目撃情報
次の日は休みだったが、私とジルそれから殿下は殿下の食堂へ集まっていた。
「今日はリンデさんがいるんですね」
殿下の食堂にはリンデさんがおり、私が挨拶をすると今日は殿下の護衛をすると言っていた。私達三人で、今日はロゼッタ先生と教頭であるトリウス先生に話を聞きに行くことにしていた。
「ロゼッタ先生は、この時間は屋上にいるみたいだから、とりあえず先に行ってみよう」
殿下の一言で、私達は先にロゼッタ先生のいる屋上へ向かった。
屋上へ辿り着くと、ロゼッタ先生は天文台ではなく屋上にいた。祈りの石をくぐっていたが、私達に気がつくと手を振っていた。
「ロゼッタ先生、何を祈っていたのですか?」
「アリエッタさん、それは言ってはいけないのよ。言えば願いは叶わなくなるの」
「す、すみません。あの、ロゼッタ先生――」
「星達に祈っていたの。あるべき場所に、あるべきものが戻るようにと……」
「先生、最近中庭で何かを見ませんでしたか?」
「中庭で?」
「夜中に先生を目撃したという生徒がいたので……」
「いつだったか、星読みを間違えてしまったことがあったの。授業に差し支えると思って、何回か夜に星の動きを見ていたわ」
「先生は、その時に何か目撃しませんでしたか?」
「目撃? いいえ、何も――そういえば、一度だけ中庭で教頭先生を見かけたわ。手に明かりを持っていたから、見廻りだろうと思ったけれど……」
「ロゼッタ先生、ありがとうございます」
私が先生にお礼を言うと、今度は教頭先生に話を聞くために教員室へ向かった。
「え? いないんですか?」
「うん。最近は土曜日も校内で見廻りをしているらしくてね。この間、崩落事故の事後揺れみたいなのがあっただろう? 神経質になっているみたいだよ」
火魔術のエドワード先生は、お昼ご飯を食べている最中だったのか、口の中に入っていた物を飲み込むと、こちらへやって来た。
「どうしたんだ? 何かあったのか?」
先生に夜中に歩いていたのは何故なのかという話は聞けない。聞いたところで、見廻りだと言われて終わりだろう。本人に聞いても、同じことを言うだけかもしれないが、何か見ていないかということも併せて聞いてみたかった。
「いえ――トリウス先生に直接お聞きしたいことがあったので、大丈夫です」
「秘密の話か?」
「え、ええ……」
「トリウス先生は、あと30分もすれば戻ってくるだろう」
「分かりました。後で、また来ます」
私はそう言って教員室をでると、殿下とジルと一緒に殿下の食堂へ戻ったのだった。




