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リディア教とスターン教

 狭い通路をしばらく進んでいくと、開けた場所に出た。何もないが、その先に道が3つに分かれている。


「一番右に、生存者の反応がある。たぶん、探している奴らじゃないか?」


「行ってみよう」


 アーサー殿下は駆けて行ったが、私は何かを感じて立ち止まった。


「どうしたの? アリー?」


「なんだか、すごく嫌な予感がするの」


 ジルに声を掛けられたが、口では説明できない嫌悪感に、どうしていいのか分からなかった。


「でも、先輩を助けたいんだろう? 何かあるかもしれないけど、先に進まないと……」


「ええ。それは分かってるの」


「アリー、どうしたの?」


「殿下、少し気分がすぐれなくて――申し訳ありません」


「大丈夫? 酸素が薄いから気分が悪くなっちゃったかな? ここで休んでる?」


「いいえ。行きます」


 私が殿下とジルの後について行くと、そこには祭壇があった。その祭壇の上に白の貫頭衣を着たルパート先輩が横たわっている。


「なんだ? これは……」


「まさか――スターン教か?」


 正面にある壁面には、魔術陣が描かれていた。常に紫色に光っている魔術陣は、ルパート先輩に何かしらの影響を与えているらしく、光は常に先輩へ降り注いでいた。


「スターン教?」


 私達がその光景を見て不思議に思っていると、殿下はこちらを向いて言った。


「わが国には2つの宗教が存在する。一つはリュディア教と言って、光の女神を信仰するものだ。そして、もう一つがスターン教。こちらは、闇の女神であるオプスタリクスを信仰するものになる。ほとんどの国民がリデュア教を信仰しているが、隣国からスターン教の信徒が入ってきてね。テドラ国民にスターン教の信徒が増えていると聞いて警戒はしていたんだけど……」


「隣国って、エスターク公国のことですか?」


「そうだ」


 テドラ国の隣国であるエスターク公国は奴隷の売買が盛んに行われている多い国家だと聞いている。グロース帝国から見て、海を挟んだ向こう側にあるが、危険な国だということは母から聞いたことがある。


「アリー、その青年は魔力が奪われている。その上で、何かの蓋のような役割を担っているようじゃ」


「ふ、蓋? 大丈夫なの?」


 ヴィーの言葉に目を白黒させていると、ヴィーは言った。


「今すぐ助けなければ、もうすぐ死んでしまうじゃろう。体力だけでなく、魔力も尽きかけている」




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