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消えた花

 次の日の放課後、ジルと一緒に殿下の食堂へ行くと、殿下が腕組みをしながら座っていた。


「アーサー殿下?」


「ああ、すまない。少し考え事をしていてね」


「何かあったのですか?」


「あったと言うべきか――昨日は、あの後にイーリスが校長先生に報告へ言って、毒花である幻影染花を処分してもらう予定だったんだ。けれど、いざ処分しようと思って校長先生と教頭先生が見に行ったら、何もなかったと言うんだ」


「まさか……。誰かに先回りされたということですか?」


「たぶん。このことは、誰にも言ってないから君たちが犯人である可能性も捨て切れないと思ってしまってね。イーリスに変な呪詛がかけられてないか、さっき調べさせてもらったところなんんだ」


 殿下は私達を見て困惑していた。私達を信じたい気持ちと、疑わなくてはならない気持ちが交錯しているようだった。


「殿下、私も調べてください」


「いや、それは――」


「殿下、俺もお願いします」


「……分かった」


 殿下はそう言うと、立っていた私達の前まで来て、呪文を唱えた。


「イリオス・シュトラーレ!」


 殿下が呪文を唱えると、私達は光に包まれた。あっという間の出来事で驚いていると、目の前に立っている殿下は気まずそうな顔をしていた。


「私の早とちりだったようだ。すまない」


「殿下。大丈夫ですよ」


「でも、他に話した人なんて……」


「もしかしたら、俺たちの後をつけていた人がいるのかもしれませんよ。それなら陰から俺たちの様子を見ていて、後で先回りして処分した可能性もあると思います」


 ジルの言葉に殿下はうなずいていた。


「よし。もう一度、寮の庭を見に行こう。何か手がかりが見つかるかもしれないし……」


「賛成!」


「俺も行くよ」


「殿下、陰からで構わないので、今回は護衛させてください」


 イーリスさんの言葉に、殿下は渋々うなずいていた。


「分かった。くれぐれも周りの人間に勘づかれないように。時間もないし、行こうか」


「ええ」


 そうして、イーリスさんを含めた私達4人は、寮の庭へ向かったのだった。




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