首都高バトル ~彼女の復讐の歩み~
高校3年へと進級する春休み。
その日私の人生は一変した。
何気ない普通の生活。
いつも通りの里帰りの旅行。
故郷から都心へと向かう道筋だった。
少しばかりの渋滞に巻き込まれてお父さんが運転する車は予定よりも遅れて。
主都高速道路を走っていた。
「明日から仕事だからねぇ」
「すっかり長居をしてしまったわ」
上京して結婚した両親の故郷は同じで。
それで両家の実家に顔を出すと言う意味でも予定外だった。
出発が遅れた事で渋滞にはドはまり。
首都高に入る時間には深夜を過ぎていて…
私は助手席でうつらうつらと船をこぎ始めていて…
そのお陰で悪夢を見る事はしないで済んだのだ。
深夜の暴走行為。
一体何キロ出していたのか解らない。
けれど当たり所と追突されたスピードが尋常じゃなかった事だけは解った。
私が目覚めたのは病院で…
結構大きな傷を体に残すほどの重体。
それでも一命を取り留めて…
意識を取り戻したのは半年後。
その時にはお父さんとお母さんの葬儀も既に終わっていて…
そして…
目覚めて両親が死んだという現実を知ったのはそれからだった。
リハビリで体調を戻すのに丸一年かかっていて。
私は留年する事になった。
…するしかなかった。
「え…うそ…でしょ?」
「…それは」
リハビリを始めた時に祖父祖母達が来て…
犯人は見つかっていない。
そして私には多額の保険金が支払われたという事実。
「なんでよ!っどうしてお父さんとお母さんを殺した相手が解らないの!
そんなはずない!事故は起きたんでしょ?
相手がいるハズでしょ!?」
「…そうだね。いるはずだし…過失も大きいと思う」
「じゃあどうして!どうしてよぉ!」
必死になって祖母と祖父に問いただした。
問い質して絞り出すように出して来た回答がそれだった。
「こうするしか」
「しょうがなかったんだよ…」
「お前まで失いたくなかった」
「生きてほしかったのよ…」
私が生きながらえたのはそれこそ保険の効かない先進医療を受けたからだった。
生かして命を留めるだけじゃない。
それこそ後遺症を残さずリハビリで回復できたのは奇跡でも何でもない。
ただただ多額の資金を湯水のように使って治療した結果だって事だった。
それこそ億単位で資金を使ったらしい。
その医療費は全て事故を起こした相手から出ている。
そしてその多額の示談金を提示されて。
私の命を優先する判断を下した。
孫の命が助かるのであれば…
―告訴を取り下げる―
…だったら。
だったら死んでも良かった。
死んでそして…お母さんとお父さんの所に行きたかった。
それで犯人が裁かれた方がまだっ!
私を優先した事は解るよ。
解るけど…
それは認められないっ!
「なんでよぉ!」
人が2人死んで。
本当ならニュースになるハズでしょ。
大事だと思って。
けれど半年前のニュースを見ても首都高で深夜の事故。
居眠り運転が原因か?
その程度でしか扱われていない。
私は何も解からない。
ネットには何も残っていない。
手がかりも何もなかった。
両親が死んで私は転校した私は両親の故郷へと帰る事になった。
何も知らない所でもう一度始める。
その方が良いからという祖父祖母達の勧めだった。
それで…遠く離れた父さんと母さんの故郷で。
そう前向きに考えている矢先の事だった。
リハビリを終えて編入試験を終えた私は少しばかりの時間を使って、
自動車の免許を取る事にした。
それこそ眠っていたおかげなのか乗り物にトラウマを抱える事は、
なかったし、何より田舎では車を運転できた方が良い。
試験を合格して免許証を発行を待っている間の出来事だった。
若い男の子同士で噂話をしているのを聞いてしまった。
「なぁ知ってるか?
首都高で事故った伝説の走り屋が復活したんだって!」
「え?あの一年前に事故った伝説の天才が?」
「あぁニューマシンを手に入れたとかで。
また走り出したんだ!」
「災難だったよなぁあの人も」
「一般車がまさかなぁ」
「あの日伝説のタイムが刻まれる瞬間だったのに」
「最高の時間帯だったのにな。
空気を読めねぇ50キロで走っていた軽がいた所為でなぁ」
「なんで深夜にあそこを走ってたんだか」
「それこそ惜しかったよな。
でももう一度アタックに挑戦するらしいじゃん?」
「今度は成功するかもな!」
「どうかな?噂だけど、
事故った車には3人乗ってたとかでさ。
2人は死んだとか」
「あぁ…死人出てたんだ。
ニュースになってたっけ?」
「いや。なる訳ないっしょ。
だって相手の素性は解らないしナンバーもアレだったんだろ?」
「あぁ仮ナンって聞いてる」
「捕まる訳ねーよなぁ」
「そーだな!」
「だからもう一度タイムアタックしてくれんじゃね?」
「期待しちまうよなっ!」
会話の内容にも引っかかったけれど。
私はニュースサイトしか見ていなかった。
何か情報をと考えて基本的な所しか見ていない。
SNSなら何か情報が残っているかもしれない。
そんな単純な事に気付けていなかった。
いや…気付きたくなくって。
認めたくなくって検索するのを諦めたふりをしていたんだって。
気付かされてしまった。
それから…
私は走り屋関係と車関係のそういった奴等の情報を探しまくった。
それこそ今度こそ手がかりがないかって思って。
一年前のその個人の何かを探し回ったんだ。
そして…一枚の写真を見つけた。
炎上する車の事故の写真。
―うわぁ…伝説の天才が事故った!!―
誰かはわからない。
炎上目的?のアカウントだったのか。
殆ど反応を示されず事故を起こした日から5か月近くたっていた日付で、
投稿されていた一枚の写真。
反応は皆無で。
そして見向きもされていない画像だった。
けれどその画像にはくっきりと移っていた。
…私の家の車。
そして助手席に座っている子はあの時私が着ていた服と同じ物だった。
私はたまらずその写真を投稿した人と連絡を取ろうとして…
結局何も帰って来なかったんだ。
でも…
あの事故の写真に写った車。
それは確実にはスポーツカーで。
改造してある車だって事は解った。
何より、あの時男の子達が話していた事を同時に思い出した。
―伝説の天才が走り出した―
そう言った見出しで何枚か写真を見つけ。
その車が私達の車に突っ込んできた!事故った時の車と同じだった!
―伝説の天才がまたタイムアタックを始めたぞ!―
―今度こそあの時のタイムを塗り替えるだろ!―
―やっぱ期待しちゃうよなぁ!―
そんな文言が並ぶ。
…私の両親を殺した奴は。
事故を起こした奴は生きている。
生きていやがるんだ。
生きていてのうのうとまた運転する?
運転してそして、またふざけた事を始めた?
コイツが本当に事故を起こした相手なら…
死んでないんだ。
幽霊でもない。
なら見つけられる可能性はあるよね?
私の中で…
写真を見つけて。
何かがはじけ飛んだ気がした。
―ねぇ?このまま全てを忘れていいの?―
良くない。
―相手は今でものうのうと生きているでしょ―
そうみたい。
―そんな事許せる?―
ゆるせない。
―でも…誰も暴走野郎を捕まえるつもりはないみたい―
そうね
―誰も捕まえないのなら―
私が捕まえてやるっ!
その日から…
私には生きる目的が生まれた。
必ずその「伝説の天才」に謝罪させてやるっ!
そして両親にも頭を下げさせてやる!
そして私は進学先を決めたのだった。
「東京の大学に行くわ」
「それは…あそこには良い思い出はないでしょ?」
「関係ないの。
やりたい事が出来たの。
その為には東京に行く必要があるの」
「他の所ではダメなのかい?」
「ダメ」
「…わかった」
ともかく東京の大学に行きたいと言うその思いで、
一年間を過ごし私は東京の大学で一人暮らしを始めた。
祖父母達からも離れて…
有名校に行く必要はない。
そこそこの進学先にって考えて。
残りの時間はアルバイトをしてお金を貯める。
車を買う為だ。
正直慰謝料として支払われたお金があるから、
アルバイトをする必要なんてなかった。
それこそ遊んで暮らせるだけのお金を支払われている。
まるで、それで納得しろと言わんばかりに。
その金額を見るたびに両親の価格がその金額だったのだと。
笑われているみたいでムカつく。
冗談じゃない。
アイツを捕まえるまでっ!
法廷に引きずり出すのにアイツの金を使ってやるものか!
そして私は大学へと進学する前に一台の車を譲ってもらった。
「あぁ車庫に寝かせてある奴だけど。
持ってけよ使いがっては悪いけどな」
「ありがとうございます!」
車の事なんて何も解からない。
親戚から譲ってもらった車はが何なのかなんてどうでもよかった。
走れればいい。
それで追いついて捕まえるだけだ。
普通車って奴ならなんだってよかったし。
こうして私は引っ越し用の荷物を持って大学に通うために借りた、
駐車場付きのアパートに引っ越す。
本当は大学生活なんてどうでもいい。
4年間卒業する前に何としてでも「伝説の天才」って奴を見つけて。
捕まえてやる。
私の戦いが始まる。
某ゲームに感化されて考えついた物です。
彼女非合法の夜の世界で走り続けている両親の仇を見つけ出して…
的な展開ですね。




