偉業を象った浮彫が連なり、視界の隅々まで完成された構図が敷かれていた。ここでは迷いが不要であるかのように、進行方向は常に明示され、躊躇の余地を排除している。


 進むほどに、黄金は厚みを増した。

 音は澄み、足音すら価値ある響きとして反響する。過去の勝利、承認、選択の成功例が連続的に再構築され、空間そのものが肯定を与え続ける。判断は簡略化され、疑念は磨耗し、違和感は装飾の陰へ押し込められていった。


 やがて黄金は、装飾から構造へと変質する。

 柱は純度を競い合い、床は重量を誇示し、天井は崩れぬことを証明するために存在している。どこにも欠損はなく、どこにも余白がない。完璧であるがゆえに、変化の余地は許されていなかった。


 中央へ至ると、巨大な黄金の台座が現れる。

 そこには記録が積み上げられ、選択の履歴が価値へと換算されている。正解は保存され、失敗は排除され、評価不能な行為は最初から存在しなかったものとして処理されていた。ここでは、選び続ける必要すらない。既に最良と認定された経路だけが、延々と複製されている。


 しかし、黄金は重かった。

 動くたび、空間は遅延し、床は微細な粉塵を零し始める。輝きは保たれているが、内部では劣化が進行していた。磨耗ではない。消費である。価値を価値として維持するために、意味が削り取られていく。


 装飾の隙間から、微細な亀裂が走る。

 黄金は割れない。崩れない。だが、粉となって静かに失われていく。床に落ちた破片は光を反射するが、拾い上げることはできない。掴もうとすれば、指の間から零れ落ちるだけだ。


 最奥に辿り着いたとき、そこには出口が存在していた。

 だが、出口はどこへも繋がっていない。黄金の門は開いているが、向こう側には同じ景色が続いている。進行は可能だが、位置は変わらない。達成はあるが、更新はない。


 ここで失われたのは生命ではない。

 選択でもない。

 失われたのは、価値を疑う権利だった。


 黄金は、正しさを保証する代償として、未来の分岐をすべて封じる。安全で、輝かしく、破綻のない構造。その完成度の高さこそが、最大の罠であった。


 背後を振り返っても、入口は既に装飾の一部となっている。

 戻ることはできる。だが、戻った先もまた黄金で覆われている。否定されることはない。拒絶も存在しない。ただ、変わらない。


 黄金の道は終わっていない。

 永遠に続いている。


 それが、この分岐の結末だった。


はい、繋げられます。

皮肉性を保ちつつ、**「金剛王の門」への接続点**だけを示します。


---


 黄金の循環を抜けた先、光が急激に失われた。

 装飾の尽きた空間に、ただ一つ、傷一つない門が立っている。

 金でも銀でも銅でもない、硬質な輝き。

 触れずとも理解できた。

 ここは価値を誇る場所ではない。

 耐え、貫き、裁かれるための境界。

 門の名が、静かに構造として刻まれていた。





















『金剛王の門』



――CD 《金剛王の門》に進め――

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