王家に伝わる伝書
「魔獣を封印する魔術式? そんなの聞いたことがありませんが……」
「これは王家に伝わる『王の伝書』と言われる書物に書かれていたことらしいんだけど――昔、稀代の天才魔術師と呼ばれた人がいて……。どうやら、その人が魔術式を独自に考えて、竜の魔力を別の者へ魔力を流すことで封印された竜が、活性化して復活するのを防いだみたいなんだ」
「よく分かりませんが――つまり、不可能だと言われている魔術式の重ね掛けですか?」
「そうなんだと思う。ヴィーの封印が解けてしまったから、魔獣の封印魔術式も解けてしまったと思った犯人Mは、ルパート先輩を竜の代わりにしようとしていた――って、ところかな」
「犯人Mって……。しかも、なぜ先輩がそんな目に――」
「おそらくだけど、先輩は何か見てしまったんじゃないかな?」
「学園の問題点を探すうちに?」
「そう。それで、焦った犯人は監禁するのにあの場所を使い、解除されてしまった竜の封印も何とかしようとした」
「何とかしようとしたって――それじゃ、犯人は……」
「やっぱり、この学園の先生の可能性が高いと思う」
「魔術式のことを考えると、その可能性は高そうですね」
「話は終わったか?」
「ヴィー! 無事だったのね」
私達が話をしていると、ペンダントからヴィーが現れた。水色の竜は、壁にもたれかかると欠伸をしていた。
「アリー、さっきはごめん。魔力を一度にたくさん使い過ぎたせいか、具合が悪くなっちゃって、ペンダントの中で寝てたよ」
「大丈夫?」
「たぶん――封印が解けたばかりで、まだ調子が戻らないのかも。それより、王子様。解けたのは、魔獣を封印する魔術陣だけじゃないみたいだぞ」
「ヴィー、どういうことだ?」
「上級魔術の上にある高度な魔術があるのは、知っているか?」
「特例魔術か……。あるのは知っているが、大きな魔力が必要となるため1000年前から使用されたという記録は残っていないな。まさか……」
「そう、その特例魔術の内容で封印されたものが――」
「まさか、大陸全土の魔獣?」
「冴えてるね、王子様」
「ヴィー、そんなこと出来るの?」
「普通は出来ない。でも、それを可能にした人がいる」




