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封印の魔術

「助けよう。先輩を見殺しになんて出来ない」


 そう言ったアーサー殿下は、祭壇からルパート先輩を既に下ろしていて、肩に担いでいた。


「分かった、アリーも手伝って。俺は道を照らすよ」


 ジルは、無詠唱魔術で手に明かりをつけると、来た道を戻っていった。分かれ道のある広場まで辿り着くと、地面が揺れて石ころが天井から降ってきた。


「まずい、崩壊してる。ジルとアリーは走って。私も後から行く」


「そんな、殿下――ヴィー何とかして」


「はいよ」


 返事をしたヴィーは、私達の上に覆い被さるようにして立っていた。竜の元の大きさなのか、自分の身体を盾にして私達が道を歩けるようにしてくれた。


「ヴィー、ありがとう。みんな、走って!」


 アーサー殿下の言葉に、私達は無我夢中で走り続けた。背を低くしながら走っていたのであまり早くは走れなかったが、急いでいる内に身体のあちこちを壁にぶつけて、身体が痛かった。床の扉のある場所まで来ると、よじ登ろうとした瞬間、誰かに扉を閉じられてしまう。


「うそ――なんで? 誰よ」


「うわ、まじか……」


 後から来たヴィーと殿下は、ルパート先輩の両手両足を持ってこちらへゆっくりと進んでいたが、私達が立ち止まったので怪訝な顔をしていた。


「うっ……」


 ルパート先輩の顔色が悪い。早く地上へ戻らなければと思えば思うほど、焦って何も考えられなかった。


「ヴィー、開けられる?」


「すまない。我は少し力を使い過ぎたようだ」


 ヴィーはそう言うと、ペンダントの中へ戻っていった。


「アリー、扉が塞がれてる」


「ジルの魔術で壊すことはできませんか? 先輩がこのままだと――」


 そう言って振り返ると、ルパート先輩は眠っているのか、目を閉じたままだった。殿下は力尽きたのか座って息を整えている。


「何か物を置かれたわけじゃないみたいだ。今、試してみたけど弾かれた感じがするから、魔術か何かで塞がれているんだと思う」


 ジルは何度か魔術を試していたが、力尽きたのか地面へ倒れていた。


「ジル!」


「大丈夫だ。魔力が尽きただけ……」


 私が駆け寄ると、ジルは私の手を握って言った。


「温かいな――この扉には隙間があるみたいだ。酸素がなくなって息が出来なくなることはないみたいだから良かったけど、早く開けないと先輩が――」


 そう言ったジルは、力尽きたのかそのまま意識を失ってしまった。


「ジル!」


「えっと、ここでいいのか?」


「わからない。でも、反応はここからきてる。イーリス、やるぞ」


 誰かの声が上から聞こえて来て扉が開いた。


「殿下? 殿下がいらっしゃったぞ」


 扉を開けたリンデさんの顔を見て安心した私は、ジルと同じようにそのまま意識を失ってしまったのだった。




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