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スタンピード

 校長先生は私達の元まで来ると、祭壇の下にいるエドワード先生と床に転がっているトリウス先生を見て、額に手を当てていた。


「校長先生……」


「まさか、トリウス先生が犯人だったとは……」


「校長先生、トリウス先生は操られていた可能性があると思います」


 そう言った殿下は手にしていたブレスレットを校長先生へ見せていた。


「魔術具か――防御の魔術が付与されているが、その他に禁術である『呪いの魔術』が掛けられておるな……」


「呪い――呪いを解くことは出来るんでしょうか?」


「残念じゃが――トリウス先生は、操られてからの期間が長そうじゃ。長ければ長いほど闇は深くなる……。元に戻るまで、相当な時間がかかるじゃろう」


「そんな……」


「アリー、他にも操られている人がいないとも限らない。周りの人にいる人たちには注意して欲しい」


「え?」


 アーサー殿下の言葉に驚いていると、校長先生が言った。


「まったくもって、その通りじゃ。わしがトリウス先生をきちんと見ていれば、彼の変化に気づけたはずじゃ。それなのに、苦手だからと言って彼を遠ざけ、あまり気にしないようにしていた。校長失格じゃ」


「校長先生……」


 その時、生徒の叫び声が聞こえた。


「なんだあれは?」


「天変地異か?」


「みんな逃げろ!」


 地下にいても聞こえる生徒たちの声は、切羽詰まっていた。殿下や校長先生と顔を見合わせると聞こえてくる悲鳴に耳を澄ませた。


「……とうとう始まったか」


「始まったって、何が?」


 ジルの言葉にアーサー殿下は感情のこもっていない声で、答えていた。


「魔獣のスタンピードだよ」


「スタンピード?」


「魔獣の群れだ。封印されていた魔獣たちが一気に現れたんだ。今ごろ地上は混乱しているだろう」


「学園には結界があるから大丈夫なはずじゃが、生徒たちは混乱しているようじゃな。そろそろ戻らねば」


 殿下たちは冷静に話をしていたが、この近くに住む人たちは大丈夫なのだろうか。


「早く助けないと……。そうでしょ、ヴィー」


「あるじ、行くか?」


「ええ、お願い」


「じゃあ、その前に。ちょっと失礼」


 そう言ったヴィーは、私を抱きしめるとキスをしていた。


「んー」




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