稀代の天才魔術師
「竜使いのカミラ――だろ? さっき言った稀代の天才魔術師」
「そう。カミラはわれの契約者だった。戦争を止めた戦犯として、国にとらえられるまでは、一緒に住んでいたんだ」
「それにしても大陸全土って――どれだけ魔力があっても、人間には出来なさそうなのに、カミラさんはそれを成し遂げたのね。すごいわ」
「いや、大陸全土はさすがのカミラにも無理だった。だからわれの魔力を貸した」
「もしかして、その魔術陣も解除された?」
「もしかするとな――でも、それだと他の竜の封印も解けたと思うのだが、われ以外に竜の反応はないからな。少なくともあと5あるはずなんだが」
「その5つは、全て別々の場所にいるのかしら?」
「アリー、それよりも魔獣だ。魔獣はそのうち現れるだろう。昔は魔獣のスタンピードというものもあったからな。下手したら災害級だ」
「殿下、このことは校長先生に――」
「ああ、話した方がいいだろう」
「その前に――」
「何? ヴィー、なにかあるの?」
「アリーの魔術を試してみて欲しい」
「えっ? いま?」
「とりあえず、やってみてくれないか」
「分かったわ――いきます。ファイ・フランメ」
私が深呼吸をしてから呪文を唱えると、人差し指に炎がともった。以前みたいに消えることはなく、炎は適度な大きさで燃え続けていた。
「うそ? なんで、出来たの……」
「おそらく大陸全土にかかっている魔術陣がエリーの魔力に影響されていたのだろう。たまにいるんだよ。自分とは関係ない魔術陣に影響されてしまう人間が……」
「じゃあ、魔術は?」
「以前よりも使えるようになるだろうな」
私は、手のひらを見つめていた。涙が落ちて視界がゆがむ。
「あれ? 泣こうなんて思ってなかったのに……」
「大丈夫?」
「ええ、すみません。早く、校長先生のところへ行きましょう」
私は涙を拭うと、校長先生へ元へ向かったのだった。




