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面会

 それからは多忙な日々を過ごしていた。勉強に魔術訓練に生徒会――目まぐるしい日々が過ぎていく中、文化祭や音楽祭をこなし、学期末の試験を終えると、もうすぐ冬休みだった。


「アリーは、家に帰るの?」


「え? ええ……」


 アーサー殿下に聞かれて、曖昧に返事を返すと彼は笑っていた。


「いや、クレイトン伯爵が伯爵夫人にはばれたくないと言っていたからね。君の名は、いまや大陸全土に知れ渡っていると言っても過言ではないし、いくら病気で寝ているからと言って、果たして隠し通せるのかと思って」


「――大丈夫です。何とかしてみせますわ」


「私のところへ遊びに来ても構わないんだよ」


「そういえば殿下、スタンピードの件についてですが……」


「なんだい?」


 あからさまに話を逸らした私に対して、殿下は微笑みながら言葉を返していた。笑顔が胡散臭いのは相変わらずだ。


「トリウス先生を操っていた人物は分かりましたの?」


「それは――なんど調べても分からなかったよ。逆に、なんでトリウス先生がスターン教に入ったのかは分かったんだけど」


「それは……」


「トリウス先生の妹が入教した翌日に、教会で亡くなったんだ。その時は事故だって話になったんだけど、不審に思ったトリウス先生が入教して真実を突き止めようとしたらしいんだ」


「そこを――利用された?」


「たぶん、そうだろうね。教会は気がついていただろうし、それなら利用してやろうというつもりだったんじゃないかな」


「先生は、今どちらに?」


「王都の精神病院に入院しているよ。操られてたとはいえ、全くの無罪というわけにはいかないだろう。退院したら、何らかの沙汰が下されると思うよ」


「結局、誰が操っていたのか分からなかったですね」


「私は学園内に関係者がいると思っていたんだけど――調べてみても、結局は分からなかったよ」


「そうでしたか……」


「学園にではなくて外部から操っていたとも考えられるしね」


「確かに、その可能性は捨てきれませんね。今度、トリウス先生に話を聞いてみたいです」


「正気かい?」


「生徒会書記として、ほおっておくわけにはいきませんわ。また、何か事件が起きても困りますし……」


「実は、冬休み中にトリウス先生に面会できるように父上にお願いしてあるんだ。わたしも、気になってね。どうだい? テドラ国に来てみたくなっただろう」


 私は好奇心に駆られてうなずいてしまいそうになっていた。


(いけない。いくら学友だからと言って、やっていいことと悪いことがあるわ。婚約者がいる身で、独身の――しかも隣国の王子様の客として行くわけにはいかないわ)


「なんならジルが一緒でも構わないが?」


「確認してみます」


 私は殿下の問いに、気がついたら即答していたのだった。




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