表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エルド奇譚:迷宮の祠と真名の石  作者: VIKASH
第四の試練

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/116

α³ 《祖霊の審判 》

◆ α³《祖霊の審判 ―“拒まれ続けた者の前進”》

(正規ルート:継承の章 α³)




 光の大樹の根元から伸びる影の道を進むと、空気は急激に冷えた。金色だった世界は静かに色を失い、やがて蒼白い霞が立ち込める。その深奥に、エルドは足を踏み入れた。



 そこは“境界の間”と呼ぶべき場所だった。

 天も地も曖昧で、光は遠く、影だけが形を持つ。無数の人影が霞の中に浮かび、まるで風が姿を成したかのように揺れている。彼らはエルドの祖霊――血族の記憶が生んだ具現の群れであった。



 その中心に、ひときわ濃い影が立っていた。


 形は曖昧だが、ただそこに立つだけで圧があった。言葉は発さずとも、存在そのものが「審判」を担う者であると告げていた。



 エルドが一歩踏み出すと、影の空気が震えた。


 次の瞬間、胸の奥に重圧がのしかかり、呼吸が奪われる。怒りでも敵意でもない。ただ、無慈悲な「選別」の力だった。



 ――拒絶。



 その一語だけが、音にもならぬまま世界の中心に響いた。



 エルドは膝をつき、地面に手をついた。

 自分の弱さを炙り出されるような、息苦しいほどの感覚。


 だが、不思議と恐怖はなかった。これが血族の意志ならば、逃げてはならない――それだけが胸にあった。



 再び立ち上がり、歩く。

 また拒まれる。

 影の風がぶつかり、意識が飛びそうになる。

 気を抜けば倒れてしまうほどの圧力の中で、ただ一歩だけを前に出す。



 歩みを進めるたび、影たちは僅かに揺れる。

 嘲るでも脅すでもない。

 ただ、“試している”のだ。



 何度目の拒絶か、数える余裕もなくなった頃。

 エルドは最後の影の前にたどり着いた。

 その影は、他よりも輪郭が濃く、まるで生者のように明瞭だった。



 影が腕を上げる。

 世界全体が沈黙し、重圧が一点に収束した。



 直後、押し寄せる拒絶の波。

 全身が押し潰されるような重みが走り、視界が白く染まりかけた。


 だが、エルドは踏みとどまる。

 膝を折りそうになりながらも、地を踏んだ足を引き抜かず、その場に立ち続けた。



 呼吸を絞るように、ただ一言だけ呟いた。



 「……それでも、前に進む」



 音は極めて小さく、影に届かないほどだったかもしれない。


 しかし、その決意は世界に響いた。



 重圧がふっと消える。

 風が流れる。

 影たちが静かに震え、数千の視線が一斉にエルドへ向いた。



 その様子は、まるで“うなずいた”ように見えた。



 中央の影がゆっくりと手を下ろす。


 その手から光が滴り、地面に降り注ぐ。蒼白い世界の中で、純白とも黄金ともつかない光がひとつの形をつくり始めた。



 霧が巻き、光が収束する。

 やがてエルドの前には、ひとつの神器が浮かび上がった。



 ――《審判の(こう)(じゅ)》。



 片方が黒、片方が白の結晶球が鎖で繋がれ、絶えず静かに揺れている。


 その中心には淡い光が生まれ、揺らぎに合わせて脈動していた。


 これは「価値を量るもの」ではない。


 「揺れながら、なお立ち続ける者」を選ぶためのはかりだった。


 影の群れがそっと姿を薄めていく。


 拒まれ続け、なお退かなかった者にこそ、この衡珠は与えられる——そう告げるように。


 最後の影が消えると、蒼白の世界は金色の風へと還った。

 〈審判の衡珠〉はエルドの胸元に静かに収まり、脈動が彼の鼓動と同調する。


 これは力ではない。

 資格そのものの証明。


 エルドは深く息を吸い、再び未来へ踏み出した。

 拒まれ続けたからこそ手にした「揺るぎなき意思」を胸に抱いて。



---



◆ 新たな分岐 AD/AE/AF(継承の章・上位派生)


AD 《衡珠の覚醒》


〈審判の衡珠〉がまだ「本来の力」を開いていないと知るルート。

エルドは衡珠の内部に眠る“二つの意志”に触れ、

そのどちらを引き出すかを選ぶことになる。


☆白珠:調和と導きの力

★黒珠:断罪と決断の力


どちらを選ぶかで、後の戦闘スタイルとエルドの精神性が大きく変化する。

さらに、このルートでは衡珠が「形態変化」し、武具へと姿を変えるイベントが起こる。



---



AE 《祖霊の同行》


審判を乗り越えたことで、沈黙していた祖霊の一柱が

“守護霊”として同行を求めてくるルート。


その祖霊は姿なき存在であり、戦闘中に一瞬だけ干渉したり、

危機の際に未来の「可能性」を囁いたりする。


ただし――

エルドが迷いすぎればその声は沈黙し、

逆に進むべき覚悟を示せば、祖霊は強く力を貸す。


精神性と行動が物語に直接影響する“高度な連動ルート”。



---



AF 《審判の継承者》


エルドが審判を受けた者ではなく、

“審判する側になり得る”資質を持つことを告げられるルート。


〈審判の衡珠〉を介し、

過去に封じられた「堕ちた血族」たちの影を解き放つ権限を持つ。

それは救済でもあり、処断でもある。


このルートでは、

エルド自身が他者の“未来を量る”立場になるため、

選択によって仲間の運命すら変わる重い物語へと派生する。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ