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エクストラブースト

「よし、魔力はこれで足りるだろう」


「ヴィー、そういうことをするなら先に言って。みんな驚いているから」


 校長先生を含む4人は、こちらを見て固まっていた。


「分かった。行こう、助けるんじゃろ? みんなを」


「ええ。行ってきます」


「アリー?」


 我に返ったジルが慌てていた。私を止めようとするジルを何故か殿下が羽交い絞めにして止めている。


「待ってて。すぐ戻って来るから」


 ジルの返事を聞かずに、私は地上へ出ると正門前へ向かった。正門前には誰もいなかったが、結界の向こう側には魔獣の群れが、ものすごいスピードで山を下って行っていた。


「あるじ、われに乗れ」


「乗れるの?」


「ああ、元の大きさに戻る。そのために魔力をもらったのだからな」


 そう言ったヴィーは、人型から大きな竜の姿に戻っていた。水色のうろこを持つ巨大な竜は初めて見たが、想像以上に美しかった。


「なんだ見惚れておるのか?」


「ごめんなさい。うろこがあまりにも綺麗だったから」


「構わん。いくら見つめられたところで、私の心はカミラのものだがな」


「それって、どういう……」


「そろそろ行かないと、下町が危ないぞ」


「分かった。お願い」


 私は何とかしてヴィーの背中に乗ると、学園の空へ舞い上がるヴィーの背中に掴まっていたのだった。


※※※※※


「いたわ。先頭よ」


 何とか振り落とされずに掴まりながら、スタンピードの先頭を指さした。


「あるじ、いけるか?」


「火魔術ね。オッケー」


 私はヴィーの上に乗りながら、神経を集中させた。


「ファイ・フランメ!」


「エクストラブースト!」


 私が火魔術を先頭の魔獣に向けて放つと、ヴィーが同時に放った炎が重なったように見えた。炎は地上に到達するにつれて大きくなり、町と森の間に大きな炎の壁が出来上がった。


「これで、時間稼ぎは出来るだろう」


 学園へ戻ると結界の外で殿下やジル、イーリスさんが魔獣と戦っていた。有志で人を集めたのか、ルメイル先輩とマルク先輩もいて、2年生を引き連れて魔獣と戦っていた。彼らは隊列を組むと二列になって交代で魔獣と戦っている。


「実践の授業が役に立っているようじゃの」


 校長先生とリンデさんも後方で、支援系の魔術を使っていた。


「アリー、戦いは始まったばかりだぞ」


「そうみたいね」


「アリー、助かったよ。これで王都への魔獣はある程度、防げるだろう。アリーも戦える?」


「もちろんです、殿下」


殿下の言葉に頷くと、殿下の憂い顔は笑顔に変わった。


「よし、行こう!」


「はい!」


 それからしばらくの間、魔獣と人間の戦いが続いたのだった。




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