貸し出された本
次の日の放課後、私達は学校の図書館へ来ていた。先週の木曜日の午後、文学の課外授業で図書館で本を借りて読むということをしていたため、図書館への入館もスムーズだった。砂時計の横を通り過ぎて、受付にいる図書委員の元へ入館カードを提示する。
「あれ? アンナ?」
「アリエッタさん……」
「アリエッタでいいわ」
「分かった――アリエッタが来るなんて珍しい」
「今日は委員会なの?」
「ええ。図書委員は基本的に図書館の受付が業務なの。それ以外に、やることはほとんどないの」
「大変ね」
「ちっとも大変じゃないわ。交代でやってるから、週に1回くらいだし、暇な時は、ずっと本を読んでるのよ」
アンナはそう言うと、カウンターの内側に置いてあった本を掲げて見せていた。持ち出し禁止の本なのか、背表紙には赤いシールが貼られていた。
「図書委員は本が好きな人にとっては、天国かもしれないわね」
「ええ。ここで得られる知識は王都の倍以上あるのよ。素敵だと思わない?」
アンナはそう言いながら、キラキラと目を輝かせていた。
「ねえ、アンナ。無理を承知でお願いがあるんだけど……」
私が遠慮がちにそう言うと、アンナは不思議そうな顔をしていた。
「ルパート先輩が借りていた本を調べて欲しいの」
「ルパート先輩って――なんで?」
アンナは私達のことを不審に思っているのか、怪訝な顔をしていた。
「ルパート先輩が、借りる本を間違えてしまったらしくてね。以前に借りていた本を借りたいと言っていて……。代わりに借りに来たんだ」
「そう――ですか」
アーサー殿下が、私の代わりに事情を説明していたが、アンナはまだ怪訝な顔をしていた。
「ルパート先輩の貸し出し状況は――ええと、以前に借りていたのは花の図鑑ですが、今、借りている昆虫図鑑を返していただかないと、借りることは不可能ですね」




